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イベント

ロームは、2018年10月16日~19日に開催されたCEATEC JAPAN 2018に出展しました。今年は「Smart Society5.0時代を支えるロームの半導体技術」をテーマにした製品展示とデモ、そしてエンジニアによるプレゼンテーションを、数多くの来場者の方々にご覧いただきました。

ブースには、「ROHM’s Technology」、「ROHM’s Playground」、「ROHM’s Live」の3コーナーを設け、ROHM’s Technologyではインダストリアル、オートモティブ、アナログテクノロジー、SiC & パワーデバイス、パワーマネジメントの各分野に向けた半導体製品とデモ、そしてローム製品が採用されている機器をご覧いただきました。ROHM’s PlaygroundではすでにおなじみのORIZURU Projectのデモフライトと、モノづくりコンテストROHM OPEN HACK CHALLENGE 2018の優秀作品の発表を行い、ROHM’s Liveでは、主にインダストリアルとオートモティブに向けたデバイスソリューションのプレゼンテーションを実施しました。

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パワーマネジメントとアナログテクノロジーのコーナーから、電源ICとSiCシミュレーションツールをピックアップしました。

Quick Buck Booster®技術で降圧と昇降圧を高速切り替え

近年、ロームは独自の最新鋭技術を応用したICを発表しています。超高速パルス制御技術Nano Pulse Control®を使った同期整流降圧DC/DCコンバータ BD9V100MUF-CおよびBD9V101MUF-LBは、最小オン時間を9nsにまで狭め2MHzで48Vから3.3Vという非常に高い降圧比の降圧を可能にしました。また、超低消費電力電流技術Nano Energy®によって、180nAという世界最小*消費電流を実現した降圧DC/DCコンバータBD70522GULを市場に投入しています。  * 2018年7月、ローム調べ。

今回発表した新たな独自技術であるQuick Buck Booster®は、ベースとなる降圧コンバータに専用昇圧ICを追加するだけで、非常に高速で降圧と昇圧モードを切り替えられる昇降圧ソリューションを提供します。

BD8P250MUF-CはQuick Buck Booster技術を搭載した降圧DC/DCコンバータです。車載アプリケーション対応の仕様となっており、36V入力、2A出力、8µA(typ)の超低消費、EMI対策としてのスペクトラム拡散機能、ウェッタブルフランクパッケージ、AEC-Q100 グレード1対応を特長としています。昇降圧動作が必要ない場合は、低消費電力で低EMIの降圧DC/DCコンバータとして機能します。

BD90302NUF-CはBD8P250MUF-Cと組み合わせることで昇降圧DC/DCコンバータを構成する専用昇圧ICで、基本構成はPch+NchのMOSFETとゲートドライバです。上記の基本アプリケーション回路図が示すように、降圧DC/DCコンバータBD8P250MUF-Cの回路構成はそのままで、出力と制御ラインをBD90302NUF-Cの該当ピンに接続するだけです。この構成は、BD8P250MUF-Cを使った降圧コンバータを基本として回路設計を確定しておいて、昇降圧機能が必要な回路には、回路基板の写真からイメージできるように基板オプション的にBD90302NUF-Cを追加するといった利便性を提供します。

Quick Buck Boosterの動作は降圧機能と昇圧機能を単に切り替えるのではなく、入力が低下して昇圧が必要になるとBD90302NUF-Cが一定の昇圧比で昇圧を行い、降圧コンバータBD8P250MUF-Cは動作を止めるのではなくスイッチングデューティサイクルを最適化して出力の安定化を維持し、昇降圧高速切り替えを実現しています(詳細はそれぞれのデータシートを参照願います。

このQuick Buck Booster技術によって、一般の昇降圧コンバータでは降圧と昇圧の切り替え時に発生する出力の過渡変動を非常に小さく抑えることできます。

写真は、ブースでのデモの様子です。同じ条件下で、BD8P250MUF-C+BD90302NUF-Cの昇降圧コンバータと一般的な昇降圧コンバータを動かしています。一般的な昇降圧コンバータは、切り替わりの際(オシロスコープ黄色のトレース)に出力に過渡変動が生じますが(青のトレース)、BD8P250MUF-C+BD90302NUF-Cはほとんど変動が生じません(マゼンダのトレース)

この昇降圧コンバータは、アイドリングストップ車の再スタート時にバッテリ電圧が一瞬低下する場合に、高速の昇圧によって電源出力を一定に維持することが必要なアプリケーションに最適です。

最新の小型・高効率のハイパワー電源IC

「小型で高効率のハイパワー電源IC」をテーマに、新製品(開発中も含む)のパネル展示がありました。

全負荷領域で世界最高*の高効率を達成した、2.5V/3.3V出力 1A対応 昇降圧DC/DCコンバータ(開発中)

BD83070GWLは、1.2mm×1.6mm×0.57mm(H)という超小型のWLCSPパッケージで、1A出力の昇降圧コンバータです。1セルのコイン電池やLi-Ionバッテリを入力電源に想定しており、IoT機器、タブレット他、玩具や電動歯ブラシなどのバッテリを最後まで使い切り稼働時間を延ばすために昇降圧機能を備えています。また、消費電流は3µAを実現し、全負荷領域で世界最高の高効率*を実現し、特に機器で言うと待機時にあたる軽負荷時の効率は非常に高くなっています。
* 2018年7月ローム調べ。

2mm角の3A出力同期整流降圧DC/DCコンバータ

BD9B304QWZとBD9B305QUZ(開発中)は、2mm角の小型パッケージでMOSFET内蔵し3Aを出力可能な降圧DC/DCコンバータで、高い電力密度が特長です。入力は2.7V~5.5V入力、出力はリファレンス電圧(0.8V/0.6V)からVin×0.8です。ワイヤレスパッケージを採用したことで2mm角というサイズを実現しました。BD9B304QWZとBD9B305QUZ(開発中)は搭載している機能と電気的仕様が若干異なります。

MOSFET内蔵、36V入力、3A/5A出力の超高効率降圧DC/DCコンバータ(開発中)

BD9F500QUZは、36V入力を備えるので、12V/24Vの標準電源、近年注目されているUSB Type-C PDでの20Vからの降圧に対応します。高効率の同期整流に加えて消費電流20µA(typ)を達成したことで、軽負荷時にも非常に高い効率を維持します。

もう1つの特長として、SEL端子による動作モードとスイッチ電流制限値(OCP)を切り替え機能があります。例えば、5A出力/電流制限6.5AのDC/DCコンバータは、3A以下でしか使用しない場合でも電流制限値6.5Aに対応するインダクタを選択する必要があり、出力電流が小さくなってもインダクタのサイズは基本的に同じになってしまいます。これを避けるために一般的には、類似の出力電流違いのICを何種類か使えるように準備します。これに対してBD9F500QUZは、SEL端子によって電流制限値を6.5Aから4Aに変更することで、インダクタは4Aに対応するものに変更することができ、同じICを使っても出力電流に見合った回路規模にできるメリットがあり、1種類のICで3Aと5A出力に最適化できるので評価や部品管理の煩雑さも軽減できます。

高電圧大電流領域でのSiCやGaNデバイスの新しいモデリング手法

SiCパワーデバイスは、1700VバーションがフルSiCモジュールやAC/DCコンバータICに展開が進んでいますが、高電圧大電流での評価作業は危険がともなうのはもちろん、対応する測定器や装置が準備できない場合も少なくありません。

このような状況に対してロームでは、SiCやGaNデバイスの新しいモデリング手法を開発しています。

Si(シリコン)系パワーデバイスであれば、経験則も含めて高電圧大電流領域の特性は予測をすることが可能ですが、SiCやGaNの場合は飽和領域において明確な飽和傾向を示さないので、その予測はかなり難しいと言われています。このモデリングのアプローチは、カーブトレーサでは自己発熱により測定できない高電圧大電流領域のI-V特性を、スイッチング測定から導出しています。

このアプローチは、SiCやGaNのI-V特性のモデリングに適しています。また、本手法を用いて抽出したSiCトランジスタのシミュレーションモデルはSW過渡特性を高精度に再現可能です。

このシミュレーションモデルを利用することで、SiCやGaNパワートランジスタを用いた回路の高精度シミュレーションやEMCの事前評価ができ、設計時間の短縮が可能になります。

ロームではさらにこのモデリング手法の開発を進め、シミュレーションモデルを増やしていく予定です。