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MOSFETを内蔵した高効率AC/DCコンバータIC BM2Pxxxシリーズ

独自のスーパージャンクション
MOSFETが鍵

独自のスーパージャンクションMOSFETを内蔵した
高効率AC/DCコンバータIC BM2Pxxxシリーズ -その3-

注目ワード
  • スーパージャンクションMOSFET
  • 効率
  • オン抵抗
  • ゲート電荷量
  • 小型化
  • 素子サイズ
  • スイッチング周波数

-高効率、低消費電力、低待機時電力、小型という4つの課題に対して、BM2Pxxxシリーズがどのように寄与するかを聞いていきましたが、随所に「スーパージャンクション MOSFET によって」という説明が出てきました。ここからは、スーパージャンクショ ン MOSFET(以下 SJ MOSFET)について話を聞きたいと思います。
まず、SJ MOSFET が解決に寄与する課題を改めて整理させてください。

1つ目は効率の改善で、2つ目は小型化です。

-それでは最初に効率についてお聞きします。SJ-MOSFETを使うとなぜ効率を改善できるのですか?

最初に、SJ MOSFETについて少し説明します。従来型の MOSFET はプレーナー構造といって平面的な構造ですが、SJ MOSFET は単純には構造が違っています。もちろん、不純物濃度など細かい違いもありますが、この構造の違いによって、オン抵抗RDS(ON)ゲート電荷量Qgを大幅に低減したのが SJ MOSFET です。

SJ MOSFET自体は他社も作っていますが、ロームは独自開発を進めています。今回内蔵したSJ MOSFETは、650Vの高耐圧を実現しながら、低オン抵抗と低ゲート電荷を実現しており、スイッチングも非常に高速です。これらは、スイッチ、つまりMOSFETの導通損失とスイッチング損失の両方を大きく改善します。この両方の損失が少ないことが効率改善につながります。また、損失が少ないと発熱が少ないので、利用できるICパッケージの種類やサイズにも関わってきます。

-ということは、2つ目の小型化ですね。

話を進めると、一般にMOSFETのオン抵抗は素子サイズに大きく依存します。これは、プレーナーMOSFETもSJ MOSFETも同じです。つまり、オン抵抗を下げたければ、素子サイズを大きくすればよいということになります。だからといって、素子を大きくすることは昨今の状況では対処方法にはなり得ません。

SJ MOSFETはオン抵抗が小さいという話をしましたが、正確にいうと面積当たりのオン抵抗が小さいので、プレーナーMOSFETと同じ面積ならオン抵抗が小さい、または、同じオン抵抗なら面積が小さいということになります。扱える電力でいうと、同じ面積なら大きな電力を扱え、同じ電力なら面積、つまりサイズが小さくて済みます。これを、要求や目的によって使い分けます。

-先に扱う電力によって、より小さいパッケージを使うことができたという説明がありましたが。

その通りです。ロームのSJ MOSFETは、素子サイズに対するオン抵抗が非常に小さいので、小型のSOP8パッケージに搭載できるチップサイズで、4Ωという非常に小さなオン抵抗を実現しました。これによって、SOP8で業界初の8Wという高電力密度を達成できたのです。

8Wまでをカバーする他社のICはDIP7かDIP8パッケージなので、25Wをカバーするパッケージと同じです。一般的には、8W以下のアプリケーションは25Wのアプリケーションより小型であることが多いと思います。電力の小さなアプリケーションには、小さいパッケージのICを使いたいというのは、自然な欲求だと思います。これに応えるために、SJ MOSFETは大きく貢献しています。

-ただ、AC/DCコンバータは、他の部品がそこそこ大きいのでは。

それに関しても前に少し説明しましたが、SJ MOSFETの高速スイッチング性能が効果を発揮します。

基本的にスイッチング周波数を高くすると、小さな値のインダクタ/トランスや出力コンデンサを使うことができるようになります。値が小さくなると、一般的に物理的サイズも小さくなります。単純な話をすれば、スイッチング周波数を高くしていくと、外付け部品は反比例するように小さくなります。実際DC/DCコンバータでは、10MHzに及ぶ高速スイッチングをするICがあり、極めて小さな部品構成で、小型の携帯機器の電源として利用されています。

-では、BM2Pxxxシリーズもメガ帯のスイッチングにすればいいのでは。

確かに小さくはなるのですが、スイッチング速度を上げると、効率が下がるというデメリットがあるのです。さっきのDC/DCコンバータの例は、扱う電力もわずかで、多少効率を犠牲にしても小さいことが最重要視されるアプリケーションです。よくいわれる、トレードオフというものですね。

効率低下は、スイッチング損失が原因です。しかし、内蔵したSJ MOSFETは高速スイッチングが可能というか、スイッチング損失が小さいので高速で使うことができるので、大き目な電力を扱いながら、必要な効率を維持して、適度なスイッチング速度で小さな外付け部品を使うこと可能にしています。このICでは、65kHzで最適化されています。

-この写真の評価ボードには、それなりのサイズの部品で構成されていますが…


これは、BM2P094FEVK-001という評価ボードで、BM2P094FというSO-8パッケージの機種を使っています。出力は5V/1Aで5Wです。表面の左中央あたりに実装されているSO-8パッケージがBM2P094Fです。実際のところ、ユニバーサル入力の5W出力品としてはかなり小さくできています。もちろん、外付け部品は、数百ボルトの耐圧が必要なので、こういったサイズになります。DC/DCコンバータと比べるのは、ちょっと無理があります。

-小型化についてはよくわかりました。効率のことについて、もう少し具体的にお聞きしたいのですが。

そうですね。効率については、Energy Starの規格に対応できることがBM2Pxxxシリーズの特長でもあるので、Energy Starのアップデートも含めて説明しましょう。

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独自のスーパージャンクションMOSFETを内蔵した高効率AC/DCコンバータIC BM2Pxxxシリーズ
-その2-

  • エンジニアに直接聞く

    課題を解決するために開発されたIC

    課題を解決するために開発されたIC
    さて、既存のAC/DCコンバータの課題である、効率の改善と小型化を解決する目的で開発したというBM2Pxxxシリーズですが…

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