Bluetooth®|基礎編

最大スループット

2017.01.31

この記事のポイント

・Bluetooth v4.1までの理論上の最大スループットは305kbps、インターバルを加味すると28.8kbpsとなる。

・現実的には必ず通信エラーがあるので、28.8kbpsはベストエフォートと理解する。

・v4.2ではペイロードが増えたことにより、最大スループットは267.7kbpsになった。

前回の送信と再送の手順に続き、データ伝送の最大スループットについて説明します。

最大スループット

Bluetooth® v4における最大スループット(実効速度)を計算してみたいと思います。「Bluetooth® v4の概要-Bluetooth v4とは」で、Bluetooth v4(厳密には4.1まで)のペイロードが27octetsであることを記しましたが、計算にはBluetooth v4のデータ伝送に関するもう少し詳しい情報が必要です。他に必要な情報も含めて、まずは理論上の計算を示します。

  • Bluetooth v4.1までのペイロード:27octets=216bits(1octet=8bits)
  • ペイロードが27octetsのパケットの全長=41octes相当=328bits
  • Bluetooth v4の物理層:1Mbps → 328bitsの送信に必要な時間=328μs

Bluetooth v4.1までのペイロードは27octetsで、パケットの全長は41octes相当、328bitsになります。ペイロードとは、パケットに含まれるヘッダなどの付加的情報を除いたデータ本体のことです。パケット全体の328bitsを送信するのに必要な時間は、Bluetooth v4の物理層、つまり通信速度が1Mbpsなので328μsになります。念のため、bpsはbit per secondで1秒間に何bitのデータを伝送できるかを表す単位です。

しかしながら、実際のデータ伝送においては、以下の図のようにインターバルが要求され、最小インターバルは7.5msです。

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これを加味して、実際のスループットを計算すると、7.5msごとに27octets×8bits=216bitsのペイロードを送信することから、「Bluetooth® v4の概要-Bluetooth v4とは」で示したスループット28.8kbpsが算出されます。

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28.8kbpsというスループットがどういった位置付けかは、「Bluetooth® v4の概要-Bluetooth v4とは」で説明した通りで、ペイロード行効率(スループットをデータレートで割った値)は、v3以前のBluetoothの1/20以下で、大幅にスループットが制限されています。これは、Bluetooth v4-Bluetooth low energyの省電力技術の一つであることも説明した通りです。

ところで、先程から「v4.1までの」という限定をしながら話をしてきたのは、v4.2ではペイロードが251octetsに拡張されたためです。1回に送付できるビットは2008bitsに増え、上記と同じように計算すると2500μsごと2008bitsを送信でき、これは、v4.1に対してスループット比で2.6倍になります。v4.2でも同じように7.5msの最小インターバルを取りますので、実際のスループットを計算すると以下の式から267.7kbpsになります。

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さて、ここまで、インターバルを加味した最大スループットについて説明をしてきました。表現はともかく、これは「計算上」のスループットになります。現実のデータ伝送においては必ずエラーがありますので、これは近年、通信サービスなどでよく使われる「ベストエフォート」の数値であると理解してください。