EnOcean|基礎編

EnOcean Serial Protocol(ESP)

2019.02.12

この記事のポイント

・EnOcean Serial Protocol(ESP)は、EnOceanモジュール製品とホスト製品との間でシリアル通信を確立するために規定されている双方向通信プロトコル。

・現在、EnOcean Serial Protocol 3(ESP3)の使用が推奨されている。

EnOcean通信のためのプロトコルである、EnOcean Serial Protocolの概要を説明します。

EnOcean Serial Protocol(ESP)

EnOcean Serial Protocol(シリアルプロトコル)は通常ESPという略称で呼ばれており、EnOceanモジュール製品とホストPCやマイコンなどのホスト製品との間でシリアル通信を確立するために規定されている双方向通信プロトコルです。現在、EnOcean Serial Protocol 3(ESP3)の使用が推奨されています。

EnOceanモジュールとホストの間の接続は一般的なRS-232シリアル通信で、具体的にはソフトウェアハンドシェイクおよび全二重通信を特徴とする3線シリアル通信のUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)を用いています。

EnOcean Serial Protocol(ESP3)、ホストとEnOceanモジュール間インタフェース。

UART通信は、TX(送信)、RX(受信)、Groundの3線からなっており、送信、受信には1線ずつ専用線を使います。
UARTで送られるパケットのフレーム構造と、実際にESP3で用いられているUARTの仕様を以下に示します。

EnOcean Serial Protocol(ESP3)のUARTフレーム構造、EnOcean Serial Protocol(ESP3)で用いるUART仕様。

また、ESP3のパケットの構造は以下のようになっており、ESP3パケットはデータの小単位(フィールドと呼ぶ)により構成されています。各フィールドの詳細は、ESP3仕様書で確認願います。SP3パケットを通じて送られる信号の種別は、下右の表に示すPacket Typeによって定義されています。

EnOcean Serial Protocol(ESP3)のパケット構造、EnOcean Serial Protocol(ESP3)の各種Packet Typeとその値。

これは、実際の受信データの例です。

EnOcean Serial Protocol(ESP3)の実際の受信データ例。

また、以下は各フィールドの相互関係を示した図です。先に示したESP3パケット構造を参照してください。

EnOcean Serial Protocol(ESP3の)各フィールドの相互関係。

そして、これは実際のESP3パケットをDolphinViewツール上で表示した例です。DolphinViewツールについては、別途説明を予定しています。

EnOcean Serial Protocol(ESP3)をDolphinViewで表示した例。

同期について

下図は、ESP3テレグラムの同期を示しています。最初にSync-Byte(0x55)がSOF(start of frame)を形成し、続いてData Length、Optional Length、Packet Typeのヘッダ情報が続き、最後のCRC8 Headerフィールドによってこれらのデータの内容が正しく送信されているか検証がなされます。もし、CRC8 Headerの値が正しくなければ新しいペイロードとは認識されません。CRC8 Headerの値が一致すれば、以降のデータ処理が進むことになります。

EnOcean Serial Protocol(ESP3) Sync-byteによるペイロードの開始。

ESPに関する情報は、以下から入手できます。

・Knowledge Base & System Specification(EnOcean GmbH)
https://www.enocean.com/en/support/knowledge-base/ 

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