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車載用セカンダリ電源として開発された同期整流降圧DC/DCコンバータ

LDOと同等の部品数と実装面積で、
効率と供給電力を大幅にアップ

BD9Sシリーズ-その2-

注目ワード
  • 信頼性
  • 効率
  • 外付け部品
  • 実装面積
  • 小さい
  • 設計が簡単

-車載とセカンダリ電源、そして概要に続いて、BD9Sシリーズの特長を教えてください。

端的に言うと、高効率、小さい、外付け部品が少ない、設計が簡単、ということになります。もちろん車載対応もです。これだけだと、ありがちなうたい文句なので、もう少し説明させてください。

最初にお話ししたいのは、外付け部品が驚くくらい少ないことです。電圧設定抵抗、パワートランジスタ、位相補償回路をICに内蔵したことにより、外付け部品はたった3個で済みます。必要なのは入力コンデンサ、インダクタ、出力コンデンサです。それも、2.25MHzという高速なスイッチングによって、入出力のコンデンサは10μF~47μFと小容量で小型のものが使えます。
インダクタも1.5μHと、こちらも非常に小さいもので済みます。「小さい」という特長に話は及びますが、ICのパッケージも非常に小さくて、従来品に比べ体積を約80%削減したHTSOP-J8パッケージを採用しました。
サイズは6.0mm×4.9mmの高さが最大で1.0mmです。これに外付け部品を加えた実装面積は約225mm2です。例えば15mm×15mmといった面積に収まってしまいます。

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-確かに小さそうですが、何か比較例があるとわかりやすいのですが。

来の同等のDC/DCコンバータと比較すると、外付け部品は15個ぐらい必要だったのが3個で済みますので、これだけで劇的に部品数が少ないことがわかると思います。実装面積は400mm2くらい必要だったのは半分ほどになります。

それよりも、こちらの比較のほうが驚くのではないでしょうか。実はセカンダリの電源としてはLDO、つまり低損失のリニアレギュレータがまだまだ使われています。
一般的なLDOでは外付け部品は入出力のコンデンサの2個で、標準的な実装面積は225mm2くらいです。もう、お気づきかと思いますが、BD9SシリーズはLDOとほぼ同じ面積に収まってしまいます。LDOから置き換える際は、インダクタを1個追加するわけですが、実装面積は変わりません。

もう一つ重要なことがあります。このくらいのサイズで済むLDOの出力電流は、せいぜい1Aがいいところです。これは、発熱の問題があるからです。BD9Sシリーズは効率が高いので、同じサイズで3Aもの出力電流を供給できます。

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-どのくらいの効率が期待できますか?

最初にBD9Sシリーズは、同期整流方式のDC/DC変換を採用しています。いまさら説明は不要かと思いますが、一般的に選択可能なDC/DC変換方式において最も高い効率を得られる方式です。

BD9Sシリーズの実際の効率は、グラフを使って説明します。これは、1.5V/3A出力のBD90535EFJ-Cの負荷電流に対する効率で、Light Load MODE(軽負荷モード)とPWM MODE(PWM固定モード)、入力電圧が3.3Vと5Vの条件別になっています。

この条件での最大効率は、グラフからLight Load MODE時は93%前後、PWM MODEは88%前後、いずれも負荷電流は450mAぐらいの時です。あえてLDOの効率を挙げると、1.5V出力ですので5V入力では30%、3.3V入力では45%です。

-Light Load MODEとPWM MODEでは、負荷が軽いときの効率がかなり違いますが?

制御の方法が違い、目的も違います。Light Load MODEは負荷電流に大きな変動、例えばフル負荷と待機状態があるような場合、全域に渡りベストな効率を提供します。ただし、そのために軽負荷時には間欠スイッチング動作をします。

-それは具体的にはどういうことですか?

負荷が大きなときは固定周波数のPWM動作をして、負荷が軽くなると間欠動作に切り替わります。
負荷電流をあまり必要にしないときは、休み休み動作して必要な分だけ電力を供給する動作をします。これは、低負荷時でも高効率を維持し、特に待機時間の長いアプリケーションでは効果的です。
しかしながら、低負荷時にはスイッチング周波数が任意になり、発するスイッチングノイズの周波数が不定になり、ノイズに敏感なアプリケーションではS/Nに悪影響を与える一要因になります。

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-PWM固定動作があるのは、それに関係しますか?

その通りです。PWM固定動作を選択すると、負荷が軽くなっても間欠動作しない、つまり休みを取らずに同じ間隔で動作し続けます。そのため、軽負荷時には休んでもいいのに動き続けますので効率は悪くなりますが、発生するスイッチングノイズは同じ周波数成分で、ノイズの処理が比較的楽になります。
つまり、アプリケーションの要求がとにかく効率ならばLight Load MODEを、ノイズ低減が重要なら多少効率を多少犠牲にしてもPWM MODEにするといった使い分けになります。

-そうすると、BD9Sシリーズは、実装面積はLDOとほぼ同じで、部品点数もインダクタが1個増えるだけ、そして効率も明らかに高く、それゆえより大きな電力供給ができるといった大きなメリットがあることがわかりました。
とはいっても、スイッチングレギュレータは設計が面倒と言われていますが?

確かに従来のスイッチングレギュレータは外付け部品が多いことからも定数計算など少々設計が面倒なのは事実です。
ただし、BD9Sシリーズは部品がたった3個です。そして、推奨部品と基板レイアウトを提供していますので、乱暴にいえばその通りにすれば終わりです。本当にLDOと同じ感覚で設計が済み設計は簡単です。

-他に何かキーポイントはありますか?

車載ということに関して、付け加えたいことがあります。車載ということでAEC-Q100対応や動作温度、管理体制、そしてセカンダリ電源の有効性について説明しましたが、信頼性という意味で付け加えたいことがあります。

機器の信頼性は、部品の故障率やMTBFの加算になります。簡単に言えば、部品の信頼性が同じとすれば部品が少ないほど信頼性は高くなります。実装面積、コスト、設計の簡単さを前面に挙げて話してきましたが、自動車という非常に信頼性が重要視されるアプリケーションに対して、性能を向上させながら部品点数を減らすことが信頼性の向上に寄与することを付け加えさせていただきたいと思います。

BD9Sシリーズ -その1-

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