EnOcean|基礎編

DolphinView Advanced

2019.11.12

この記事のポイント

・EnOceanアプリケーション開発のためのツールがEnOcean社から提供されている。

・DolphinView Advancedは、受信テレグラム(Radio, Serial)の評価や解析を行うことが可能な可視化ツール。

・DolphinView Advancedには、評価・解析機能として11個のプラグインモジュールが含まれている。

今回は、DOLPHIN V4 開発ツールのDolphin V4 APIDolphin V4 Suite に続いて、3つ目の、「DolphinView Advanced」についての説明です。

DOLPHIN V4開発ツール:DolphinView Advanced

DolphinView Advancedは、受信テレグラム(Radio、Serial)の評価や解析を行うことが可能な可視化ツールで、開発キット(EDKxxx)購入者対応のテレグラム解析機能を備えています。USB 400Jなどの受信用モジュール製品と併せて使用することで、受信した信号の受信時刻、データの内容、受信強度(RSSI)などをGUI上で確認することができ、ログとして表示させることが可能です。また、ツールで用意されたGUIを使って、USB 400JなどからEnOcean規格に準拠した無線信号を送出することもできます。以下に、DolphinView Advancedの操作画面を示します。

DolphinView Advancedの操作画面

また、以下はDolphinView Advancedで読み取ることができる各種テレグラム情報です。

DolphinView Advancedで読み取れる各種テレグラム情報の例

DolphinView Advancedにはマニュアル(英文)が用意されています。DolphinViewをインストールするとDolphinViewフォルダ内にManualというフォルダが作成され、その中にマニュアルが格納されています。

DolphinView マニュアル格納場所

DOLPHIN V4開発ツール:DolphinView Advancedの評価・解析機能

DolphinView Advancedには、評価・解析機能として11個のプラグインモジュールが含まれています。

  • ①EEP View
  • ②GP View
  • ③GP Send
  • ④Remote Commissioning
  • ⑤Remote Management
  • ⑥Node Statistics
  • ⑦Network Statistics
  • ⑧Sub Telegram Analysis
  • ⑨Security
  • ⑩Telegram Analyzer
  • ⑪Telegram Transmitter

以下にそれぞれの概要を示します。なお、各詳細については前述のマニュアルフォルダ内にあるマニュアルを参照願います。

①プラグインモジュール:EEP View

EEP Viewは、ノードリストで選択したノードからEEPで規定されているデータを受信した際に、そのテレグラムの内容を表示させる機能です。(※EEPに関しては、「DOLPHIN V4プラットフォーム」の記事、「EnOcean Equipment Profile(EEP)」を参照してください)

EEPを各ノードに結びつける方法は2つあります。1つ目はノードのTeach-in操作によって自動的に結びつける方法です。Teach-in操作によりノードからEEP情報が送出されることで、そのテレグラムを受信したPCのDolphinView上で適切なEEPがセットされます。2つ目は、DolphinViewの「set profile」ボタンを手動操作し設定する方法です。

適切なプロファイルがセットされた後は、そのプロファイルによって定義されるデータフォーマットに受信信号を当てはめて、テレグラム内容がグラフ表示されます(下図参照)。

DolphinView Advancedのプラグインモジュール:EEP Viewの画面

②プラグインモジュール:GP View

GP Viewは、ノードリストで選択したノードからGPで規定されているデータを受信した際に、そのテレグラムの内容を表示させる機能です。(※GPに関しては、「DOLPHIN V4プラットフォーム」の記事、「Generic Profiles(GP)」を参照ください)

EEPと同様に、GPプロファイルを各ノードに結びつける方法は2つあります。1つ目はノードからGP-Teach Inテレグラムを受信して自動的に結びつける方法です。GP-Teach In操作によりノードからGPプロファイル情報が送出されることで、そのテレグラムを受信したPCのDolphinView上で適切なGPプロファイルがセットされます。2つ目は、DolphinView上で手動にてGPを入力してセットする方法です。

適切なプロファイルがセットされた後は、そのプロファイルによって定義されるデータフォーマットに受信信号を当てはめて、テレグラム内容がグラフ表示されます(下図参照)。

DolphinView Advancedのプラグインモジュール:GP Viewの画面

③プラグインモジュール:GP Send

GP Sendは、GPに対応したテレグラムをDolphinViewツール上から生成したり送信したりする機能です。GP Sendでは以下の操作ができます(下図参照)。

・Send Teach In Telegram:Teach In テレグラムを送信
・Send Complete Data:全ての測定データを送信
・Send Selective Data:選択した測定データを送信

DolphinView Advancedのプラグインモジュール:GP Sendの画面

④プラグインモジュール:Remote Commissioning

Remote Commissioningは、DolphinViewツール上でもRemote Commissioningを行うことが可能なプラグインモジュールです。以下は、Remote Commissioningの操作画面です。

DolphinView Advancedのプラグインモジュール:Remote Commissioningの画面

⑤プラグインモジュール:Remote Management

Remote Managementは、Remote Managementを使用する際、DolphinViewがActorの動作を行うことができる機能です。以下、操作画面です。

DolphinView Advancedのプラグインモジュール:Remote Managementの画面

⑥プラグインモジュール:Node Statistics

Node Statisticsは、ノードリストで選択したノードから受信したテレグラムの受信強度の時間変化や、受信したテレグラムの時間間隔をヒストグラム上で表示することができる機能です。

DolphinView Advancedのプラグインモジュール:Node Statisticsの画面

上図は、Node Statisticsモジュールの画面例です。図中上段にあるグラフは、横軸が時間、縦軸は受信テレグラムの信号強度になっています。これにより、信号強度が適正範囲内にあるかどうかが一目で確認できます。また、図中中段の棒グラフは、横軸が受信テレグラムの前回受信からの時間差、縦軸は受信テレグラムのカウント数をヒストグラム表示したもので、実使用におけるテレグラムの送信頻度を視覚的に把握することができます。

⑦プラグインモジュール:Network Statistics

Network Statisticsは、受信したテレグラムのネットワークの利用率を表示することができる機能です(下図参照)。

DolphinView Advancedのプラグインモジュール:Network Statisticsの画面

図中の右上にある虫眼鏡マークをクリックすると、DataViewerのサブウインドウが開きます。サブウインドウの上段にはネットワーク利用率の時間変化が、下段には単位利用率あたりの頻度分布がグラフやヒストグラムで表示されます。これらの情報により、EnOcean対応センサネットワークシステムの、実設置環境下でのマージンなどを確認することが可能です。

⑧プラグインモジュール:Sub Telegram Analysis

Sub Telegram Analysisは、Sub Telegramの受信タイミングや1つのノードのTelegram間隔を表示する機能です(下図参照)。なお、この機能はDolphinSnifferと呼ぶファームウェアの実装が必要で、USB 400Jでは使用できません。

DolphinView Advancedのプラグインモジュール:Sub Telegram Analysisの画面

⑨プラグインモジュール:Security

Securityは、Securityに対応しているEnOceanデバイスに対してSecure Teach-Inを行ったり、Security対応デバイスから送られてきた暗号化データを復号化して内容を表示したりする機能です。

EnOcean GmbHが提供するSecurity機能(Enhanced Security Mode)で使われているローリングコードのビット数や、ローリングコードを送信テレグラムに含めるかどうかの選択、CMACのサイズ、初期値、鍵などの設定が可能です。またSecureな通信を行うために送信器側・受信器側の両方に格納しておくデフォルトの共通鍵として、プリシェアードキー(PSK)の設定なども行うことが可能です(下図参照)。

DolphinView Advancedのプラグインモジュール:Securityの画面

⑩プラグインモジュール:Telegram Analyzer

Telegram Analyzerは、ノードリストで選択したノードから受信したテレグラムのデータ情報や、サブテレグラムのタイミングを表示することができる機能です。

受信テレグラムに付与されたタイムスタンプや、受信したERP2テレグラム(ラジオ信号)の詳細、ESP3テレグラム(受信器が受信データに加えて受信強度などのオプションデータを付与したもの)の内訳を確認することができます(下図参照)。

DolphinView Advancedのプラグインモジュール:Telegram Analyzerの画面

⑪プラグインモジュール:Telegram Transmit

Telegram Transmitは、ERPやESP3に対応した信号をDolphinViewツール上から送信したり、特定のRadioテレグラムを受信したりすることができる機能です。

このプラグインモジュールを使うことで、複数コマンドをシーケンス的に組み立ててプログラム実行することが可能となります。複雑なプログラム制御を可能にするため、DelayやGotoなどのフロー制御コマンドも用意されています(下図参照)。

DolphinView Advancedのプラグインモジュール:Telegram Transmitの画面

以上、DolphinView Advancedの11個のプラグインを紹介しました。前述したように、詳細はDolphinViewのマニュアルで確認願います。

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