無線通信|基礎編

通信におけるプロファイルとは

2017.08.17

この記事のポイント

・プロファイルは、通信におけるサービスの提供や利用を規定するもので、目的ごとに通信プロトコルやその使い方を定めている。

・Wi-SUNの持つプロファイルは、物理層とMAC層を基とし、第3~7層までの仕様によって異なるプロファイルが成立している。

前回は、プロトコルスタックについて説明しました。今回は、Sub-GHz無線通信の代表的な規格であるWi-SUNを例にプロファイルについて説明します。

通信におけるプロファイルとは

プロファイルは通信の世界だけではなく、様々な分野で使われている言葉です。おおよそ技術の世界では、機能仕様や標準のこと言います。通信においても基本的には同義であり、通信におけるサービスの提供や利用を規定するもので、目的ごとに通信プロトコルやその使い方を定めています。

Wi-SUNとは

Wi-SUNとは、Wireless Smart Utility Networkの略で、Smart Utility Networkは、電気のスマートメータに代表される端末に無線機能を搭載し、検針データを収集する無線通信システムのことです。東京電力をはじめとし、普及が進んでいます。ただし、Wi-SUNは、実際には検針データを収集するスマートメータAルートには使用されていません。

Wi-SUNが利用するSub-GHz帯の920MHz帯は、無線LANなどで利用される2.4GHz帯と比べ障害物などがあっても電波が届きやすく、他の機器などからの干渉も少ない周波数帯です。また、通信速度がそれほど速くなく、低消費電力であることが特徴です。

Wi-SUNプロファイルの例

以下の図のように、Wi-SUNの物理層(第1層)とMAC層(第2層)を基に、いくつかのプロファイルがあります。これは、第3層から7層までの仕様が異なることで、それぞれのWi-SUNプロファイルが成立しています。

ENET IF(ECHONET Lite Interface)は、HEMS用標準通信プロトコルECHONET Liteの下位層プロトコルです。これには東京電力などがすでに採用している、「Bルート」と呼ばれるスマートメータとHEMSコントローラを接続するためのプロファイルWi-SUN ECHONET Profile for Route Bや、先ごろ規格策定された「HAN(Home Area Network)」用の、Wi-SUN ECHONET Profile for HANが含まれています。

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FANは、Wi-SUN FAN(Field Area Network)と呼ばれるプロファイルで、現在策定中です。Wi-SUN FANはスマートグリッド、インフラ管理、高度道路交通システム、スマート照明など、広域かつ屋外に設置されたセンサなどからのデータ伝送を行うことを想定したプロファイルです。

JUTAはガスメータ用Wi-SUNプロファイルで、東京ガスが検討しているガスメータ用スマートメータリングシステムU-BUSをベースにしています。JUTAの名称は、規格認証試験と相互接続性認証試験を行う日本テレメータリング推進協議会(Japan Utility Telemetering Association:JUTA)から来ており、これを単に「ガスメータ用Wi-SUNプロファイル」と呼んでいる場合があります。

RLMMはResource Limited Monitoring and Managementの略で、農業、防災、生産工場などの電源供給に制限がある環境でのIoTに向けたプロファイルと言われており、現在規格策定中です。

そして、これらの他にも規格策定が検討されているものがあります。

BルートおよびHANのプロファイルの基本構成

この図は、上記でENET IFと表記した、Wi-SUN ECHONET Profile for Route BおよびWi-SUN ECHONET Profile for HANの基本構成です。当然ながらアプリケーション層はECHONET Liteです。

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