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IoT無線通信の新分野として期待されるLPWA無線 Part 4

LPWAの発展は
通信システムとしての
低消費電力化が必須

注目ワード
  • ML7404
  • LPWA
  • ガス/水道スマートメータ
  • 構造物ヘルスモニタリング
  • スマート農業
  • IEEE802.15.4k
  • Sigfox
  • デュアルモード
  • BPSK変調回路のハードウェア化
  • 評価キット
  • ML7404EVB
  • IEEE802.15.4kとSigfoxのブリッジ通信が可能なモジュール
  • IEEE802.15.4k用プロトコルスタック

-ネットワークの構成、階層のイメージはできましたが、実際のアプリケーションにはどんな例があるのでしょうか?

LPWAによって無線通信距離が大幅に伸びるので、この特長を生かしたIoTアプリケーションが広がりを見せると予想しています。一般に今のところ言われているのは、ガス/水道スマートメータ、センサネットワーク、構造物ヘルスモニタリング、スマート農業、防災などですが、長距離無線通信が必要な産業機器全般に利用可能なので、既成概念にとらわれないアプリケーションも増えてくると思います。これらは、応用が期待できるいくつかのアプリケーション例です。

ガス/水道スマートメータ」の電池駆動のものは、低消費電力であることが必要です。また、隣家が遠い閑散地では、ホッピングを利用して通信伝達距離を伸ばすことができません。このような状況では、LPWA無線が有効な通信手段になります。

LPWAアプリケーション例:左:ガス/水道スマートメータのネットワークの課題。右:ガス/水道スマートメータ用末端デバイスの例。

構造物ヘルスモニタリング」では、橋やトンネルなどでセンシングのための電源確保が難しい場合や、長い通信距離が必要な条件でのセンサデータの収集にはバッテリ駆動のLPWA無線が有効です。

LPWAアプリケーション例:左:構造物ヘルスモニタリング。右:LPWA構造物ヘルスモニタリング用末端デバイスの例。

スマート農業」では、センサデータを収集するために電池駆動で広範囲をカバーする必要があります。

LPWAアプリケーション例:左:スマート農業ネットワーク。右:LPWA通信電池駆動土壌センサの例。

-それでは、無線通信LSIそのものについて教えてください。

ML7404は、LPWASigfoxIEEE802.15.4kの両方の無線方式に対応したデュアルモードSub-GHz無線通信LSIです。ML7404は、次の3つの業界初を実現しました。

  • ・IEEE802.15.4k無線通信に対応
  • ・デュアルモード対応(Sigfox、IEEE802.15.4k)
  • ・SigfoxのBPSK変調部をハード化し、システム消費電流を削減

ML7404:SigfoxとIEEE802.15.4kの両方の無線方式に対応したデュアルモードSub-GHz無線通信LSI。

-通信方式のポイントやデュアルモードのメリットはすでにお聞きしたので、「SigfoxのBPSK変調部をハード化」について説明をお願いします。

Sigfoxには、従来のSub-GHz無線では採用のないBPSK変調が使用されています。既存のSigfox対応無線通信LSIは直接BPSK変調に対応していないため、別途、制御マイコンがソフトウェアによってBPSK変調を行う必要があります。この方法では、無線通信を行う度に制御マイコンを動作させる必要があり、その分の電力を消費します。ML7404はSigfoxに対応するにあたり、BPSK変調回路のハードウェア化を行いました。これにより、図の「電流消費イメージ」にあるように、制御マイコンは無線通信動作中にBPSK変調動作をする必要がなくなり、通信システムとしての低消費電力化を図っています。

ML7404:Sub-GHz無線通信LSI。BPSK変調回路のハードウェア化のメリット。

IoTにおいては、末端デバイスにかかわらず低消費電力であることは必須の要求事項です。LPWAにおいては、LP、つまりローパワーがキーになっているので、このようなシステムレベルでの低消費電力化を図ることは非常に重要です。

-他には何かありますか?

他に無線通信LSIとして細かい仕様や特長はいろいろありますが、それは弊社のウェブサイトで提供しているので、そちらを参照していただければと思います。これは、ML7404の主な仕様をまとめた表です。一部は参考値であり、通信条件や周辺環境よって変わりますのでご了承ください。

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-設計者にとっては、比較的新しい無線方式を導入した機器開発はけっこう大変だと思いますが、サポート体制はありますか?

アプリケーション開発用のML7404評価キット「ML7404EVBを用意しています。評価ボード、制御ボード、ソフトウェアツールがセットになっており、PC用GUIは対話型なので送受信テストの設定が簡単にできます。また、RFテストマクロが同梱されており、すぐにTELEC試験項目の測定も可能です。

また、ML7404を搭載したIEEE802.15.4kとSigfoxのブリッジ通信が可能なモジュールがパートナー会社から発売予定で、IEEE802.15.4k用プロトコルスタックもパートナースタックベンダ会社がオープンソースとして提供を予定しています。

-最後にまとめをお願いします。

LPWAはIoT発展の鍵の1つだと考えています。IoTの観点から、LPWAネットワークは数多くの端末を収容することが宿命になります。また、様々な条件下でもつながる必要があり、それは人がいるところだけと限りません。実際のところ、このような要件をすべて満足する単一の無線方式はありません。そのため、長所と短所をうまく補完し合う無線方式の組み合わせが非常に有効だと考えています。特にLPWAは黎明期であることから、デュアルモードによってつながる安心を得るというアプローチは価値があると考えています。ぜひ、LPWAに対するラピスコンダクタの提案である、Sigfox+IEEE802.15.4kのソリューションを検討していただきたいと思います。

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