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コラム

Motor Notes

ブラシレスモータのセンサ付と
センサレス駆動の特徴と使い分け

私たちの身の回りにはたくさんのモータが使われています。エアコン、洗濯機、掃除機などの家電、冷却ファン、ハードディスク、DVDなどが搭載されているPC、その他、自動車、電車、ビル、工場などでも目に見えないところで多くのモータが活躍しています。

これらの中にはモータの回転数やトルクの制御が行われているものがたくさんあり、その起動および駆動方式を大別すると「①位置センサ付駆動」と「②位置センサレス駆動」の2つに分けることができます。

  • ①位置センサ付駆動:モータの回転速度や回転位置を検出するセンサが必要なモータ駆動法
  • ②位置センサレス駆動:上記センサが不要なモータ駆動法

モータドライブシステムの基本構成

①のセンサ付駆動のメリットは、モータの起動および駆動時の位置および回転検出を確実に行い、ハードロジックコントローラ内蔵のモータドライバで低速から高速までスムーズなモータ駆動と回転制御が可能な点です。デメリットは、モータ内にホール素子/ホールICなどのセンサを実装しなければならないことから、センサの実装位置精度の考慮を要することと、センサとモータコントローラを接続する配線が必要になることです。

②のセンサレス駆動のメリットは、物理的にセンサが配置できないモータや、高温、水、油など劣悪な環境にさらされるモータの駆動に対応できる点です。デメリットは速度起電圧を利用しているため低速が苦手で、回転位置はMCUの演算推定で割り出すことになるため全体の応答性が悪くなります。また、位置および回転検出センサの代わりにモータ電流、電圧、モータパラメータ(モータ巻線のR、L)を利用した演算推定は、モータの個体差の影響を受けます。なお、センサレス駆動には、MCU以外のハードロジック専用コントローラによって外部強制転流信号で起動し、その後、速度起電圧を位置信号とする方法もあります。

このようにそれぞれに一長一短があります。したがって、モータを使用する環境、信頼性の要求度合い、モータ負荷(定トルク、定出力、回転数2乗)の種類などの要求特性に応じ、それに適したモータ駆動法を選択する必要があります。

For Beginners

ホール素子/ホールIC:
ホール効果を利用した磁気センサで、磁束密度に応じた電圧を出力する。ホール効果とは、固体に電流を流し固体表面に対し垂直に磁界を与えた場合、電流方向および磁界方向それぞれに垂直方向(直交)の電圧が発生する現象。ホールIC(ホールセンサとも呼ぶ)は、オペアンプやデジタイザなどを組み合わせたもの。
速度起電圧:
磁束の時間微分である速度起電力に該当する電圧。センサレス制御での位置、速度推定法に用いる要素の1つ。
外部強制転流:
モータが停止している状態では誘起電圧が発生しないため、モータ位置を検出するためにモータの起動時に外部から強制的にモータを回転させ誘起電圧を発生させることを強制転流という。