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2017.04.11 無線通信

免許不要の無線局

無線通信規格の基礎

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前回は、「無線通信規格の基礎」として、「電波利用の原則」について説明しました。今回は、「免許不要の無線局の条件」ということで、関連する電波法、条件などの概要を説明したいと思います。

免許不要の無線局と条件

無線局には、免許が必要なものと不要なものがあります。それは電波法で決められていますので、法や規定に関する説明をするのですが、無線にあまりなじみのない人のために簡単な前置きをして話を始めます。

まず、「無線局」と聞くと、放送局のような大きな設備と建物を想像してしまうかも知れません。無線局は電波法で「無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体を言う。ただし、受信のみを目的とするものを含まない。」と定義されています。もちろん、テレビやラジオの放送局のような、強い電波を送信する無線局は免許が必要です。しかし、視聴者、つまりテレビという無線の受信者として免許をもっている方はいないと思います。テレビは、放送局からの片方向通信であるため、受信者は免許をもつ必要はありません。それに対して、例えば個人宅でアマチュア無線をやっていれば、部屋の一角でどんなに小規模でも、そこは無線局になり、アマチュア無線の場合は免許が必要です。

それでは、「免許不要の無線局」とは、どんな無線局なのでしょうか?これは、身近なところにたくさんあります。例えば、無線LANや自動車のキーレスエントリが該当します。また、Tech Web IoTで主に取り上げているSub-GHz無線やBluetooth®も免許不要の無線局です。単純に言えば電波の弱い無線局になりますが、それは、電波法第4条で定められており、電波法施行規則第6条により詳細が規定されています。以下に、「免許不要の無線局」と条件、および該当する例を示します。

免許不要の無線局
微弱無線局(4-1, 6-1)
・発射する電波が著しく微弱な無線局
微弱コードレス電話、自動車キーレスエントリ
リモコン、FMトランスミッタなど
市民ラジオ(CB)の無線局(4-2, 6-3)
・27MHz帯、機器には技術基準適合証明が必要
 
小電力の特定の用途に使用する無線局(4-3, 6-4)
・個別に周波数、用途などが定められている
・機器には技術基準適合証明が必要
小電力セキュリティシステム
特定小電力無線局(テレメータなど)
小電力データ通信システム(無線LAN、Bluetoothなど)
コードレス電話、PHS端末など
登録無線局(4-4)
・個別に周波数、用途などが定められている
・機器には技術基準適合証明が必要
・使用には総務大臣への登録が必要
351MHzデジタル簡易無線、920MHz簡易無線
2.4GHz構内無線(周波数ホッピング方式)
5GHz無線アクセスなど

表中の、例えば「微弱無線局(4-1, 6-1)」の「4-1」は、「電波法第4条第1項」の意味で、「6-1」は、「電波法施行規則第6条1項」の意味です。太字の2つについては、以下で説明します。

免許不要の無線局:微弱無線局

前回、技適マークの説明において「微弱無線では技術適合試験はないが性能証明がある」という話をしました。

微弱無線局は、以下のように定められています。

無線設備から3m離れた電界強度が、周波数別に定められた値以下の無線局

例 322MHz以下では、500µV/m(-43dBm λ/2アンテナ換算)以下の送信電力
  322MHz~10GHzでは、35µV/m(-66dBm λ/2アンテナ換算)以下の送信電力

免許が不要なだけではなく、技術適合試験の要求もありません。基本的に何もなくても利用できますが、電界強度が基準以下であることの証明を必要とする利用者のために、「性能証明」というものがあります。

微弱無線を利用した機器は多々あり、自動車のキーレスエントリ、ウェイトレスコールシステム、ガレージオープナ、ワイヤレスヘッドホン、玩具のトランシーバやリモコンなどがあります。

免許不要の無線局:小電力の特定の用途に使用する無線局

免許不要の無線局の「小電力の特定の用途に使用する無線局」は、前記の電波法第4条第3項により定められており、空中線電力は1W以下が対象になっています。この「小電力の特定の用途に使用する無線局」は電波法施工規則第6条第4項で、さらに10種類に細分されており、これらの無線局は空中線電力が0.01W以下です。正式名が少し長いせいか、口頭では「小電力無線局」と言うこともあります。

「小電力の特定の用途に使用する無線局」の中の「特定小電力無線局」には、Tech Web IoTで取り上げているSub-GHz無線やWi-SUN通信が含まれ、「小電力データ通信システムの無線局」にはBluetoothが含まれます。以下の表は細分された10種類の無線局と、該当する規格です。詳細確認の際の参考にしてください。

小電力の特定の用途に
使用する無線局の例
周波数帯 用途 規格
コードレス電話の無線局 250M帯、380M帯   RCR STD-13
特定小電力無線局 315M帯、400M帯、
900M帯、1200M帯など
データロガーなど ARIB STD-
T93(315M)
ARIB STD-T67
(400M/1200M)
ARIB STD-
T108(920M)など
小電力セキュリティシステムの無線局 426MHz帯 ホームセキュリティ
火災警報器など
RCR STD-30
小電力データ通信システムの無線局 2.4G帯、
5.2-5.4GHz帯
無線LAN、Bluetooth
IEEE802.15.4(ZigBee)
など
ARIB STD-T66
RCR STD-33
(WLAN)
ARIB STD-T72
(W1394)
デジタルコードレス電話の無線局 1.9G帯   RCR STD-28
PHSの陸上移動局 1.9G帯   RCR STD-28
狭域通信システムの陸上移動局 5.8G帯 ITS、ETC RCR STD-T55 (ETC)
RCR STD-T75 (DSRC)
5GHz帯無線アクセスシステムの陸上移動局 5.0GHz帯   ARIB STD-T70,71
超広帯域無線システムの無線局 3-4G帯 7-10G帯 UWB ARIB STD-T91
700MHz帯高度道路交通システムの陸上移動局 700M   ARIB STD-T109

このように、「小電力の特定の用途に使用する無線局」は、電波法施工規則第6条第4項で10種類に細分されているのですが、その中のSub-GHz無線やWi-SUN通信が該当する「特定小電力無線局」は、電波法施工規則第6条第4項の「二」において、さらに14種類に分類されています。

少々ややこしいので、整理します。

免許不要の無線局(電波法第4条, 電波法施行規則第6条) ⇒ 4種類

・電波法4-3:小電力の特定の用途に使用する無線局 ⇒ 電波法施行規則6-4にて10種類に
・10種類中の1つ:特定小電力無線局 ⇒ 電波法施行規則6-4-二にて14種類に

以下は、特定小電力無線局の14種類です。

特定小電力無線局 周波数帯 規格
テレメータ、テレコントロール用 315M帯、429M帯、920M帯 ARIB STD-T93(315M)
ARIB STD-T67(400M/1200M)
ARIB STD-T108(920M)など
医療用テレメータ 410-430M帯、440-470M帯 ARIB STD-T21
体内植込型医療用データ伝送用及び体内植込型医療用遠隔計測用 402-405M帯 対応標準規格なし
国際輸送用データ伝送 433.67-434.17M帯 ARIB STD-T92
無線呼出し用 410-430MHz RCR STD-19(429M)
ラジオマイク用 74M帯、322-323M帯、806-810M帯 RCR STD-15
補聴援助用ラジオマイク 75M帯、169M帯 RCR STD-T54
無線電話用 410-430M帯、440-470M帯 RCR STD-20
音声アシスト用無線電話 75.8M帯 ARIB STD-T68
移動体識別用 920M帯、2.4G帯 ARIB STD-T107(920M)
RCR STD-29(2.4G)
ミリ波レーダー 60G、76-81G帯 ARIB STD-T48
ミリ波画像伝送用 57-66G帯 ARIB STD-T69
ARIB STD-T74(超高速無線LAN)
移動体検知センサー 10.5G帯、24G帯 ARIB STD-T73
動物検知通報システム 142.9M帯 ARIB STD-T99

まとめとして、「免許不要の無線局」は電波法第4条により定められており、さらに電波法施行規則第6条により詳細が定められていることを、まずは理解してください。また、「免許不要の無線局」の中の「小電力の特定の用途に使用する無線局」には、Tech Web IoTで取り上げているSub-GHz無線やWi-SUN通信が該当する「特定小電力無線局」と、Bluetoothが該当する「小電力データ通信システムの無線局」が含まれていることも覚えておいてください。

ちなみに、昨今最も普及している無線である携帯電話/スマートフォンが、どこにも出てこなかったことに気づきましたでしょうか?実は携帯電話は免許が必要な無線なのです。ただ、ちょっと特殊で、キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルなど)は通信事業者として免許を取得する必要がありますが、端末使用者は個々に免許を取る必要がないシステムになっています。

キーポイント:

・「免許不要の無線局」は電波法第4条により定められており、さらに電波法施行規則第6条により詳細が定められている。

・「免許不要の無線局」の中の「小電力の特定の用途に使用する無線局」には、Sub-GHz無線やWi-SUN通信が該当する「特定小電力無線局」が含まれる。

・同じく「小電力の特定の用途に使用する無線局」には、Bluetoothが該当する「小電力データ通信システムの無線局」も含まれている。

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