社員インタビュー
研究開発[研究]の仕事
研究開発[研究]の仕事

ロームが持つ半導体の微細加工技術を活用し、世界で初めて実現したμTAS技術を利用したバイオチップの開発に取り組む、ナノバイオニクス研究開発センター。そこで現在携わっている生化学検査用バイオチップは、血液中の血漿成分から特定の項目を測定検査するもの。バイオチップの中では、チップ内に刻まれた微細な流路に沿って血液と試薬を遠心力によって液動作させ、それらを分離・混合させることで、検査物質の濃度を測定する仕組みとなっている。少量の血液で、分析時間も非常に短く、従来は大型の機器でしかできなかった測定を小規模な機器で可能にした画期的な製品である。医療過疎と呼ばれる地域や、血液を多量に採取できない新生児診療での活用が、社会的に期待されているのだ。

この開発において最も難しいところは、遠心力を制御しながら、チップ内の液体の動きをコントロールする流路の設計である。それこそがμTAS技術の核心だという。

「ポイントは、液の動作を具体的にイメージすること。こうすればこう動くだろうと予測したうえで、実際にチップを試作し、液の動作を確認します。もちろん予想通りなら最上ですが、予想と異なる結果が出た時も面白く、なぜ違ったかを徹底的に考えます」と語るのだが、限られた時間のなかで原理・原因を解明するプロセスは悩ましいという。 だがそれをはっきりさせることが、今後の開発にとっての糧となる。医療現場のニーズに応えられるよう、バイオチップで測定できる項目を増やすことを目標としている。そしていつかは自分自身で温めたアイディアをもとに、新たなバイオチップを一から作り上げるという未来に向かって日々歩んでいる。