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IoTにはLPWAが1つの解になる Part 2

LPWAについて考える
-通信距離とネットワークの特徴

注目ワード
  • LPWA
  • IEEE 802.15.4k
  • LoRaWAN
  • SIGFOX
  • Sub-GHz無線の10倍
  • IoTアプリケーションに合った使い方
  • ライセンスLPWA
  • アンライセンスドLPWA
  • 混雑度

-ここまで、IoTの無線方式として「高品質&手軽さ」のポイントが高く、LPWAとして注目されている無線方式として、IEEE 802.15.4k、LoRaWAN、SIGFOXの3種類があるという説明をいただきました。ここからは、LPWAの観点で無線方式や仕様、特徴などを伺って行きたいと思います。

-そう言いながら、最初にちょっと教えてほしいことがあります。すでに、LPWAとしていくつかのサービスや実証実験が行われていると思います。先ほど見せていただいた表などでは、これらの無線は10000m、つまり10km先に届くと言うことでしたが、実際のところはどうなんでしょうか?

そうですね。既存のSub-GHz無線の10倍の通信距離といきなり言われても、にわかに信じがたいかもしれませんね。もちろん、これは魔法でもなんでもなく、きちんとした理由があります。それは後々説明するつもりですが、まずは到達距離に関するデータがありますのでご覧ください。

ラピスセミコンダクタのデバイスによるLPWA無線通信の実験

これは、ラピスセミコンダクタのデバイスで実験したものですが、神奈川県の江ノ島展望灯台から海上で見通し6kmをエラーフリーで、11kmをBER(ビットエラー率)=1%での通信が確認できています。

もう1つ、こちらの資料は、すでにIoTネットワークとしてグローバル展開されているSigfoxの日本国内通信事業者の京セラコミュニケーションシステム(KCCS)がワイヤレスジャパン2017で行った基調講演のもので、東京都千代田区永田町の基地局への上りデータ通信の例では、千葉県浦安市新浦安からの16.1kmの通信距離が確認されています。

KCCSのLPWA無線通信距離の資料

-現実的にも10kmの通信距離が確保できるのですね。

実際のところ、これらのデータはかなり良い条件での結果だと思ってください。基地局と端末の位置関係において建物などの障害物があると通信距離は大きく変わります。弊社の実験では江ノ島展望灯台という高い位置からの送信です。KCCSのデータも基地局はおそらく携帯電話の基地局への併設、つまり高所であり通信には有利な条件です。とはいえ、IoTの無線通信としては十分な通信距離をもっていることは事実です。

-こういった情報を公開しているということは、実証実験なども進んでいるのでしょうか?

これは、メディアで報道された記事などのスクラップですが、すでに数々の実証実験のほか、駐車場監視はサービスが始まっていると思います。

LPWA実証実験&サービスインの例

-すいません。少し話がそれてしまいましたが、LPWAの通信距離は条件によるとしても実際に10kmが可能なことはわかりました。

ちょっと、こちらの表を見ていただけますか。

LPWAと呼ばれる無線方式の一覧
(クリックで拡大)

これは、2017年6月の時点で、知る限りのLPWAと呼ばれているものの一覧です。黄色の枠の項目は、Peak data rateとMaximum Range/Coverage(link budget)です。最大データレートと、もう一方はとりあえず感度/到達距離と理解してください。いくつかを除いては、基本的に数十~数十k bpsという低い通信データレートで通信距離が長い仕様になっています。先にお見せしたデータレートと通信距離による通信方式のマッピングで示したように、多くつの通信方式が100k bpsからメガオーダーのデータレートであるのに対し、LPWAは基本的に通信データレートを犠牲にして長距離通信を追求していると言えます。

そういった意味では、通信距離は気になるところだと思いますが、IoTのためのLPWAを考えた場合、どれだけ通信距離が長いかだけではなく、そのIoTアプリケーションに合った使い方ができることが重要だと考えています。

ちなみに、赤枠のNB-IoTはライセンスバンドのLPWAという意味で枠を付けてあります。ライセンスドLPWAとアンライセンスドLPWAに関しては前回お話したと思います。

さて、ここまでは無線の仕様面からLPWAを考えてきましたが、最終的には無線ネットワークシステムですので、ここでLPWAネットワークの必要条件を考えてみたいと思います。

-そうですね。先ほどの話にあった「IoTアプリケーションに合った使い方ができる」LPWA無線方式を考える場合、ネットワークの特徴が関係してきますよね。

その通りです。まずは、混雑度について考えてみたいと思います。この図は、LPWAと3G/LTEの混雑度をイメージするための比較です。

まず、エリア半径ですが、3G/LTEの3kmに対してLPWAは先ほどから話に出ているように10kmとします。面積比較では11倍ちょっとですが、10倍とします。対象は、LPWAの場合は主には物ですが、人も含んでかなりの数になることが想定されていますので、これも10倍とします。通信頻度は、だいたい同じでしょうか。そして、1回の通信長はLPWAが数10m sec、3G/LTEは数100m secですので1/10、0.1倍です。3G/LTEはデータ量が多い場合があるのでもっと長い感じがすると思いますが、1回分としてはこの程度で、これが累積されます。

LPWAネットワークの混雑度と必要条件

結果として、LPWAの混雑度は3G/LTEの10倍ほどになると想定されます。別の表現をすると、「妨害波の数が10倍ある」ということになり、これから考えると、LPWAの無線方式は妨害波に強いことが重要な必要条件になると考えています。

-なるほど。確かに人が集まるところではエリア内に相当数のスマホがあるのでしょうが、IoT機器が本格的に普及すると、かなりの混み具合になるのは想像できます。その際に、スマホで言うところの「つながりにくい」とか「ダウンロードが遅い」みたいなことになりかねないですよね。

そうですね。ということで、主要なLPWA無線方式の妨害波に対する特徴を、他の特徴も交えて説明して行きたいと思います。

-わかりました。お願いします。

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