知って得するキーポイント

220機種以上のラインアップを持つモータードライバIC制御の最適化による静音性と高信頼性 ステッピングモータードライバーIC

2018.08.07

ロームには220機種以上のモータードライバーICがあり、多くの実績を持っています。カバーするモーターは、ブラシ付きDCモーター、ステッピングモーター、単相ブラシレスDCモーター、三相ブラシレスDCモーター(高電圧含む)と多岐にわたり、高効率と高信頼性を備えた幅広い電圧、電流、パッケージのラインアップがあり、ピン互換品も用意しています。

ステッピングモータードライバーには高効率、高信頼を基本とした40以上の機種があります。CLK-IN、PARA-IN、CLK-IN/PARA-IN選択可の制御方法が選べ、電圧、電流、インタフェースごとに幅広いラインアップを揃えています。MIX DECAY機能、1電源対応、簡単CLK-IN制御、充実した保護機能、PWM定電流制御(他励方式)、スパイクノイズブランキング機能内蔵(外付けノイズフィルタ不要)、電源未印加時誤動作防止機能、パワーセーブ機能、超小型、超薄型などを特長としています。

MIX DECAY機能

モーター電流が減衰する時、電流回生モード(SLOW DECAY、FAST DECAY)によっては電流の追従が悪くなり、モーターに振動やノイズが発生する原因になります。その対策として、電流減衰時にSLOW DECAYとFAST DECAYの割合を外部で調整できるようにしたのがMIX DECAY機能です。

ロームのステッピングモータードライバーICのMIX DECAY機能。FAST DECAYとSLOW DECAY期間を調節可

SLOW DECAYは、モーターコイル間にかかる電圧が小さく回生電流が穏やかに減少するため、電流リップルは小さくなりモーターのトルク面に関しては有利です。FULL STEPモードや低パルスレート駆動のHALF STEP、Quarter STEP、1/16 STEPモードに適しています。しかし、小電流領域における電流制御性の悪化による出力電流の増加や、高パルスレート駆動時にモーター逆起電圧の影響を受けやすいため、電流制限値の変化に追従できず電流波形が歪みモーター振動が増加します。

FAST DECAYでは、回生電流が急激に減少するので高パルスレート駆動における電流波形の歪みを軽減できるため、高パルスレート駆動のHALF STEP、Quarter STEP、1/16 STEPモードに適しています。しかし、出力電流のリップルが大きくなるため平均電流が低下し、モータートルクの低下とモーターの損失増加による発熱の増加が検討課題になります。

MIX DECAY方式はSLOW DECAYとFAST DECAYのそれぞれの課題を解決するため、電流減衰中にSLOW DECAYとFAST DECAYを切り換えることで電流リップルを大きくせずに電流制御性を改善します。また、SLOW DECAYとFAST DECAYの時間比率を調整することができ、様々なモーターの制御状態を最適化することが可能です。

1電源対応
通常、モータードライバーは制御系電源(5V系)と駆動系電源(24V、12V)の2系統の電源を必要とします。ロームのモータードライバーICは制御系用の電源回路を内蔵しているので、駆動系電源だけがあれば動作します。12Vや24Vから5Vへの降圧DC-DCコンバータなどを別途用意する必要がなく、小型化やコスト削減が可能です。

ロームのステッピングモータードライバーICのMIX DECAY機能によるモーター電流歪みの改善例。

簡単なCLK-IN制御
CLK-IN、PARA-IN、CLK-IN/PARA-IN選択の3タイプのドライバーがあります。PARA-INは2相ステッピングモーターの場合は4本のロジック信号で制御しますが、CLK-INは内蔵のトランスレータ回路により1本のクロック信号で制御ができ、簡単かつシンプルです。

ロームのステッピングモータードライバーICは1電源で動作

充実した保護機能
以下のような各種保護回路を搭載しており、安全性と信頼性を高めています。

過電流保護回路(OCP):モーター出力間短絡、天絡、地絡時の破壊対策用です。電流が制限値を規定時間以上流れるとモーター出力をOPEN状態にラッチします。電源再投入あるいはPS端子によるリセットで復帰します。

ロームのステッピングモータードライバーICの簡単なCLK-IN制御

過電圧時出力OFF機能(OVLO):電源過電圧時のIC出力およびモーターの保護機能です。VCC端子への印加電圧が規定電圧以上になった場合、モーター出力をOPENにします。

ロームのステッピングモータードライバーICの過電流保護回路(OCP)

低電圧時誤動作防止機能(UVLO):VCC端子への印加電圧が規定値以下になった場合、モーター出力をOPENにします。UVLOが作動した場合には電気角はリセットされます。

電源未印加時誤動作防止機能(Ghost Supply Prevention機能):電源が印加されていない状態で制御信号(ロジック信号、MTH、VREF)が入力された場合、VCCへの電圧の回り込みによる誤動作を防止します。

温度保護回路(TSD):過熱保護対策としてサーマルシャットダウン回路を内蔵しています。ICのチップ温度が175℃(typ.)以上になった場合モーター出力をOPENにします。150℃(typ.)以下になると自動復帰します。

知って得するキーポイント