Sub-GHz無線|基礎編

無線設計ガイダンス:設計の手順

2017.04.11

この記事のポイント

・ここでは無線設計のビギナーに、最低限知っておくべきこと、設計のためのガイダンス、設計や評価における重要なポイントやヒントを提供することで、無線を必要としている人が無線設計にチャレンジできることを目的にしている。

・意味のわからない用語は、必ず意味を調べて理解することが重要。

・無線にかかわらず、用語の意味がわからないまま先に進むことはできない。

ここからは、「Sub-GHz無線開発の基礎知識」として、前回までの「無線特性の用語」に続き、無線設計に関する内容に入ります。最初に、「無線設計ガイダンス」と題して、無線設計の経験があまりない、もしくは初めてという人のために、どの様な手順で無線設計を進めるのかを説明していきたいと思います。その後に、ハードウェア設計、通信フォーマット、測定や調整といった内容に踏み込む予定です。

設計の話に入るにあたって、最初にご理解いただきたいことがあります。正直なところ無線設計は、一朝一夕にできるものではありません。少なくても、Tech Web IoTで展開している各基礎知識にあるような原理や理論を理解して、関連する法令や通信仕様、ハードウェア、ソフトウェアについても知り、実際に動かして評価を行い経験を重ねる必要があります。昨今、技適マークを取得した無線通信モジュールが、これらの多くを緩和して、無線設計のハードルを下げてくれているのは事実ですが、何かトラブルが起こった場合には、やはり原点をたどることになります。

ここでは無線設計のビギナーに、最低限知っておくべきこと、設計のためのガイダンス、設計や評価における重要なポイントやヒントを提供することで、無線を必要としている人が無線設計にチャレンジできることを目的にしています。従って、ここで展開する内容を基礎として、実践においてまだ多くのことを身に着ける必要があることを、ご理解いただきたいと思います。

無線設計の手順

無線ビギナーが無線設計を始める場合、一体何から始めたらよいのかが、最初の問題だと思います。これは、他の設計でも基本的には同じなのですが、無線の場合は、無線方式、無線仕様(規格)、ソフトウェアといった、例えば電源設計などには該当がない、もしくはその規模と範囲が多岐にわたることがいくつかあります。そういった意味でも、合理的かつ能率的な手順を踏む必要があります。

ここでは、一例として、近年のIoTの1つである、ビルの空調に通信ネットワークを導入して、快適かつ省エネな空調システムを構築することをイメージしながら、以下の手順で、各々においてどの様なことをするのかを説明します。熟練者は他の手順をお持ちかも知れませんが、この手順はビギナーには標準的なものだと考えます。

  • 無線方式の選択
  • 無線デバイスの選択/仕様確認/動作確認
  • ネットワークトポロジーの検討
  • ハードウェアの検討
  • ソフトウェアの検討
  • 評価の検討

ハードウェアは、ここでは無線通信モジュールを利用する前提にします。通信LSIベースの設計に関しては、後のセクションで触れる予定です。

Tech Web電源設計」でも、電源設計の手順を説明しています。各作業の目的には共通点がありますので、見比べていただければと思います。

次回は、無線方式の選択を予定しています。

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