京都が誇る世界遺産の一つ・龍安寺。一番の見どころである石庭には、清少納言が枕草子で記した「冬はつとめて」(冬は早朝がすばらしい)というフレーズが似合う景色が広がります。シンと張りつめた空気の中、座して庭を眺めているだけで、時間があっという間に過ぎていきます。
石庭は、白砂に砂熊手という道具で線引きすることで水の流れを表し、石を島に見立てる枯山水庭園。1975年に来日したイギリスのエリザベス女王が絶賛したため、世界中に「ロックガーデン」として知れ渡りました。現在、日本人のみならず多くの外国人観光客がこの石庭を目的に龍安寺を訪れます。
このように、龍安寺といえば石庭というイメージが強いですが、見どころはほかにもあります。たとえば、水戸黄門寄進のつくばいや日本最古の侘助椿(わびすけつばき)など、歴史的価値の高いもの。また、境内を回遊式庭園と見立てる鏡容池(きょうようち)は、その昔はオシドリの名所として石庭よりも有名だったほど、風光明媚な景色を見せます。
白砂と石が生み出すモノクロの世界で忘我の境地に浸るもよし、四季折々の風景が美しい鏡容池を散策するもよし。思い思いの過ごし方を楽しむことができます。 |