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BD9G341AEFJ:業界トップクラスの 80V高耐圧と高効率を実現した DC-DCコンバータ80V耐圧DC-DCコンバータICのポジショニングと市場

2016.04.20

ロームは、80Vという高耐圧のMOSFETを内蔵したDC-DCコンバータ用ICの「BD9G341AEFJ」を発表しました。80Vという耐圧は、パワートランジスタ内蔵の非絶縁型DC-DCコンバータICとしては業界最高クラスで、ロームのDC-DCコンバータのラインアップの中でも最も高耐圧な機種になります。高耐圧のDC-DCコンバータは、テレコム関連や産業機器を始め、最近ではバッテリスタックを利用するアプリケーションも増えていることから、その需要が増加しています。しかしながら、60Vを超える耐圧をもつDC-DCコンバータ用ICの供給メーカーは限られており、また種類も決して多くないのが現状です。

80V耐圧のDC-DCコンバータICはDC-DCコンバータICの中でどの様なポジショニングなのか、そして、どの様な市場に必要とされるものなのでしょうか。

DC-DCコンバータICに関わらず、半導体IC、そしてディスクリートも含めて使用するプロセスで基本的な耐圧が決まります。というより、必要に応じた耐圧のプロセスを使用する、というべきでしょうか。高耐圧という観点では、例えば単体のMOSFETやダイオードは500V以上の高耐圧品は数多く存在します。また、ロームのMOSFETを内蔵したAC-DCコンバータ用ICの内蔵MOSFETの耐圧は650Vです。

「それでは、BD9G341AEFJの80V耐圧は特に高くないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、BD9G341AEFJは「非絶縁型DC-DCコンバータIC」として80Vの高耐圧を実現していることがポイントになります。DC-DCコンバータ用ICの世界では、 60Vを超える耐圧をもつDC-DCコンバータ用ICは少なく、供給メーカーは限られているのが現状です。

以下の表に、非絶縁型DC-DCコンバータICのおおよその耐圧区分と、代表的なアプリケーションをまとめてみました。先にも述べた通り、高耐圧になるにつれて供給メーカーは少なくなり、製品数やバリエーションも少なくなります。つまり、ユーザーの選択肢は狭まることになります。いずれにしても、現状で80V耐圧というのはトップクラスのポジションになります。

耐圧(入力電圧) 入力電源 アプリケーション例
~7V前後 5V/3.3Vのシステム電源
低電圧バッテリ等
汎用セカンダリ電源
様々な電子機器の低電圧電源
~20V前後 産業系12V
多セルバッテリ等
5V/3.3Vシステム電源
液晶やモーターのドライバー電源
アナログ系電源等
~40V前後 産業系12V/24V
12Vバッテリ等
産業機器
車載機器等
~60V前後 産業系24V
12V/24V/ 48Vバッテリ
テレコム48V
バッテリスタック等
産業機器、車載機器、通信機器
通信インフラ、電動バイク等
~80V超 テレコム48V、24V/48Vバッテリ
バッテリスタック等
産業機器、車載機器、通信機器
通信インフラ、電動バイク等

80V耐圧品を必要とする市場として、特に顕著なのはテレコム関連市場です。俗にテレコム48Vと呼ばれている電圧は、大きな変動を前提としなければならない入力電圧で、原則的に36V~72V(48V -25%/+50%)を想定する必要があります。テレコム48V対応電源ICには、60V耐圧系の拡張バージョン的な74V耐圧といった製品もあります。これは、72Vというワーストケースは頻繁にはないという前提なのかもしれないが、マージンがほとんどないのは明らかです。それに対して80V耐圧品は、テレコムアプリケーションにおいて安全な選択肢であるといえます。

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