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全91機種!LDOリニアレギュレータの新ラインアップ

実際の出力電流を
決めるファクタは?

注目ワード
  • 出力電流
  • 熱抵抗
  • Tj
  • Tj max
  • 許容損失
  • 放熱プレート

新しいLDOリニアレギュレータのGシリーズ、Hシリーズ、Iシリーズは、全91機種というラインアップです。出力電圧は、可変タイプは0.8V~13V 、固定タイプは1Vから12Vまでの14種類の電圧が用意されており、出力精度は1%と高精度です。出力電流は0.3Aから1.5Aまでの4種類で、これらのマトリクスになっています。

これらのシリーズのラインアップと仕様は以下のような構成になっています。

  Gシリーズ Hシリーズ Iシリーズ
入力電源電圧範囲 4.5V~14.0V 4.5V~8.0V 2.4V~5.5V
最大出力電流 0.3A、0.5A、1.0A 0.3A、0.5A、1.0A、1.5A 0.5A、1.0A
出力電圧設定範囲(可変タイプ) 1.5V~13.0V 1.5V~7.0V 0.8V~4.5V
出力電圧(固定タイプ) 1.5V、1.8V、2.5V、3.0V 、
3.3V、5.0V 、6.0V、7.0V、8.0V、
9.0V、10V、12V
1.5V、1.8V、2.5V、3.0V 、
3.3V、5.0V 、6.0V、7.0V
1.0V、1.2V、1.5V、1.8V、
2.5V、3.0V 、3.3V

この表から一番大きな出力電流が取れるのは、Hシリーズの1.5A品で、例えば7V出力のものだと10.5Wの出力電力が取れることになります。

ところが、実際には諸条件によってそうはいかないことがあるのは、すでにお気付きかと思います。基本的に電源ICに代表される大きな電力を扱うICは、熱に依存して取ることのできる電力が制限されます。正確にいうと、チップの温度であるTjは、最大定格であるTj maxを超えてはいけないので、Tj max以内で使う、ということになります。リニアレギュレータの場合のTjの算出式を以下になります。

 Tj = 自己発熱+Ta
     =(熱抵抗θja×消費電力W)+Ta
     ={θja×(入出力電圧差×出力電流)W}+ Ta

この式では話を簡単にするために、消費電力に自己消費電力を含めていません。厳密には(入力電圧×自己消費電流)分の電力を追加しなければなりませんが、自己消費電流が小さく出力電流が大きな場合は出力電力が支配的になります。

実際に使う場合は、出力電圧は指定の電圧にしなければならないので、考えるのは出力電流、つまり必要な負荷電流が取れるのか取れないのかということが争点になります。その計算をする前に、他にも調整できる項とできない/できにくい項があることを考えておかなければなりなりません。もちろん、Tj maxは変更できません。

入出力電圧差は、影響が大きなファクタです。ところが、もらえる電圧(入力電圧)はおおよそ決まっています。1つのリニアレギュレータを使うために条件がよくなる入力電圧源を用意するといったことは普通はありません。つまり、入出力電圧差も通常は変更できない項になります。

Taは、設計している機器の温度仕様があるので、例えば0℃~50℃と機器の温度仕様が決まっていればTaの最大は50℃か、筐体内であることを考慮すると発熱により筐体内の温度が上がるので、それを上乗せしたTaで計算することになります。ファンなどにより冷却を行うことが可能な場合はその条件でのTaを使いますが、Taはあまり調整が効かない部類だと考えた方が無難です。

結果として、通常は所望の出力電流が熱による制限によって得られない場合は、熱抵抗を下げることが一番の対処になります。熱抵抗を下げるには、熱抵抗の低いパッケージのICを使う、実装基板を多層構造など放熱特性のものを使う、そして放熱器を取り付けるといった方法があります。昨今のフォームファクタを含めた省スペース要求を考えると、放熱器を取り付けるのが難しい場合が多いので、パッケージと基板による放熱を検討することになります。

このリニアレギュレータの新シリーズは、すべてに裏面に放熱プレートが露出しているHTSOP-J8 パッケージ(4.9×6.0×1.0mm)を採用しました。このパッケージの放熱プレートを放熱が考慮された基板にはんだ付けすることで、熱抵抗を大きく改善することがでます。以下にHTSOP-J8パッケージの許容損失のグラフを示します。

先ほど例に挙げた7V /1.5A出力の場合の入力電圧を12Vとした場合の計算をしてみます。Tj maxは150℃です。

出力消費電力=(12V-7V)×1.5A =7.5W

グラフからは、最大の許容損失が3.76W(⑤の条件、θja=33.3W/℃)なので、この出力電流では使えないことがすぐわかります。この時の自己発熱は、7.5W×33.3℃≒250℃となり、Ta云々の前に完全にアウトです。

Taを50℃に想定すると、熱抵抗が一番低い⑤の条件での許容電力は3Wです。逆算すると、0.6Aがこの条件での限界であることがわかります。もし、熱抵抗をもっと下げることができるとして、こちらも逆算すると、(Tj max 150℃-Ta 50℃)÷7.5W=13.3℃/℃なので、これが実現できれば1.5Aを取ることができます。

ラフな言い方になるかもしれませんが、実際の出力電流を決めるファクタはTj、つまり、発熱と周囲温度になります。ちなみに、この条件では1.5A品を使っても1A品を使っても結果は同じで、何も変わりはありません。

新LDOリニアレギュレータ Gシリーズ/Hシリーズ/Iシリーズ

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