知って得するキーポイント

SCT2H12NZ:1700V高耐圧SiC-MOSFETSiC用AC-DCコンバータ制御ICと組み合わせて効率を大幅に向上

2016.06.14

ロームは、パワーデバイスの開発に注力しています。先ごろ発表され、すでに量産に入っている「SCT2H12NZ」は、1700Vという高耐圧を実現したSiC-MOSFETです。既存の650Vと1200Vのラインアップにさらなる高耐圧バージョンが追加になりました。1700Vという高耐圧でありながら、SiCの特性を活かしてオン抵抗を大幅に低減したMOSFETになります。また、SiC-MOSFET用のフライバックコンバータ制御ICとの組み合わせにより、効率も大きく改善可能です。ロームは、最新鋭のパワーデバイスに加えて、その性能を十分に発揮させる制御デバイスの開発も促進しています。

SiC-MOSFETの性能を最大限に引き出すには、ゲートドライブの最適化が必要

SiC-MOSFETの性能を最大限に引き出すには、SiC-MOSFETの駆動、つまりゲートドライブを最適することが必要です。ロームは、誰もが簡単にSiC-MOSFETを使った電源を設計できるよう、SiC-MOSFETの開発だけではなく制御デバイスの開発にも力を入れています。「BD7682FJ-LB」は、SiC-MOSFETをパワースイッチに使う前提で開発されたフライバックコンバータ制御ICです。

疑似共振制御のソフトスイッチングによる低EMI動作、バーストモードによる軽負荷時の低消費電流動作の他、各種保護機能を備えた最新鋭の機能構成に、SiC-MOSFET駆動に最適化したゲートクランプ回路を搭載しています。また、産業機器に向けた製品なので、長期供給保証(-LB)対応です。

<BD7682FJ-LB>

  • 疑似共振方式(低EMI)
  • SiC-MOSFET駆動ゲートクランプ回路
  • 動作電源電圧範囲(VCC):15.0V~27.5V
  • 軽負荷時バースト動作、周波数低減機能
  • 動作電流:0.80mA(typ.)、
       バースト時 0.50mA(typ.)
  • スタンバイ時低消費電流:19?A
  • 最大発振周波数:120kHz(typ.)
  • 動作温度範囲:-40℃~105℃
  • SOP-J8 パッケージ
       (6.0×4.9mm、1.27mm ピッチ)
  • 保護VCC UVLO、VCC OVP、
       サイクルごとの過電流保護、
       ZTトリガマスク機能、ZT OVP、ブラウンアウト
  • 産業機器向け長期供給保証
産業機器補助電源の課題は発熱の低減

BD7682FJ-LBブロック図および応用回路例
(クリックで拡大)

Si-MOSFETソリューションに対して効率を6%改善

SCT2H12NZとBD7682FJ-LBによって構成されたAC-DCコンバータと、Si-MOSFETによる回路との比較では、効率を6%改善できることを確認しています(ローム製リファレンスボード上での比較)。同時に発熱も低減できるため、回路も小型にすることができます。以下に、評価ボードと効率比較データを示します。

このSCT2H12NZとBD7682FJ-LBによる評価ボードは、「BD7682FJ-LB-EVK-402」としてインターネット販売されていますので、すぐに最適化されたSiC-MOSFETを使ったフライバックコンバータの評価が可能です。ロームでは、このフライバックコンバータ評価ボードの他に、フルSiCモジュールのゲートドライブ評価ボードなどを用意しています。従来のSiデバイスと比べ優れた特性をもったSiC-MOSFETは、動作させる回路においても最適化が必要であり、何もリファレンスがない状態から評価するのは骨が折れる作業だと思います。とにかくSiCデバイスを動かしてみたい方、開発作業を能率よく進めたい方は、こういった評価ボードを利用されることをお勧めします。ローム・コーポレートサイトの「SiCサポートページ」を参照ください。

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