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スイッチング電源に最適なコンデンサとインダクタとは

インダクタの仕様と
等価回路を読み取る

インダクタ編 -その1-

注目ワード
  • インダクタ
  • パワーインダクタ
  • インダクタ仕様
  • 公称インダクタンス
  • 自己共振周波数
  • 直流抵抗
  • 定格電流
  • 直流重畳許容電流
  • 温度上昇許容電流
  • インダクタ等価回路
  • 寄生成分
  • 直流抵抗
  • 銅損
  • 鉄損
  • 絶縁抵抗
  • 線間容量
  • インダクタQ
  • 共振点

-「スイッチング電源に最適なコンデンサとインダクタとは」ということで、今までコンデンサについていろいろお話を伺いしましたが、ここからはインダクタについて伺って行こうと思います。
スイッチング電源を構築するにあたって、インダクタは重要部品の一つだと思います。ところが、インダクタも含めた磁気部品はわかりにくいという話を聞くことあります。

確かに磁気部品が苦手だという人は少なくありません。とはいっても、今やスイッチング電源は必須アイテムですし、避けて通ることはできません。ここでは、インダクタの理解が深まるよう、お答えして行こうと思います。

-それでは、スターティングポイントとして押さえておくべきことを教えてください。

基本的なことになりますが、まず、インダクタのスペックの見方を説明したいと思います。最初に申し上げておきたいのは、同じ仕様項目でも、それを規定してる条件が製品やメーカーによって違っていることがよくあります。同様に同じ仕様項目に対して、あるメーカーは最大値(Max.)や最小値(Min.)を保証しているのに対し、あるメーカーはTypical値(typ/代表値/標準値)の提示だけといったようにまちまちだったりします。そのため、インダクタの選択や類似品との比較検討には注意が必要です。

-ということは、規定条件をしっかり確認する必要があるということですね。

その通りです。提示させている数値だけで比較してしまうと、大変なことになる場合があることを忘れないでください。それでは、具体的に見て行きましょう。下の表は、当社のカタログの抜粋です。

TY-2-1_table1

公称インダクタンスは、言うまでもなく必須の項目です。測定周波数は最終列に示されているように100kHzで、許容差は±30%となっています。

自己共振周波数は、インダクタとして機能する限界の周波数になります。ここでは最小値が保証されています。最低限記載の周波数までは機能するということを示しています。

直流抵抗は、巻線の抵抗が主たるもので、±20%許容差があることが条件として示されています。

定格電流ですが、条件をよく確認すべき項目の一つになります。項目の一つとして直流重畳許容電流が規定されており、このインダクタの場合は直流重畳でインダクタンスが-30%になる電流値の最大値が示されています。メーカー/製品によっては-10%~-30%と条件が異なります。

もう一つの定格電流として、温度上昇許容電流が規定されています。直流電流印加時の温度上昇が40℃になる電流値の最大値が規定されており、こちらもメーカー/製品によって20℃~40℃と条件が異なります。

定格電流に関してもう一つ別の留意点があります。どのメーカー/どの製品にも、直流重畳許容電流と温度上昇許容電流の両方が提示されているとは限らないことです。一般的に、どちらか一つしか提示がない場合は、定格の観点からいずれか小さい方で規定されていると考えることができますが、念のためメーカーに確認してもいいでしょう。

定格電流は重要な項目なので項目なので、もう少し詳しく説明します。下の図は、直流重畳と温度上昇の特性と最大値、typ値、マージンの関係を示したものです。

TY-2-1_lsat_temp

直流重畳許容電流を例に取って説明します。考え方は温度上昇許容電流も同じです。この例での直流重畳許容電流は、直流電流を増加させて行き、インダクタンスが-30%、つまり30%低下したときの電流として規定されています。インダクタに限りませんが個体間には必ず値のバラつきがあります。typ値はバラつきの中の代表的な値です。保証値は、許容する最大値および/または最小値を定めたものです。したがって、typ値に対してマージンをもった値になります。実測してみると多くはtyp値に近い値を示しますが、中には最大値、最小値に近い個体も含まれています。

typと最大値/最小値を見ると、どのくらいのマージンが取られているかがわかると思います。また、特性と規定条件を照らし合わせると、ゆるい条件での規定なのかきつい条件での規定なのかということも見えてくると思います。

-ところで、どうして製品やメーカー間で、同じ特性に対して規定条件が異なるのですか?

理由は一概にはいえませんが、応用回路の性能要求や安全確保などに対して、どんな条件が適切であるか、メーカーとしての考え方の違いがあると思います。当然ながら、製品の性能、特性、品質、信頼性に対するレベル設定、そして価格といった要件も関係してくると思います。

-他に、スターティングポイントして確認しておくことはありますか?

仕様の理解の他に、インダクタの基本特性を理解するために、等価回路と各成分について知っておく必要があります。コンデンサのときにESRやESLといった寄生成分とその影響について話をしましたが、インダクタにも同様に寄生成分があります。

等価回路を使って説明します。Rdcは、主に巻き線の直流抵抗銅損とも呼ばれています。これはインダクタと直列の成分になります。Racは主にコア材料の損失で、鉄損と呼ばれるものです。容量と抵抗で表してる通り、周波数特性をもっています。周波数が高いとインピーダンスが下がり損失が増えます。絶縁抵抗は、漏れ電流に該当する直流抵抗になります。容量は、巻き線がウレタンなどの被膜で絶縁されているので、巻き線が絶縁物を挟んだ導体、つまりコンデンサと同じ構造になることから生じます。この線間容量が主な容量で、共振点に大きな影響を与えます。

Qはインダクタの性能を示す指標です。X(= ωL)をR(Rac)で除した値で、周波数に対してどれだけ損失があるかということを示しています。QはR(Rac/鉄損)が小さいと大きくなるのが式からわかると思います

インダクタの基本特性を、周波数と抵抗/インピーダンスのグラフで示します。6mm角、高さ2mmの4.7µFのインダクタの例です。赤線はRac/鉄損です。青はインピーダンス、緑はX(ωL)です。

先に説明した通り容量をもっているので、共振点があります。緑線のXは、共振点以降の周波数ではコンデンサ主体の特性を示し、周波数が上がるほどインピーダンスが下がります。Racは周波数が上がると増加します。Rdcは直流(ゼロHz)時のRacとなります。

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これは、あるインダクタの特性ですが、インダクタの材料や構造によって、これらの寄生成分は変化することを覚えておいてください。

-それでは、まず基本を押さえたということで、続いて電源用のインダクタの種類について伺おうと思います。

スイッチング電源に最適なコンデンサとインダクタとは -その2-

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