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IEEE802.15.4kとSigfoxのLPWA間のブリッジ通信を実現:業界初の「LPWAブリッジ通信用ソフトウェア」を開発

2019.03.12

ラピスセミコンダクタは、SigfoxおよびIEEE802.15.4k / IEEE802.15.4gの複数無線通信規格に対応する無線通信LSI「ML7404」を用いたIoT機器や中継機に組み込むことで、Sigfoxのサービスエリア外からの通信を可能にする、業界初*の「LPWAブリッジ通信用ソフトウェア」を開発し、ホームページから無償ダウンロード提供を開始しました。*2019年01月 ラピスセミコンダクタ調べ

IoTの発展には、LPWAにどこからでもつながる必要がある
Sigfoxは、IoTネットワークで用いられるLPWA無線通信として展開が進んでいます。基地局の設置が不要で、他の方式と比べ端末コストがリーズナブルなことから導入しやすいサービスとして、すでに60の国と地域で採用されています(2019年1月1日時点)。日本国内では京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)がサービスを提供しており、主要都市では使用できるエリアが広がっています。

しかしながら、農地や山岳地帯などはSigfoxのサービスエリア外であることも多く、LPWAネットワークを利用するIoTシステムの導入には、エリア外での通信を補完する必要があります。

IEEE802.15.4kとSigfoxのLPWA間ブリッジ通信を実現するソフトウェアを開発

このような状況に対して、ラピスセミコンダクタは「LPWAブリッジ通信用ソフトウェア」を開発しました。SigfoxとIEEE802.15.4k / IEEE802.15.4gに対応した無線通信LSI「ML7404」が搭載されたIoT端末や中継機(リピータ)端末に組み込むことで、IEEE802.15.4kとSigfoxを使ったLPWA間のブリッジ通信を実現し、課題であるSigfoxサービスエリア外からの通信を可能にします。これにより、Sigfoxだけでは難しかった広範囲で堅牢なIoTシステムを構築できるようになります。このソフトウェアは、ラピスセミコンダクタのホームページ内のサポートサイトで無償提供しています。

IEEE802.15.4kとSigfoxのLPWA間のブリッジ通信を実現した、業界初の「LPWA ブリッジ通信用ソフトウェア」の概要。

関連情報

■無線通信LSI:ML7404
ML7404は、LPWA無線通信のSigfox、IEEE802.15.4k、IEEE802.15.4gの3つの無線方式への対応を実現した無線通信LSIです。

LPWA無線通信のSigfox、IEEE802.15.4k、IEEE802.15.4gの3つの無線方式への対応を実現した無線通信LSI「ML7404」の外観。

※IEEE802.15.4k
元来Smart Gridでの活用を主目的に策定されたもので、直接拡散方式(DSSS)の採用により同一システムの妨害波耐性が高く、反射波が多い市街地でも高品質の長距離通信が可能。

※IEEE802.15.4g
Smart Utility Networkを主用途に想定した無線通信方式。日本では電力スマートメータのBルートやHAN(Home Area Network)向けのWi-SUNの物理層として採用されている。LPWAが見通し10km以上の伝送を目指しているのに対し、IEEE802.15.4gは1km以下の伝送距離を想定することが多く、LPWAにも含まれるが近距離無線方式の一種と分類されることが多い。

■ML7404リファレンスデザイン
ラピスセミコンダクタでは、ユーザーの設計時間を短縮するリファレンスデザインを開発し、無線モジュールの設計データ一式(回路図、部品表、レイアウトデータ)を提供しています。

このリファレンスデザインは、Sigfox社による「Sigfox Verified Certificate(日本向け)」を、日本の半導体メーカーとして初めて取得しました。さらに、日本の電波法令に適合していることを証明する「工事設計認証」も取得済みです。

ML7404リファレンスデザイン。

■開発サポート
上記の「LPWAブリッジ通信用ソフトウェア」、「ML7404リファレンスデザイン」に関する各種資料や情報は、ラピスセミコンダクタのサポートサイトから無償でダウンロードすることができます。

今後も「ML7404」をベースに、メンテナンス負荷の軽減を目的とした遠隔で端末のファームウエアが更新できる「FOTA」など、容易にLPWA通信を実現するためのソフトウェアを順次提供する予定です。

※ FOTA
Firmware update Over-The-Airの略。無線通信を利用してファームウエアを書き換える技術、方式。FUOTAや単にOTAと略される場合もある。下り通信の速度と容量に制約のあるSigfoxでは、実質的に実現不能。ML7404では高速のIEEE802.15.4g(~100kbps)を用いてSigfox端末のFOTAを実現可能。

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