知って得するキーポイント

BD9V100MUF-C : 業界最高降圧比を達成したDC-DCコンバータ2MHzで業界最高の降圧比を達成したDC-DCコンバータIC

2017.12.26

ロームは、2MHzスイッチングで業界最高の降圧比を達成したDC-DCコンバータIC「BD9V100MUF-C」のサンプル出荷を2017年6月から開始しており、2017年12月に量産体制に入ることを発表しました。

BD9V100MUF-Cは、2016年のCEATECをはじめとした展示会などでエンジニアサンプルでのデモが行われ、すでに開発が行われていることはアナウンスされていました。非常に注目度が高かったこともあり、Tech WebではすぐにTECH INFOの「エンジニアに直接聞く」で取り上げ、「48Vから3.3Vに直接降圧可能なDC-DCコンバータIC」と題し、「Part 1:48Vから3.3Vに直接降圧はできない?」と「Part 2:48Vハイブリッドシステムの電源をシンプルにして損失を減らす」の2本の記事をアップしました。

この記事では、正式リリースとなったBD9V100MUF-Cの仕様と特長を確認したいと思います。上記の記事に記した基本的な機能や特長に概ね変更はありませんが、当時、仕様や規格値は暫定であったため若干の変更があります。データシートも初版がリリースされていますので、詳細につきましては必ずデータシートを参照してください。

車載用途に対応、2MHzで業界最高の降圧比を達成した同期整流式降圧DC-DCコンバータIC

BD9V100MUF-Cは、MOSFET内蔵の同期整流式降圧DC-DCコンバータICです。超高速パルス制御回路や高耐圧BiCDMOSプロセスなどを駆使した超高速パルス制御技術「Nano Pulse Control®」により、電源ICにおける世界最小*の最小スイッチオン時間9nsを達成し、業界最高24:1の降圧比を実現しています。

2MHz動作で最大60Vの高電圧入力を、車載ECU用の5Vや3.3V(最小で2.5V)の低電圧に降圧可能です。マイルドハイブリッド自動車48V電源システムなどで、現状の2ステップ降圧を1ステップ降圧に置き換えることができます。DC-DCコンバータが1回路で済むため、部品点数を半減でき電源システムもシンプルにすることが可能です。

まず、電源IC としての基本的な特長や仕様を確認したいと思います。入力電圧範囲は16V~60V、出力は0.8V~5.5Vで1A maxです。スイッチング周波数は車載用途に特化した、AMラジオ帯域(最大1.84MHz)に影響を与えない1.9MHz~2.3MHzの範囲で設定できます。降圧比を決定する最小スイッチオン時間は9ns typ、20ns maxです。これが、BD9V100MUF-Cの最重要ポイントです。既存品は右の図が示すように、このレベルには至りません。

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ソフトスタート他、各種保護機能を備えており、応用回路は高電圧対応でありながら標準的な同期整流式の回路です。パワーMOSFETを内蔵しているので、設計の手間も最低限で済みます。

車載機器向けとして、AEC-Q100(Grade 1)に対応しており、パッケージもウェッタブルフランクを採用しています。ウェッタブルフランクについては、別途説明予定です。

以下に、特長と推奨動作条件をまとめました。

BD9V100MUF-C 特長

  • ・2.1MHz動作で60Vから 3.3Vに直接変換可能
  • ・AEC-Q100対応(Grade 1)
  • ・最小スイッチオン時間 20ns(max)
  • ・同期整流方式
  • ・ソフトスタート機能
  • ・電流モード制御
  • ・過電流保護機能
  • ・入力低電圧誤動作防止機能
  • ・入力過電圧誤動作防止機能
  • ・温度保護機能
  • ・出力過電圧保護機能
  • ・負荷短絡保護機能
  • ・ウェッタブルフランクQFNパッケージ

推奨動作条件

  • ・動作電源電圧:16V~60V
  • ・動作周囲温度:-40~+125℃
  • ・出力電圧:0.8V~5.5V
  • ・最小スイッチオン時間*1:9ns typ、20ns max
  • ・出力電流:0~1A
  • ・スイッチング周波数:
     1.9MHz min、2.1MHz typ、2.3MHz max
  • ・入力コンデンサ容量値*2:1.2 ?F min
  • ・スイッチング周波数設定抵抗値*3:
     6.9kΩ、7.5kΩ、8.1 kΩ
  •  
  • *1:出力電流0.5A時の値。全数出荷検査は行ってない。
  • *2:セラミックコンデンサを推奨。
  • *3:スイッチング周波数のmin、typ、maxに対応。

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