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フォトカプラ不要の絶縁型フライバックDC/DCコンバータ Part 4

独自の適応型オン時間制御で、
絶縁電源の過渡応答を大幅に向上

注目ワード
  • 適応型オン時間制御
  • 負荷過渡応答
  • PWM
  • PFM
  • オン時間制御
  • 出力負荷補償機能
  • ロードレギュレーション
  • 評価ボード

-最初に、「適応型オン時間制御」からお願いします。

「適応型オン時間制御」は、ロームの非絶縁電源制御ICに採用されている「オンタイム制御」を応用したものです。BD7Fシリーズは、この適応型オンタイム制御を最初に採用した絶縁型電源制御ICになります。従来の絶縁型電源制御ICには、瞬間的な負荷電流の変動に対する出力電圧変動、つまり負荷過渡応答に改善の余地がありました。この課題に対して、BD7Fシリーズは適応型オンタイム制御の採用により、負荷過渡変動を200mVに抑えることができました。これは、一般的な制御方法に比べて最大で65%低減できています。比較データがありますので、ご覧ください。

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-「適用型」というのはどういうことですか?

適応型オン時間制御は、負荷の状態に合わせて3種類の動作で対応します。

負荷が一定で安定している時は一般的なPWM制御を行い、スイッチング周波数は400kHz(Typ)固定で動作します。

負荷が変動した時はオン時間制御になり、負荷過渡に対応するオン時間で動作します。この時は、スイッチング周波数は変動します。

軽負荷時においてはPFM動作になり、スイッチング周波数を低下することで自己消費電力を抑え、高効率を維持します。

結果として、全負荷領域で高効率を実現し、高速負荷過渡応答を実現しています。また、従来方式では必要だった外付け位相補償部品も不要になっています。

-わかりました。それではもう一つの「出力負荷補償機能」についてお願いします。

「出力負荷補償機能」は、負荷電流によって二次側出力ダイオードのVFが変動することで生じる出力電圧変動、つまり誤差を補償する機能です。この誤差が問題になるアプリケーションでは、この機能を利用して負荷変動による二次側出力ダイオードのVF特性と逆の電圧補正を入れることができ、ロードレギュレーションを改善することができます。

-すいません。ちょっとピンとこないのですが。

一次側のフライバック電圧を利用して2次側の出力電圧を安定化する説明をした時に、この式を提示しました。

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この式から、VOUTの誤差要因になるのがVFとESRであることを説明しました。負荷電流である二次側トランス電流ISの変動により、ESR(二次側の総インピーダンス:トランス巻線抵抗、基板のインピーダンス等)による誤差は単純に変動し、VFはダイオードのVF-IF特性に依存して変動します

この誤差を補償するために、COMP端子で補償量決定し、出力電圧を決める帰還電流を補正する機能を備えています。簡単に言うと、負荷電流に応じてVFとESRによって生じる誤差を相殺するイメージです。

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このグラフは、出力負荷補償機能を使用した時の補償イメージです。この機能を使うには、補償量を決めるCOMP端子に接続する抵抗とコンデンサの定数を決めるだけです。定数計算式などの詳細は、データシートに記載されています。

-グラフを見ると、負荷が増えるにつれて誤差要因がそのまま誤差になるという意味と、補償した場合のイメージができました。ところで、BD7Fシリーズは、帰還経路の絶縁回路が不要でMOSFETも内蔵していることから、部品点数が少なく設計も簡単になっていると思います。ただ、トランスが必要なので、とっつきにくいと言われることがあるのではないでしょうか。

正直なところ、トランスは少々面倒かもしれません。もちろん、データシートにトランスの選定範囲は記載されていますが、トランスを形にするまでを考えると、様書、試作作成、仕様書取り交わしなど非常に手間が掛かるものになります。

そういった意味で、まずは評価してもらうために、評価ボードを用意してあります。代表製品として、BD7F100HFN-LBの評価ボード「BD7F100HFN-EVK-001」があり、ネット系商社からインターネット経由で購入することができます。BD7F100HFN-LBによる、入力電圧24V、出力電圧5V、出力電流800mAの絶縁電源を簡単に評価することができます。評価ボードはこんなかんじです。

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また、トランスも含めた他の主要部品は、データシートのアプリケーション例で具体的な型番を示してあります。以下は、BD7F100HFN-LBのデータシートからの抜粋ですが、トランスについて言えば、スミダコーポレーションのトランスが推奨されており、一般的な電圧に関してはすでに品番が取れています。

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この表もデータシートからの抜粋ですが、他のアプリケーション例も分も含んでますが、推奨トランスの大まかな仕様も示されています。

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-このようなサポートがあると、安心して検討できると思います。

他にも質問にお答えするなど、サポート体制を整えてありますので安心してください。

-今回は、かなり詳細な説明をしていただき、ありがとうございました。

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