知って得するキーポイント

220機種以上のラインアップを持つモータードライバICシリーズ内ピン互換、進角制御機能により高効率 250V/600V高電圧高耐圧三相ブラシレスDCモータードライバーIC

2018.08.07

ロームには220機種以上のモータードライバーICがあり、多くの実績を持っています。カバーするモーターは、ブラシ付きDCモーター、ステッピングモーター、単相ブラシレスDCモーター、三相ブラシレスDCモーター(高電圧含む)と多岐にわたり、高効率と高信頼性を備えた幅広い電圧、電流、パッケージのラインアップがあり、ピン互換品も用意しています。

三相ブラシレスDCモータードライバーには、250Vと600V耐圧の高電圧バージョンが20機種ほどあり、汎用電圧バージョンと合わせると40機種以上のラインアップになります。高電圧バージョンは、ホールセンサ付きモーターに対応通電角120度/150度/180度(正弦波)、電流1.5A~2.5Aの多彩なラインアップになっています。エアコンや空気清浄機などの家電用、住設用ファンモーターなどに適しています。

ロームの高電圧三相ブラシレスDCモータードライバーICの特長

●ピンコンパチブル

ロームの高電圧三相ブラシレスDCモータードライバーには、コントローラ、ドライバー、コントローラ+ドライバーのモータードライバーの3シリーズがあり、各シリーズ内ではピンコンパチブル(ピン互換)になっています。また、各シリーズには耐圧、出力電流、駆動方式別のラインアップが揃っています。モーター仕様ごとに基板を設計する必要がなく、設計途中で仕様変更が生じた場合も同様に同じ基板でドライバーICを変更するだけで済みます。開発、設計の能率が向上し、製品の市場投入までの時間を短縮することが可能です。

以下は、コントローラ、ドライバー、モータードライバーの機能区分を示したブロック図です。

ピン互換、ロームの高電圧三相ブラシレスDCモータードライバーシリーズ

●豊富な保護機能

高電圧を扱うため、多くの保護機能を搭載することで安全性と信頼性を高めています。以下は保護機能の一覧です。

UVLO(低電圧保護機能) ハイサイド電源、Vccライン、内部REGのそれぞれに内蔵。電源電圧のドロップによる誤動作を防止。
TSD(過熱保護機能) コントローラチップの温度を監視し、設定温度を超えると作動。
CL(電流制限機能) PGND端子電圧を監視して、一定電流以上にならないようにする。
OCP(過電流保護機能) PGND端子電圧を監視して、一定電流以上流れると出力(上下アーム)をすべてOFFにする。
MLP(モーター拘束保護機能) モーターが一定時間ロックしたことを検出すると、出力(上下アーム)をすべて「L」にする。
ホール入力異常検出機能 ホール入力信号がすべて「L」もしくは「H」になった場合、出力(上下アーム)をすべて「L」にする。
Fault出力 TSD、OCPのどちらかを検出した場合、FOB端子を「L」にする。

●進角制御機能(150度通電、正弦波通電制御方式機種)

モーターの効率を最大にするためには、磁石(ロータ)磁界の位相とコイル(巻線)磁界の位相を90度にして最大トルクを得るのが理想です。下図が示すように、相誘起電圧と相電流を掛け算が相のトルクになりますが、掛け算が負の部分(下図左側、灰色の帯で示した期間)はマイナスのトルクになってしまいます。これを改善し効率を向上させる方法として、ホール信号に対してドライバー出力信号の位相を制御する方法があります。相印加電圧位相を進め、誘起電圧と電流位相合わせることで(下図右側、緑色の矢印)、マイナストルク期間を排除します。

ロームの高電圧三相ブラシレスDCモータードライバーシリーズの進角制御機能。進角制御によりマイナストルク期間を排除して効率を向上させる

進角値は、モーターの特性、回転数、負荷トルク(電流値)により最適値が様々に変化するので、使用状態に応じて適正な値に設定する必要があります。ロームの正弦波通電、150度通電対応機種には進角設定の機能が内蔵されており、下の図が示す3通りの方法で設定することができます。最大限の効率が得られるように、進角値を設定することができます。進角値の設定は、BM6206FS、BM6207FS、BM6225FS、BM6226FS、BM6224FS、BM6214FSが0~+30度、BM6208FS、BM6209FS、BM6227FS、BM6228FS、BM6215FS、BM6229FSが0~+40度です。

ロームの高電圧三相ブラシレスDCモータードライバーシリーズの進角制御機能。3種類の設定方法

●内蔵パワーMOSFETにPrestoMOSTMを採用(モータードライバー600V品)

パワーMOSFET内蔵の600V耐圧モータードライバーには、ローム独自のPrestoMOSを採用しました。PrestoMOSは、従来のスーパージャンクションMOSFETの逆回復時間(trr)の高速化を図りつつ、オン抵抗とゲート容量も低減したことで、IGBTに対して大幅に損失を低減することができるスーパージャンクションMOSFETです。これにより、高電圧モータードライブアプリケーションにおいて、さらに高効率なモータードライブが可能になります。

PrestoMOSの詳細についてはこちらを参照してください。

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