Sub-GHz無線|基礎編

無線設計のポイント:調整、測定時-VCOの調整

2018.04.10

この記事のポイント

・VCO発振周波数の調整は、LSIのキャリブレーション機能を使う。

・キャリブレーション機能を使っても正しく調整できない場合は、外付け部品の定数を変更する必要がある。

・調整が正しく終了しない場合、一般的にはPLLアンロックが発生し、受送信ができない可能性がある。

前回の「調整、測定時」のポイントの補足として、VCOの調整について説明します。

無線設計のポイント:調整、測定時-VCOの調整

前回、「各測定を開始する前に確認および調整しておく基本項目」の1つとして、「VCO発振周波数の調整」を挙げました。VCO(Voltage Control Oscillator)は、発振周波数範囲を決める役割があり、VCOが正しく調整されていないと送受信ができなくなります。

以下は、回路図における調整部分と、ブロック図の該当部分です。端子でいうと、#28:IND1、#30:IND2のVCOタンク インダクタ接続端子です。

Sub-GHz無線通信LSI、ML7345の回路図

Sub-GHz無線通信LSI、ML7345のブロック図

VCOの発振周波数は、次の式で決まります。

Sub-GHz無線通信LSI、ML7345のVCO周波数を決定する計算式

Lは外付けのインダクタL1のインダクタンス、Cは外付けのC1とLSI内部の可変容量の合計になります。

発振周波数は、LSI内の可変容量で変わる仕組みになっています。外部回路定数と可変容量の範囲によって発振周波数範囲が決まります。

Sub-GHz無線通信LSI、ML7345のVCOタンクインダクタ接続端子INDピンと内部構造

LSIはキャリブレーション(調整)機能を備えており、発振可能な周波数範囲内のある周波数で発振させるための容量値を決める操作が行われます。このキャリブレーション機能によって調整が正しく終了できない(内部容量で調整しきれない)場合、外部回路の定数を変更して調整が正しく終了できるようにする必要があります。

調整が正しく終了しない状態で送受信動作を行うと、一般的にはPLLアンロックが発生します。逆に、PLLアンロックが生じる場合は、VCOが正しく調整できているかを確認する必要があります。

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