社員インタビュー
営業[国内営業]の仕事
営業[国内営業]の仕事
多彩なニーズに応える、ロームの半導体技術。

ロームにおける営業活動、それは単に顧客の要望を伺い、指示を仰ぎながら製品づくりを行う一般の部品メーカーのような仕事イメージとは大きく異なるものである。営業担当は、日々、顧客メーカーの製品開発部門を訪問、ロームの多岐に渡る半導体技術情報を紹介しながら、さまざまな技術者と交流し、次期製品の開発に必要な半導体に関する情報を収集することで、新たなLSI開発や汎用製品の採用に繋がる提案を行っている。

国内営業本部に所属する彼も、日本を代表する大手家電メーカーの液晶テレビ開発部門に向けた拡販営業を担当している。液晶パネル表示用LSIをはじめとして音に関わるデバイス、電源用デバイス、リモコン用デバイスなど、数十種類の半導体が内蔵されている液晶テレビは、極論すれば、そのすべてがロームがターゲットとする製品フィールドとなる。そうした製品に用いられるカスタムLSIから汎用品(ディスクリート製品)まで、幅広く顧客に採用していただくことで、ローム製品のシェアアップをめざしている。

現在の日本における液晶テレビ開発には、大画面化、高精細化はもとより、近年では低消費電力化や3D化といったさまざまな最先端の技術テーマが存在している。しかし一方では、世界市場において、常に海外メーカーとの激しい価格競争が繰り広げられているため、より高性能な製品をより安価に製造・販売できるかが最大の課題となっている。

実は、そうしたコストダウンという課題にも非常に大きく貢献する可能性があるのが、ロームのカスタムLSI技術なのだ。

たとえば、目下彼らが提案している液晶画面のバックライトLED駆動用LSI。これはローム独自の方式により、従来必要だった複数の機能デバイスを1チップ化できるため、部品点数が約半分になるというもの。部品コストや工程コストを大きく圧縮できるため、採用されれば大幅なコストダウンが実現される製品なのだ。

大切なのは、ねばり強く、決してあきらめない姿勢。

ただし、こうした新技術導入の提案をタイムリーに行うためには、次期製品の開発動向をいち早くキャッチした上で、顧客が開発中のセット製品の問題点にまで踏み込んだ"課題解決型"の提案であることが不可欠である。

そのためのファーストアプローチとは、情報収集の追及。事前に徹底した市場調査とニーズ分析・予測を進めながら、具体的な製品開発戦略を立てるべく、ターゲットとするデバイスに関連するセクションの多くのエンジニアと接触し、できる限りのリサーチを行う。ちなみに現在、コンタクトしている顧客側のエンジニアは100人以上。できるだけ多くのエンジニアと面談する中で、提案に関わる周辺情報も含めてリサーチを行うことで、開発の鍵となる課題とその解決のための方向性を見出している。

そうして得た情報を即座に社内にフィードバックし、開発部隊と連携して具体的な製品提案へと繋げていく。うまく顧客の課題を先取りした提案ができれば、そこから本格的な開発がスタートするという。

「当然ながら、提案は一度で終ることはまずありません。提案の場で得た情報をもとに営業と設計が膝を突き合わせながらアイデアを出し合います 」。改善策を考え、間を空けず再提案を繰り返しながら、確実に顧客が必要とする製品を作り上げていくのだ。スピード感を伴う「ねばり強さ」や「決してあきらめない姿勢」こそ、ロームらしいビジネススタイルなのだ。

営業は、新しいモノづくりの水先案内人。

彼自身も数年前、そうしたロームの営業スタイルにより他社の牙城を崩し受注に成功している。ターゲットとなったのは、デジタルカメラのフラッシュ発光制御デバイス。カメラのフラッシュ機能はその性能次第で撮影画像に直接影響するため、そこに使われるデバイスも信頼性が最優先される分野である。当然、顧客は置き換えに躊躇し、当初は開発担当者に全く相手にされなかったため、いたずらに時間だけが過ぎていった。社内からも「もうあきらめたら?」という声が上がったほどだと振り返る彼は、それでもあきらめきれなかった。

結局、1年がかりで粘り強く周辺のエンジニアから情報を収集して、ついに担当者が求めているニーズを明確に見出したのだ。最終的に開発担当者の想定を超えた性能を持つデバイスの提案に成功。以来、ロームのデバイスは、新機種にも常に採用し続けられている。

ロームが作っている半導体という製品は、さまざまな製品に組み込まれることで異なる力を発揮する、いわば限りない可能性を内包している。ロームの営業担当は顧客とロームのパイプ役となって、その可能性を一つひとつ掘り起こしていく役割を担っているのだ。

そんな彼の行動規範となっているのが、上司が教えてくれた「一つ上の立場で考えろ」という言葉。今、自分が置かれている立場より一段高い視点からさまざまなモノを見るように心がけていれば、顧客であれ、社内の人であれ、その人がどんな思いや考えをもって、何を求め動いているのかが自ずとわかってくる。これからも、さまざまな人の思いや考えを共有し、それにしっかりと応えることで、現在と未来の橋渡しをしていきたい。自らが新しいモノづくりの水先案内人となって、顧客や仲間と一緒に、一歩先の未来を創り上げているという確かな手応えこそが原動力なのだ。