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スイッチング電源に最適なコンデンサとインダクタとは

出力リップルの評価では
出力コンデンサのESLに注意

コンデンサ編 -その4- 

注目ワード
  • 積層セラミックコンデンサ
  • 機能性高分子コンデンサ
  • 出力コンデンサ
  • リップル電圧
  • ESR
  • ESL

-それでは、次に出力コンデンサとして使う場合の、特性や性質の影響をお聞きしたいと思います。

スイッチング電源回路では、先にお話しした入力コンデンサと同様に出力コンデンサも必須の部品となるのは言うまでもないと思います。入力コンデンサと考え方は同じで、静電容量の他にESRやESLといった寄生成分の影響を考慮する必要があります。ただし、印加される電流波形や負荷がある点など入力とは異なる点があるので、発生する電圧変動や現象は異なります。いずれにしても、出力に生じる電圧変動を如何に小さく抑えるかが課題になります。具体的には、出力リップル電圧と負荷過渡応答が着目点になります。

-それでは、最初に出力リップル電圧に関して説明いただけますか?入力とは異なる電流が流れるとのことなので、入力コンデンサで説明いただいたように、出力コンデンサに流れる電流から説明いただけるとありがたいです。

降圧コンバータを例にします。まず、電源回路図とリップルの波形成分を示した図を見てください。出力段トランジスタのスイッチングにより、三角波のインダクタ電流が生じ、DCと示したインダクタの平均電流は出力へ、その三角波の分はACとして出力コンデンサに流れます。その下の波形図は、三角波のコンデンサ電流がコンデンサの寄生成分であるESLとESR、そして容量成分によってどのような電圧となるかを示しています。

三角波のコンデンサ電流は、ESLによって方形波の電圧となって表れます。ESRによっては、オームの法則の通りそのまま三角波の電圧になり容量によっては時定数を持ちます。最終的にはこれら3成分の合成波になります。簡単に言うと、急峻な立ち上がりはESLによるもの、傾きを持った変動はESR、そしてそれぞれが容量によって二次曲線的に変化します。

下の波形図は、実際のリップル電圧波形です。波形の振る舞いから、どの部分が何に依存しているかがわかります。これは、この様なリップルを改善するために必要なことを知るためのノウハウでもあるので覚えておくとよいと思います。

上の波形はインダクタ電流で、下が出力に生じているリップル電圧です。急峻な立ち上がり分はESLによって発生しているVeslです。その後に増加している分がESRによるVesrです。この合計がリップル電圧のピークVp-pです。この時の出力コンデンサは、機能性高分子タイプで容量は330µFです。ESRは22mΩ、ESLは2nHで、ともにスイッチング周波数が500kHz時の値です。また、表に実際の電圧変動値を示しました。赤で示した通り、VeslがVesrの2倍近くで、全体のリップル電圧Vp-pの2/3を占めています。これらの数値は周波数などの条件により変わるので、一つの例、イメージとしてとらえてください。

-ESLの影響の方が大きいのですか?出力電圧のリップルはESRに依存するので、ESRの低い出力コンデンサを使うといった話はよく聞くのですが。

それは、その通りで正しい理解です。この例でもESRに対するVesrが発生しています。ただし、条件によっては、Veslの方がリップル電圧に占める割合が大きくなります。

-ESRとESLの影響はわかりましたが、容量はどのように影響しますか?

こちらは、容量とリップル電圧の関係を示したデータです。コンデンサは機能性高分子タイプで、容量は330µF、220µF、150µFです。波形図と表からわかるように、Veslにはほとんど変化は見られません。これは、Veslは容量にほとんど依存しないことを示しています。

-ということは、基本的にESRとESLが小さいコンデンサを使うということですね。

その通りです。積層セラミックコンデンサの特徴はすでに説明させてもらいましたが、低ESR、低ESL であるMLCC-積層セラミックコンデンサは、リップル電圧の低減に非常に有効です。これが近年、積層セラミックコンデンサをメインの入出力コンデンサとして利用することが増えている理由です。下の波形図は、機能性高分子タイプと積層セラミックコンデンサのリップル電圧の比較と、インピーダンス特性にインダクタ電流のスペクトラムを重ねたグラフです。

リップル電圧波形では、ピンク系で示した積層セラミックコンデンサのVeslが明らかに低く、Vesrについても勾配が小さいのがわかると思います。もちろん、インピーダンス特性のグラフと表の数値が示すようにESRもESLも小さいです。インピーダンス特性のグラフでは、細い線がESRを示しています。

この例ではスイッチング周波数が500kHzなので、インダクタ電流のスペクトラムには500kHzの基本波から高調波が存在するのがわかると思います。その領域は共振点より高い周波数になるので、ESLの影響が大きいのも理解できると思います。

また、容量との関係をマッピングで示しました。

このマッピングからわかるのは、MLCC-積層セラミックコンデンサがリップル電圧Vp-pの低減に関して非常に有利である点、容量とVeslの依存性がほとんどないことです。ちなみに、機能性高分子タイプは代表的な3銘柄で、容量によるVeslの違いはほとんどありませんが、銘柄によってESLに差があることが伺えます。

-この比較を見ていて気が付いたのですが、もし機能性高分子コンデンサを積層セラミックコンデンサで置き換えるのであれば、同じ容量である必要はないということですか?

それは非常に重要なポイントです。リップル電圧の観点では、積層セラミックコンデンサはESR、ESLがともに小さいので、元の機能性高分子タイプに対してより低い容量で置き換えができます。容量は、サイズだけではなくコストにも影響します。条件によっては、積層セラミックコンデンサにすることで、リップルを低減しながら小型化、コスト削減が可能になります。

スイッチング電源に最適なコンデンサとインダクタとは
コンデンサ編 -その1-

スイッチング電源に最適なコンデンサとインダクタとは
コンデンサ編 -その2-

スイッチング電源に最適なコンデンサとインダクタとは
コンデンサ編 -その3-

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