錦の水
市場を400余年支えた命の水
  京都の地中に流れる地下水は、豆腐や伏見の地酒など、京都名物を作るうえで必要不可欠なもの。また、料亭の多くが、京料理の肝となるダシに井戸から汲み上げた地下水を使用しています。それは京都の地下水が軟水で、昆布ダシを取ると、繊細な味わいのダシとなるからです。
地下水は、錦市場が誕生したきっかけでもあります。平安時代の頃からこの一帯は地下水に恵まれ、魚・鳥などを保存するのに適していると、魚店が自然発生的に集まるようになったのです。近年、京都盆地には、211億㎥という、琵琶湖に匹敵するほどの水量が蓄えられているという研究結果が発表されました。この結果からもわかるように、豊富な地下水が食材としてもツールとしても、京のうまいもんを支えてきたのです。
今日に至るまで市場を支えてきた地下水「錦の水」は、まさしく市場の命の水。しかし、1960年に阪急電車の延伸工事で、市場一帯の地下水脈が断ち切られそうになりました。「錦の水」ましてや「錦市場」の存亡がかかった出来事に、錦市場では組合が一丸となってより深い井戸を作る井水工事に取り組み、その危機を乗り越えたのです。
魚をはじめ、豆腐や湯葉、麸、漬物など水に関わりがある食材を多く扱い、今も活気にあふれる錦市場。そのにぎやかさは、地中を脈々と流れる地下水あってこそのものなのです。
昭和2年の頃
昭和2年の頃
錦天満宮に湧く錦の水は自由に汲むことができる
錦天満宮に湧く錦の水は
自由に汲むことができる
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