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650V耐圧IGBT「RGTV/RGWシリーズ」: 業界トップクラスの高効率とソフトスイッチングを両立:低導通損失と高速スイッチングの両立=高効率 オーバーシュートを大幅に低減=抑制部品削減

2018.07.17

ロームは先ごろ、業界トップクラスの低導通損失と高速スイッチングを両立させ、スイッチング時のオーバーシュートを大幅に抑えた、650V耐圧IGBTの「RGTVシリーズ(短絡耐量保持タイプ)」と「RGWシリーズ(高速スイッチングタイプ)」、計21機種を新たに開発しました。

省エネ要求が高まる中、実質的なシステムの消費電力は増加傾向にあり、さらなる効率改善が求められています。また、IGBTを使用する大電力アプリケーションでは、機器の信頼性確保のため、デバイスの故障や機器の誤動作につながるスイッチング時のオーバーシュート対策が必須になっています。こういった背景から、これらの新シリーズは開発されました。

650V耐圧IGBT RGTV/RGWシリーズのパッケージ外観

業界トップクラスの低導通損失と高速スイッチングを両立し効率を改善

新シリーズは、業界トップクラスの低導通損失(VCE(sat)=1.5V)高速スイッチング(tf=30~40ns)を達成しました。この2つの特性はトレードオフの関係にありますが、薄ウエハ技術を駆使することで従来品と比較してウエハ厚を15%薄くしたこと、セルを微細化したロームの独自構造を採用したことで両立することができました。以下の比較グラフは、RGWシリーズがVCE(sat)=1.5Vの低導通損失でありながら、約800?Jという低いスイッチング損失を実現していることを示しています。

650V耐圧IGBT RGTV/RGWシリーズによる効率改善データ

650V耐圧IGBT RGTV/RGWシリーズは、薄ウエハ技術によりウエハ厚を15%薄型化し、ローム独自のセル微細化構造を採用したことで、業界トップクラスの低導通損失と高速スイッチングを両立

これらの性能向上によって、インターリーブPFC回路に使用した例では、従来品比で軽負荷時に1.2%、重負荷時に0.3%の効率向上を確認しています。

650V耐圧IGBT RGTV/RGWシリーズと一般品のVCE(sat)とスイッチング損失のマッピング比較

ソフトスイッチングによりオーバーシュート抑制部品を削減

設計全体の最適化によりソフトスイッチングを実現したことにより、同等効率の一般品と比較してスイッチング時に発生する電圧オーバーシュートを50%低減可能です。これにより、オーバーシュート抑制のために必要だったスナバ回路などの部品点数を削減することができます。同時に破損や誤動作なども軽減され、機器の安全性や信頼性も向上します。

以下は、スイッチングオーバーシュートの比較です。オーバーシュートの低減には、ゲート抵抗の抵抗値を調整する方法があります。一般に、ゲート抵抗を大きくすることでオーバーシュートは縮小に向かいますが、スイッチング速度が低下しスイッチング損失が増加します。ゲート抵抗10Ωでの比較では、ロームの新シリーズは一般に比べオーバーシュートは半分以下で収束も非常に良好です。一般品のゲート抵抗を3倍以上の33Ωに増加しても、ロームの新シリーズより大きなオーバーシュートが残っています。

650V耐圧IGBT RGTV/RGWシリーズと一般品のオーバーシュートの比較

650V耐圧IGBT RGTV/RGWシリーズと一般品のオーバーシュートとゲート抵抗の関係

アプリケーションとラインアップ

2?sの短絡耐量が特長のRGTVシリーズと、高速スイッチングが特長のRGWシリーズの2シリーズ、全21機種(1機種は開発中)を現在ラインアップされています。UPS(無停電電源装置)や溶接機、パワーコンディショナーなどの産業機器やエアコン、IH(誘導加熱)などの民生機器の汎用インバータおよびコンバータでの電力変換用途に適しています。

RGTVシリーズ(短絡耐量保持タイプ)

  TO-247N
IGBT単体 FRD内蔵
30A RGTV60TS65 RGTV60TS65D
50A RGTV00TS65 RGTV00TS65D
80A RGTVX6TS65 ★ RGTVX6TS65D

★:開発中

RGWシリーズ(高速スイッチングタイプ)

  TO-247N
IGBT単体 FRD内蔵
30A RGW60TS65 RGW60TS65D
50A RGW80TS65 RGW80TS65D
80A RGW00TS65 RGW00TS65D

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