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スイッチング電源に最適なコンデンサとインダクタとは

積層セラミックコンデンサは
大容量化が進む

コンデンサ編 -その1-

注目ワード
  • 積層セラミックコンデンサ
  • MLCC
  • 470µF
  • 一層を薄く誘電率を高くし多く積む
  • 機能性高分子
  • 温度特性
  • DCバイアス
  • ケースサイズ

DC/DCコンバータを構築するにあたり、入力および出力のコンデンサとインダクタはDC/DCコンバータ用ICと共に重要な部品である。近年、DC/DCコンバータには高効率であることに加え、低電圧大電流出力、高速負荷過渡応答、低ノイズなど、多様な要求が課せられている。これに対して、DC/DCコンバータ用ICの改良が進むのと同様に、コンデンサとインダクタも進化を続けている。DC/DCコンバータを構築するにあたり、どのようなコンデンサとインダクタが開発されており、どのような特性がポイントになるのか、国内の代表的供給メーカーの一つである太陽誘電株式会社の新事業推進本部の石原氏に話を聞いた。

-スイッチング電源設計では、電源用ICを選択するのと同様に、外付け部品の選択も重要だということの認知が高まっていると思います。今回はこういった機会をいただきましたので、じっくりと部品メーカーとしての考えや情報を聞かせていただこうと思います。コンデンサとインダクタについて伺いますが、最初にコンデンサからお願いします。

   近年、電源ICの応用回路例をみると、MLCC(Multilayer Ceramic Chip Capacitor)と呼ばれる積層セラミックコンデンサの推奨を見ることが多くなったと思います。様々な面でメリットがあるからだと思いますが、まずは基本的なことを教えていただけますか。

確かにスイッチング電源における積層セラミックコンデンサの需要は増えています。主な理由は、表面実装に適した形状にすることができ、特性面でもスイッチング電源に適するところがあり、従来の電解コンデンサの代替としての需要が高まっています。それでは、最初に簡単に積層セラミックコンデンサの構造を説明しましょう。

図のように、粉状のセラミック材料を塗布したシート状の誘電体と電極が交互に重なる構造になっています。構造と静電容量の関係をイメージしてもらうために、以下の式を使って説明します。

式からわかるように、積層セラミックコンデンサの静電容量は、真空の誘電率ε0×比誘電率εrが高く、積層数nが多く、面積Sが広く、誘電体1層の厚みが少ないほど高くなります。単純に言うと高さと面積を増やすことで静電容量を増やすことができるのですが、求められているのは、「必要な静電容量に対して可能な限り小さく」です。それには、1つの誘電体層を薄くしつつ誘電率を向上させ、積層数を増やす必要があり、高度な材料技術と製造技術が必要になります。

-積層セラミックコンデンサと聞くと、あまり大きな容量まではカバーしていないイメージがあるのですが、現状はどんな状況なのでしょうか?

もちろん容量の小さなものからスタートしていますが、現在弊社では470µFのものが供給可能になっています。また、同じ容量でも小型化が進んでいます。この図は弊社のロードマップ的なものですが、静電容量、サイズ、耐圧の関係を理解いただけると思います。

ICベースでのDC/DCコンバータでは、出力コンデンサは数十µFから数百µFだと思いますので、カバレッジはかなり広がっていると思います。ご存じだと思いますが、静電容量、サイズ、耐圧はすべて相反する関係にあります。先に説明した「一層を薄く誘電率を高くし多く積む」という課題に対し開発を続けています。

-このくらいの容量をカバーするようになると、例えばポリマー系のチップコンデンサなどと並び始めると思いますが、どんな違いがあるのでしょうか?

その通りです。ポリマー系、つまり機能性高分子コンデンサと、MLCC:積層セラミックコンデンサがどのように違うのかを理解することは、DC/DCコンバータを設計する上で非常に大事だと思います。

それでは、構造や材料の違いから説明します。図のように構造は、積層セラミックコンデンサが文字通り積層になっているのに対して、もう一方はタンタルまたはアルミを誘電体にしたコンデンサ素子と、陰極に機能性高分子と二酸化マンガンが使われています。二酸化マンガンを使っているのは、タンタル電解コンデンサで、諸事情により昨今はあまり使われなくなりましたが、ベースとなるものなので比較に入れました。種類によって材料が異なるので、それは表の方を見ていただければと思います。

タンタル電解は、誘電体の膜厚が薄いことから大容量が可能でしたが、陰極に二酸化マンガンを使用しているため、等価直列抵抗ESRが高めという課題がありました。ただ、二酸化マンガンを使うことで、薄い誘電体被膜が破壊しても自己修復するという利点がありました。しかし、ESRの低減は重要な市場要求であることから陰極に機能性高分子を使ったコンデンサが台頭してきました。ESRには電極の電導度が関係します。表から、タンタル電解が0.1S/cmなのに対して、例えばポリピロールを使ったものは100S/cmで大きく改善されています。自己修復に関しては、機能性高分子は自己修復ができませんが、破壊部分が自ずと絶縁され動作を継続することが可能です。

これらに対して、積層セラミックコンデンサは、電極の材料による電導度と積層構造からESRを非常に小さくでき、高い比誘電率を実現したことから大容量化/小型化が進んでいます。また、誘電体被膜が厚いことから、他より電界強度が高く長寿命であるというアドバンテージを持っています。この点に関しては、表の数値を見ていただければ明らかなことがわかります。

スイッチング電源に最適なコンデンサとインダクタとは
コンデンサ編 -その2-

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