三門
各時代の建築様式から感じる長い歴史
 

法堂正面に構える重厚な三門。寺院の門の多くは「山門」と称されているのに対し、東福寺では「三門」と表記されています。それは、この門が三境地を経て悟りの世界へ至る門という意味の「三解脱門」を略しているからです。
約22mもの高さを誇る三門は、室町時代に足利義持によって再建された姿をそのまま残しています。そのため、禅宗三門としては最大かつ日本最古の遺構で、国宝にも指定されています。また、門の上部にかかる扁額は、義持が「妙雲閣」(みょううんかく)と直筆したもの。この「妙」という字は、女人禁制という禅の教えに基づき、「妙」の「女」偏を避け、「玄」が代用されています。
建物の造りや反り返った屋根、門楼などはオーソドックスな禅寺の門であるものの、実は禅宗とは違う特長が随所に見られます。たとえば、柱と梁や屋根などには、奈良の東大寺南大門のような大仏様(だいぶつよう)の建築様式が。上層の屋根の裏側の垂木の配置には、中国から大仏様が伝わる前から用いられてきた建築様式である和様の様式が見られます。
さまざまな様式が取り入れられた三門からは、まさしく東福寺がたどってきた歴史の流れを見て取れるよう。門前に立ち、流れてきた悠久の時に思いをはせてみてはいかがでしょうか。

   
三門
三門
「妙雲閣」の扁額(へんがく)
「妙雲閣」の扁額(へんがく)
 
 
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