Bluetooth®|基礎編

Bluetooth® v4の無線方式 ー概要ー

2016.10.25

この記事のポイント

・Bluetooth v4は、非連続データを対象にした無線通信。

・長いインターバルをもつ間欠通信、他との干渉を避けるAFHが特徴

ここからは、Bluetooth v4がどのような無線方式なのかを説明してきます。今回は、大枠のイメージができるように無線方式の概要を説明し、以降、詳しい話をして行く予定です。

Bluetooth v4の無線方式の特徴

Bluetooth v4の無線方式の大きな特徴として、「非連続データを対象にしている」ことが挙げられます。これは、先にも説明しましたが、Bluetooth v3以前は、音楽など連続データを扱うことで発展してきた経緯がありました。しかし、Bluetooth v4以降は、IoTやセンサネットワークなどを強く意識し、センサなどからの少量のデータを適宜送信し、低消費電力で動作することが重要なポイントになっています。

長いインターバルで間欠的な通信

以下の図は、Bluetooth v4の通信イメージです。

BT_4_interval

Bluetooth v4では、最小7.5msのインターバルをもって間欠的に通信を行います。Bluetooth v3以前の規格では5msなので、インターバルが長くなっています。また、インターバルは最大4sにすることができ、適宜、インターバル変更します。これは以前の規格にはなかったことです。通信間隔を長くすることができるわけですから、平均電力消費が減るのは理解できると思います。当然ながら、時間単位のデータ伝送量は少なくなります。計算上は305kbpsになります。

他との干渉を避けるAFH

AFH(Adaptive Frequency Hopping)は、一定時間毎に違う周波数(チャネル)を使う技術です。これはすべてのBluetoothに使われており、Bluetoothの利用が進んできた理由の一つでもあります。

BT_4_afh

この図は、Bluetooth v4が利用する40チャネル(0~39)と、一定時間毎に選択されたチャネルを示しています。通信に利用するチャネルは0~36までで、ある時間において37チャネルが選択可能です。図では例として、濃い青で示されたチャネル(ch0→ch4..)が一定時間毎に選択され、そのチャネルがドットでマッピングされています。つまり、Bluetooth v4では、一定時間毎に37個のチャネルから1チャネルを選択するホッピングを行います。これによって、利用するチャネルがおおよそ均等になり、一つのチャネルを占有しないので、他の周波数とぶつかり合わないなど干渉のしにくさを実現しています。これについては、後ほど詳しく説明します。

Bluetooth v4のプロトコルスタック

プロトコルスタックは、通信を実現するための通信プロトコルを示したものです。詳細は別途説明します。実際の構成として、Bluetooth v4になってからは、コントローラとホストがワンチップ化されたLSIが主流で、アプリケーション層用のマイコンを搭載したLSIも少なくありません。以前は、コントローラとホストをHCI(Host Controller Interface)を使って接続していましたが、シンプルになりました。

BT_4_ps

接続とマスター/スレーブ

Bluetooth v4の接続では、マスターとスレーブの関係があります。各々は、Scanning、Advertising、Standby、Initiateing、Connectionの5つのステータスをもっています。以下の図は、接続とマスター/スレーブのプロセスを示しています。

BT_4_ms1

接続を要求する側アドバタイザがAdvertisingステート、接続側パッシブスキャナがScanningステートになり、アドバタイザを見つけます。接続が行われると、アドバタイザはスレーブに、パッシブスキャナはマスターとなります。

次回からは、それぞれの詳細について説明して行きます。