センサ|基礎編

加速度センサの動作原理

2020.02.12

この記事のポイント

・加速度センサとは、単位時間当たりの速度=加速度を測定するセンサ。

・原理的には、移動や傾きによって生じる、バネにぶら下がったおもりの位置変化を測定し加速度を求める。

今回からセンサについて具体的な説明して行きます。「はじめに」で述べたように、IoTを意識した観点で進めて行きます。最初は、「加速度センサ」です。近年、スマートフォンを始めウェアラブル機器他、多くの機器に使われており、最も身近なセンサの1つと言えるかも知れません。

加速度センサとは

加速度とは単位時間当たりの速度のことを言い、その加速度を測定するセンサが加速度センサです。加速度を測定することで、物体の動き、傾き、振動などの度合いを計測することができます。

加速度には一般に3つの単位が使用されています。

  • ・SI単位系のm/s2(メートル毎秒毎秒)
  • ・MKS重力単位のG(ジー):標準重力加速度(1G=9.806 65 m/s2
  • ・CGS単位のGal(ガル):地震の揺れの加速度(100 Gal=1 m/s2

加速度センサの動作原理

この図は、加速度センサの一般的な測定方式を模式化したものです。図のようにバネにつながったおもりは、このボックスを例えば左上に移動させた場合、つまり加速度が発生した場合、おもりの位置が変化します。この位置変化を捉えることで加速度を導出します。

右側の図は、おもりの位置から傾きを測定する原理を示しています。実際の静止状態は、重力1Gがかかっています。ボックスが傾くと、おもりの位置が変化して重力方向がわかるので、それを傾きとして検出できます。

加速センサの動作原理

加速度センサの軸

加速度センサには、「軸」という概念があります。例えば、3軸加速度センサは、X、Y、Z軸(方向)、平たく言うと左右前後上下のGを測定できます。アプリケーションによって何軸必要になるかは異なりますが、3次元の状態を把握できる3軸タイプは近年多く使われています。3軸加速度センサは、一定方向のGを測るセンサが各方向分、つまり3個が1つのデバイスになったものです。

先の動作原理の説明に使った図は、バネがX、Y、Z方向になるので3軸になります。3軸加速度センサでの傾斜を検出する例を以下に示します。軸に関するイメージができると思います。

3軸加速度センサでの傾斜を検出する例

Y軸を水平に固定として、センサが回転した場合です。このとき変化するのは、XとZです。図はXとZが変化した時のセンサ出力を電圧値としてグラフにしたものです。X軸出力Vxは水平状態(0度/0g)から90度回転すると+1gを示し、さらに+90度回転し+180度(裏返って水平)では0gとなります。当然ながら、Y軸出力Vyは0gのまま変化しません。Z軸出力Vzは、90度位相がずれた出力となります。

傾斜θを求めるには図にもあるように、合成ベクトル|G|=Aとすると、G=(Vx, Vy, Vz)=(A sinθ, 0, A cosθ)となります。

次回は、加速度センサの分類とアプリケーション例を予定しています。