Sub-GHz無線|基礎編
無線特性の用語:スプリアス
2016.12.20
この記事のポイント
・スプリアスは不要な電波のことで、以下の2種類がある。
・不要輻射:目的とする帯域外への電波の発射で、そのレベルを無線通信に影響を与えないで低減できるもの。
・帯域外発射:変調よって生じる目的とする帯域に近接する周波数への電波の発射で、そのレベルを無線通信に影響を与えないで低減できない不要輻射。
・受信時のスプリアスは、非常に小さく、通常は無視できるレベル。
「無線特性の用語」の第3回は、「スプリアス」です。引き続きこの章は、ビギナーの基礎として、用語の意味を理解する目的の内容になっています。
スプリアス(Spurious)
スプリアス:Spuriousは、「偽の」、「見せかけの」という意味をもった語で、無線の世界では不要な電波のことをいい、以下の2種類があります。
<不要輻射(Spurious/Spurious Emissions)>
不要輻射は、目的とする帯域外への電波の発射で、そのレベルを無線通信に影響を与えないで低減できるものをいい、高調波(Harmonics:ハーモニクス)を含みます。 送信レベルや受信感度を変えずに、低減できる不要輻射のことをいいます。
<帯域外発射(Out-of-band Emissions)>
帯域外発射は、変調よって生じる目的とする帯域に近接する周波数への電波の発射で、そのレベルを無線通信に影響を与えないで低減できない不要輻射のことにいいます。送信レベルや受信感度を変えなければ低減できない不要発射のことをいいます。許容される放射レベルは周波数帯毎に異なり、各国の規定で定められます。前に出てきた「隣接チャネル漏洩電力」は、帯域外発射の規格の一部です。
実際のスプリアスを見てみます。左側は、送信時のスプリアスです。一番左が必要とする周波数ですが、2倍、3倍といった高調波にスプリアスが発生します。
右側は、受信時のスプリアスです。成分は、設定周波数の漏れ(ローカルリーク)がほとんどで、そのレベルは、送信時のスプリアスに比べて極めて小さいものになります。送信時のスプリアスは、小さくても -32dBmくらいなのですが、受信時のスプリアスは大きくても-79dBm程度なので非常に小さいものです。通常は無視できるものです。
【資料ダウンロード】Sub-GHz無線開発基礎
Sub-GHz無線はM2MやIoT、ワイヤレスセンサネットワークなどの新市場をはじめ、幅広い分野での活用が検討されています。このハンドブックは、Sub-GHz無線の活用から機器開発の基礎までを解説しています。
Sub-GHz無線
-
基礎編
- Sub-GHz無線の概要
-
Sub-GHz無線開発の基礎知識
- 無線特性の用語:搬送波周波数と周波数精度
- 無線特性の用語:送信パワーと隣接チャネル漏洩電力
- 無線特性の用語:占有帯域幅
- 無線特性の用語:スプリアス
- 無線特性の用語:受信感度と選択度
- 無線特性の用語:ブロッキングとスプリアス応答
- 無線特性の用語 : まとめ
- 無線設計ガイダンス:設計の手順
- 無線設計ガイダンス:無線方式の選択
- 無線設計ガイダンス:無線デバイスの選択
- 無線設計ガイダンス:ネットワークトポロジーの検討
- 無線設計ガイダンス:無線デバイスの仕様および動作確認
- 無線設計ガイダンス:ハードウェアの検討
- 無線設計ガイダンス:ソフトウェアの検討
- 無線設計ガイダンス:評価の検討
- 無線設計ガイダンス : まとめ
- 無線設計のポイント:回路設計
- 無線設計のポイント:基板(PCB)設計
- 無線設計のポイント:調整、測定時
- 無線設計のポイント:調整、測定時-VCOの調整
- 無線設計のポイント:調整、測定時-マッチング調整
- 無線設計のポイント:調整、測定時-スプリアス調整、その他の調整
- 通信フォーマット:通信レイヤとは
- 通信フォーマット:物理層(PHY層)のフレームとは
- 通信フォーマット:データリンク層(MAC層)のフレームとは
- 通信フォーマット:ネットワーク層とアドホックネットワーク
- 干渉回避の手法:キャリアセンス
- 無線システム検討へのヒント
-
Sub-GHz無線の概要 ーまとめー
- 製品紹介