Sub-GHz無線|基礎編
無線特性の用語:ブロッキングとスプリアス応答
2017.02.28
この記事のポイント
・ブロッキングは妨害耐性を示すパラメータで、搬送波周波数から離れた周波数(オフセット)上での妨害波(不要波)を除去して、目的の信号(希望波)を受信する能力。
・スプリアス応答は、スプリアスポイントの妨害波を除去して目的の信号(希望波)を受信する能力。
「無線特性の用語」の第5回は、「ブロッキング」と「スプリアス応答」です。これらは、両方ともに受信性能を示すパラメータです。引き続きこの章は、ビギナーの基礎として、用語の意味を理解する目的の内容になっています。
ブロッキング(Blocking)
妨害耐性を示すパラメータで、搬送波周波数から離れた周波数(オフセット)上での妨害波(不要波)を除去して、目的の信号(希望波)を受信する能力です。単位はdBです。
スプリアス応答/スプリアスレスポンス(Spurious Response)
受信回路の構成上、スプリアスポイントと呼ばれる目的の信号以外の周波数の信号が受信されてしまいます。そのスプリアスポイントの妨害波を除去して、目的の信号(希望波)を受信する能力です。
スプリアスポイントは、イメージ周波数とマスター(入力)クロックのn倍の周波数になりますが、イメージ周波数は減衰できないため、一般にスプリアス応答はイメージ周波数に対する妨害耐性を示します。以下にスプリアスポイントの例を示します。
ちなみに、イメージ周波数は原理的に発生するものです。受信では混合器を使い、希望周波数と局部発振器周波数の差が中間周波数になるように変換します。差分という観点では、希望周波数から局部発振器周波数をまたいで、中間周波数の2倍分離れた周波数との混合結果は中間周波数と同じ周波数になり受信されてしまいます。この周波数がイメージ周波数です。
わかりやすいように簡単な数字を当てはめてみます。中間周波数を10MHz、希望波を100MHzとすると、局部発振器周波数を90MHzに設定すると、100MHz-90MHz=10MHzとなり、目的の中間周波数を得られます。この時、希望波100MHzから局部発振器周波数90MHzをまたいで中間周波数10MHzの2倍の20MHz離れた周波数80MHz(100MHz-20MHz)が入ってくると、局部発振器周波数90MHz-80MHz=10MHzとなり、希望波ではない80MHzも、100MHzと同様の中間周波数10MHzに周波数変換されるため受信されてしまいます。
【資料ダウンロード】Sub-GHz無線開発基礎
Sub-GHz無線はM2MやIoT、ワイヤレスセンサネットワークなどの新市場をはじめ、幅広い分野での活用が検討されています。このハンドブックは、Sub-GHz無線の活用から機器開発の基礎までを解説しています。
Sub-GHz無線
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基礎編
- Sub-GHz無線の概要
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Sub-GHz無線開発の基礎知識
- 無線特性の用語:搬送波周波数と周波数精度
- 無線特性の用語:送信パワーと隣接チャネル漏洩電力
- 無線特性の用語:占有帯域幅
- 無線特性の用語:スプリアス
- 無線特性の用語:受信感度と選択度
- 無線特性の用語:ブロッキングとスプリアス応答
- 無線特性の用語 : まとめ
- 無線設計ガイダンス:設計の手順
- 無線設計ガイダンス:無線方式の選択
- 無線設計ガイダンス:無線デバイスの選択
- 無線設計ガイダンス:ネットワークトポロジーの検討
- 無線設計ガイダンス:無線デバイスの仕様および動作確認
- 無線設計ガイダンス:ハードウェアの検討
- 無線設計ガイダンス:ソフトウェアの検討
- 無線設計ガイダンス:評価の検討
- 無線設計ガイダンス : まとめ
- 無線設計のポイント:回路設計
- 無線設計のポイント:基板(PCB)設計
- 無線設計のポイント:調整、測定時
- 無線設計のポイント:調整、測定時-VCOの調整
- 無線設計のポイント:調整、測定時-マッチング調整
- 無線設計のポイント:調整、測定時-スプリアス調整、その他の調整
- 通信フォーマット:通信レイヤとは
- 通信フォーマット:物理層(PHY層)のフレームとは
- 通信フォーマット:データリンク層(MAC層)のフレームとは
- 通信フォーマット:ネットワーク層とアドホックネットワーク
- 干渉回避の手法:キャリアセンス
- 無線システム検討へのヒント
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Sub-GHz無線の概要 ーまとめー
- 製品紹介