センサ|基礎編

センサとは

2020.01.14

この記事のポイント

・センサとは、本質的には「物理量を変換する素子やデバイス」。

・IoTではアプリケーションが広範に及ぶことからセンサに求められることは多種多様。

センサは古くから様々な機器やシステムに使用されており、エレクトロニクスの技術者でなくても目にしたり使ったりしているものです。

特に近年は、IoTの展開において欠かすことのできないものとなっています。IoTでは、スマートフォンやパソコンだけでなく、医療機器、ウエアラブル機器、車載、自然環境、インフラなど、あらゆるモノがインターネットにつながり、情報を共有することにより社会の利便性と安全性を高めます。そのためには、様々な状態や情報を検知するセンサが必須となります。

Tech Web IoTの新コーナー「センサの基礎」では、様々な種類のセンサの中からIoT機器に関連するものを中心に取り上げて行く予定です。

センサとは?

センサとは、本質的には「物理量を変換する素子やデバイス」です。検知や制御のための情報を得るために、物体の状態、性質、物理現象の量を電気的な量などに変換し、物理量の変換には各種の物理法則が用いられます。センサが検知し変換する物理量の代表的なものとして、温度、光、色、圧力、磁気、加速度などがあります。また、センサの多くは物理的・化学的センサですが、近年、有機物質の検知にはバイオセンサの利用も広がっています。

代表的なセンサの例

代表的なセンサの例。

センサは、最も単純なものではセンサ素子のみの構成です。センサ素子は、文字通り物理量を電気的な量に変換する素子です。センサ素子を使うには、微小なセンサ信号を精度よく取り込みデジタル化する信号処理回路が別途必要になります。近年の主流は、センサ素子と信号処理回路などを一体化したセンサモジュールで、センサモジュールを単にセンサと呼ぶことが多くなりました。さらには、表示器や通信機能を備えたユニット的なものもセンサと呼ぶこともめずらしくないので、センサと一口に言っても幅広い形態があります。

センサ素子、センサモジュール、センサユニットのイメージ。

現在、デジタル化された信号を出力するセンサが台頭していますが、基本的にセンサ素子の出力はアナログ量の電圧や電流で多くは微小な信号です。その信号を利用するには高度なアナログおよびデジタル処理が必要です。本来のセンシング技術とは、ある現象を検出するためのセンサ素子の研究開発から、そのセンサ信号を高精度に処理するためのアナログフロントエンド(アンプ、フィルタ、ADコンバータなどによるアナログ信号調整回路)の開発設計を含んだもので、産業制御分野では主軸となる技術の1つです。産業制御分野では、センサからの情報はコンピュータ処理がなされシステムの閉ループ制御に利用されるなど、システムの一部分としての役割を担うことが主です。

これに対してIoTでは、アプリケーションが広範に及ぶことからセンサに求められることは多種多様です。もちろん産業制御と同様の高度なセンシングが必要な例も多々ありますが、例えば温度など比較的単純なデータだけを適宜クラウドに直接送信し、蓄積した大量のデータから兆候や傾向を分析するなど、単一のデータ収集機器として活用される例が増えています。したがって、センサに対する要求も性能だけではなく、開発・設計の手軽さ、コンパクトさや軽量であることなどが重視されるなど様々です。