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IoTにはLPWAが1つの解になる Part 3

LPWAについて考える
-通信方式は妨害波耐性が鍵

注目ワード
  • LPWA
  • IEEE 802.15.4k
  • LoRaWAN
  • SIGFOX
  • 長距離化手法
  • 妨害波耐性
  • DSSS
  • スペクトル拡散
  • CSS
  • UNB
  • 狭帯域化
  • 受信感度を上げて長距離化を図ると実効データレートが反比例して低下する
  • 通信距離とデータレートはトレードオフ

-LPWAネットワークは3G/LTEに対して10倍ほど混雑するイメージで、つまり妨害も10倍あるということでした。

そうです。したがって、LPWAの無線方式を考える場合に、妨害波に対する強さというのは非常に重要なファクターになると考えています。それを踏まえて、主要なLPWA無線方式を比較したいと思います。

この表は、IEEE802.15.4kLoRaWANSIGFOXを比較したものです。

IEEE802.15.4k、LoRaWAN、SIGFOXの無線方式の比較

この3つの規格については、「消費電力はSub-GHz無線と同等で、距離は10倍」というLPWAのキャッチフレーズの部分は基本的に同等です。表の黄色の枠で囲んだ部分です。しかしながら、先ほど重要なファクターと申し上げた長距離化手法、つまり妨害波耐性を高める方法は異なっています。

IEEE802.15.4kは、DSSS(Direct Sequence Spread Spectrum:直接拡散)というスペクトル拡散の一種を採用しており、これは3G/LTEが採用している方法なのでご存知の方も少なくないと思います。LoRaWANはCSS(Chirp Spread Spectrum:チャープスペクトル拡散)という方式を使っており、これもスペクトル拡散の一種です。SIGFOXはスペクトル拡散を使わずに、UNB(Ultra Narrow Band:超狭帯域)という狭帯域化通信方式を使っています。UNBは、通信を行うための周波数帯域幅を非常に狭めることで妨害波耐性を高めています。

-これらの長距離化手法の中で、妨害波耐性の優劣があるということですか?

方式の違いで妨害波耐性に差が出ます。一般的な見地から、DSSSは強固で優れた方式であることが認識されています。この中では、IEEE802.15.4kが妨害波に対して最も強い方式と言えます。なぜDSSS方式が強いかは、回路構成なども交えて後でまとめて技術的な説明をさせてください。その前に、もう少し長距離化手法について説明をしたいと思います。

-わかりました。

それぞれの長距離化手法がどのような理論に基づくかを説明します。この表を見てください。

IEEE802.15.4k、LoRaWAN、SIGFOXの長距離化手法の比較

IEEE802.15.4kはDSSS、LoRaWANはCSSというスペクトル拡散を使って、SIGFOXはUNBという狭帯域化によって長距離化を行っていることは先ほど説明した通りです。それぞれのファクターは、DSSSとCSSが拡散係数SF、UNBは信号帯域BWになります。

改善度合いは式で表すことができ、DSSSとCSSは10・log(SF)と同じです。UNBは10・log(BWref/BW)で、BWの基準帯域とファクターのBWの比の10・logとなります。これは、具体例と改善度合いを見てもらえばすぐに理解できると思います。DSSSとCSSや10・log(16)と10・log(32)を例にしていますが、ポイントはSFを2倍にすると3dBの改善が得られる点です。UNBは信号帯域BWを1/2にすると同じく3dBの改善を得られます。

-単純な話をすれば、スペクトル拡散を利用しているIEEE802.15.4kとLoRaWANは拡散係数を大きくすることで長距離化、つまり受信感度が上がり、狭帯域化のSIGFOXは信号帯域を狭めるほど感度が上がるということですね。

その通りです。表の受信感度例は、Wi-SUNなどの標準的な900MHz帯、100kbps、感度-105dBm基準にした例で、理論的には表の式と計算結果が示す改善が得られます。長距離化を図るためには、SFを高めたり狭帯域にすればよいわけですが、ここで着目しなければならないことがあります。それは、受信感度を上げて長距離化を図ると、実効データレートDRが反比例して低下する点です。

表の例では、IEEE802.15.4kとLoRaWANのスペクトル拡散ではSFが1024で-135dBm、SIGFOXの狭帯域化では1000:1で同じく-135dBmになっています。これら3方式の受信感度の代表値は-140dBmですので、どの値を基準にするのかで違ってはきますが、このレベルの受信感度を得るには1000というファクターを要することになります。

このファクターによって100kbpsのデータレートは1/1000になり、おおよそ100bpsというかなり遅いデータレートになります。これを100bitのデータ送出時間に換算すると1000ms、つまり1秒もかかってしまう計算になります。

-何か極端な感じがしますが、そんなに遅いのですか?

最初にお見せした表にあるようにSIGFOXのデータレートは100bpsで、IEEE802.15.4kとLoRaWANは数百~数キロbpsです。SIGFOXは実際に200kHzの帯域で100Hz幅という非常狭い帯域で通信を行います。

-LPWAは「通信データレートを犠牲にして長距離通信を追求した無線方式」と前に説明をいただきましたが、今の話で理論的に理解できた感じです。

このように、LPWAの通信距離とデータレートはトレードオフの関係にあります。実際にこのデータレートでは、温度など1点のデータを間欠的に送信するには十分ですが、加速度のような連続するデータを送るのには不向きです。ただし、IoTの無線通信方式という観点からは、基本的に十分だと考えられています。

次は、長距離化手法の回路方式など詳細について説明したいと思います。

(続く)

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