EnOcean|基礎編
温度センサモジュール : STM 431J
2017.04.11
この記事のポイント
・STM 431Jは、太陽電池、蓄電キャパシタを搭載した電池レス温度センサモジュールで、マイコン内蔵の温度センサによって温度情報を取得する。
・プログラミングコネクタにより設定変更や独自のファームウェアの使用が可能。
・928MHz帯を利用する無線機で技適認証取得済み。
・蓄電キャパシタにより光がなくても一定時間の動作が可能。
前回に続き、センサモジュールについて説明して行きたいと思います。今回説明するのは、温度センサモジュールで、前回のマグネットコンタクトモジュール:STM 429Jと近似のコンセプトのセンサモジュールです。
温度センサモジュール:STM 431J
温度センサモジュールSTM 431Jは、太陽電池(ソーラーパネル)の搭載により、屋内の微弱な光でも発電して、電池レスで動作可能な温度センサ無線モジュールです。搭載している温度センサは補正済みです。また、ファームウェア変更が可能であり、汎用的な無線センサモジュールとして使用することも可能です。
測定可能な温度範囲は0℃~40℃です。精度は、17℃~27℃の間では±0.5K(typ.)、0℃~40℃では±1K(typ.)です。アンテナを除くモジュールのサイズは、43×16×8mmで、ケースに搭載することが可能です。重さは4.5gです。
主な用途は、室内環境モニタリング用の温度センサなどです。主にビルや工場などでの温度センサとして使用されています。電波法の工事設計認証を取得済み(技適番号:003-130187)なので、すぐに使用することができます。
STM 431Jの内部構成と動作について説明します。動作のための電力は、搭載している小型の太陽電池が供給します。また、他の発電素子や外付けの電池(3V)からも電力供給が可能です。太陽電池に加えて、発電した電力を蓄えるためのキャパシタも搭載しているので、光のない状態でも一定時間動作を継続することが可能です。蓄電キャパシタの電圧は、充放電制御回路によって最適に制御されます。このように、電池レスでも安定した動作ができるようになっています。
温度は、RF(無線)およびマイコン機能を提供するDolphin V4に内蔵されている温度センサから取得します。STM 431Jはスリープ状態から定期的にウェイクアップして、温度情報を取得し送信します。ウェイクアップ期間は、ユーザーが設定可能です。情報の送信においては、電波が3回送出されます。右の図は、STM 431Jの消費電流プロファイルです。起動し電波を3回送出した後、再びスリープ状態に入ることが示されています。
STM 431Jにはプログラミングコネクタも実装されているので、このコネクタを経由して各種コンフィグレーションや、ユーザー独自のファームウェアの実装も可能です。ファームウェアは、セットポイントダイアルや占有ボタンの有無によって、異なるプロファイルを使うようにも設定できます(詳細はユーザーマニュアルを参照)。他に、親機へのID登録などで使用するTeach-in機能をサポートするLEARNボタンも備えています。また、プラグインの湿度センサモジュール:HSM 100を接続することも可能です(次回説明予定)。
STM 431Jのデータシート、ユーザーマニュアルやファームウェアソースコード等は、以下より入手が可能です。
STM 431Jに関する情報の入手先(リンク先から資料をダウンロードできます)
> STM 431Jユーザーマニュアル
> データシート
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EnOcean
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基礎編
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EnOcean電池不要の無線モジュール ー概要ー
- スイッチモジュール : PTM210J
- スイッチ用発電モジュール : ECO 200
- スイッチ用送信モジュール : PTM 430J
- マグネットコンタクトモジュール : STM 429J
- 温度センサモジュール : STM 431J
- 湿度センサモジュール : HSM 100
- モジュール用ケースおよびケース付きモジュール
- 受送信モジュール : USB 400J
- 送信モジュール : STM 400J
- 送受信モジュール : TCM 410J
- EnOcean開発キット : EDK 400J
- ゲートウェイ開発キット : CS-A420W-ENOCEAN
- 送受信モジュール : CS35A3
- EnOcean電池不要の無線モジュール ーまとめー
- EnOcean無線通信技術
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- DOLPHIN V4 開発ツールと開発フロー
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