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13.56MHz(NFC)ワイヤレス給電のアドバンテージとは Part 1

モバイル機器のワイヤレス充電には
さらなる小型ソリューションが必要

注目ワード
  • 世界最小のワイヤレス給電制御チップセット
  • ML7630
  • ML7631
  • WPC
  • Wireless Power Consortium
  • Qi
  • 残されたワイヤ
  • 13.56MHzワイヤレス給電チップセット
  • 200mW以下
  • ソリューションサイズの大幅な小型化

ラピスセミコンダクタは、世界最小*のワイヤレス給電制御チップセットML7630(受電・端末側)、ML7631(送電・充電器側)を開発し、現在量産出荷中である。このチップセットはアンテナを含めた受電部を非常に小さく実装できることが特長である。

ワイヤレス給電によるワイヤレス充電は、スマートフォンなどでWPC Qi規格を中心に増加傾向にあるが、ラピスセミコンダクタはNFC(Near Field Communication)と同じ13.56MHz帯を利用することで小型化を図り、ウェアラブルやヒアラブルと呼ばれるスマートフォンより遥かに小型のモバイル機器のワイヤレス給電を推進するという。このワイヤレス給電チップセットの特長、そしてラピスセミコンダクタの取り組みについて、ラピスセミコンダクタ株式会社 MCU開発推進部 中山 仁志氏に聞いた。*2018年3月ラピスセミコンダクタ調べ

-最近、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンなどが増えて、サードパーティから発売されているワイヤレス充電器もよく目に付くようになりました。個人的には、ワイヤレス給電・充電というとまずこの辺りが思い浮かぶのですが、最初に最近のワイヤレス給電市場の状況などを教えてください。

了解しました。ワイヤレス給電市場の全体的な状況と、ラピスセミコンダクタ(以下ラピス)がターゲットにしている市場を理解してもらうことは必要だと思います。

昨年8月に矢野経済研究所が発表したプレスリリースによると、2017年のワイヤレス給電世界市場(受電モジュール・受電機器のメーカー出荷金額ベース)は、2018年には40%以上の伸びが予測され、2023年まで年率10%前後の伸びを続けることが予測されています。また、当面の市場を牽引するのはスマートフォン用のワイヤレス給電システムであることも報告されています。そういった意味では、先ほど話しにもでましたが、現状で一般的に目にしやすいのはスマートフォン用かも知れません。

-昨年だったと思いますが、Apple社が「チー」と呼ばれるワイヤレス給電の規格を採用するといったニュースがあり、話題になりました。

ワイヤレス給電にはいくつかの規格がありますが、このところはそのApple社の件もあり、WPC(Wireless Power Consortium)の「Qi」と書いて「チー」と発音する規格が台頭しています。

-確かロームグループでもWPC Qi対応の制御ICをラインアップしていたと思います。

はい。ロームからは5Wと15Wの受電用と送電用IC、ラピスはそこにワイヤレス給電用マイコンを供給しています。いずれもWPC Qi規格対応です。

-今、給電電力の話がでましたが、ワイヤレス給電は小型電子機器に限らずかなり広い範囲で利用、もしくは利用の検討がなされていると聞きますが?

ここに給電電力とアプリケーションの関係をイメージした図があります。ワイヤレス給電は近年、「残されたワイヤ」とも呼ばれるようになった「電源ケーブル」をなくす技術で、モバイル機器から電気自動車、そして宇宙、航空に至る広範囲な電力、アプリケーションで利用可能です。ワイヤレス化がこれからのアプリケーションもかなりあるので、今後の発展が期待されている分野でもあります。

ワイヤレス給電電力と対応アプリケーション例

-それでは、今回の主題である、「13.56MHzワイヤレス給電」について伺って行きたいと思います。まず、先ほどの図ではどの辺りの領域のアプリケーションに対応するものなのでしょうか?

ラピスの13.56MHzワイヤレス給電チップセットは、200mW以下の充電アプリケーション全般をターゲットに開発しました。具体的には、ウェアラブル機器、電子ペン、医療機器、センサなどが該当します。

-なぜ、それらのアプリケーションなのですか?

例に挙げた機器は、かなり小型で必要な電力も小さな機器です。現状では、これらの機器に最適なワイヤレス給電ソリューションがなく、まだMicro-USBコネクタや接点端子を使った有線給電などが主流かと思います。この点から、ラピスは既存のソリューションがあるスマートフォンなどではなく、この領域のアプリケーションに使える超小型ワイヤレス給電ソリューションにチャレンジしました。

200mW以下のワイヤレス給電に該当するアプリケーション例

-例えば、先ほどのWPC Qiをそのまま使うことができないということですか?

物理的なサイズ面が問題になります。詳細は後ほど説明することになると思いますが、Qiの送電と給電に使うコイルは小さくて薄いながらもそこそこのサイズがあり、例えば電子ペン筐体には入りきりません。

-つまり、ウェアラブル機器、センサなどの非常に小型の機器には、既存のワイヤレス充電ソリューションでは内蔵するのが困難という課題があるわけですね。

そうです。そこで、13.56MHzという周波数帯を使うことにより、ソリューションサイズの大幅な小型化を図ったワイヤレス給電チップセットを開発したわけです。これも後ほど詳しい話をしますが、単純には周波数を高くすると使用するコイルを小さくすることができます。ちなみに、WPC Qiの周波数は110kHz~205kHzと規格によって定められています。

また、サイズとは別に、13.56MHzはおサイフケータイなどで知られている近距離通信の1つであるNFCと同じ周波数なので、NFC用のアンテナ(コイル)を共有できるなどのメリットもあります。

-なるほど。13.56MHzワイヤレス給電チップセットを開発した理由がわかりましたので、ここからは、具体的なチップセットとメリットなどを伺って行きます。

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