回路シミュレーション
サーマルモデル(Thermal Model)とは
2019.04.16
この記事のポイント
・SPICEモデルには、熱に関するシミュレーションを行うためのサーマルモデル(Thermal Model)がある。
・サーマルモデルとは、熱回路の計算を電気回路上で行うための過渡熱抵抗に相当する電気回路のモデル。
・消費電力Pdを電流Iとして、熱モデルRthに印加することで、ジャンクション温度Tjを電圧としてモニタすることができる。
SPICEモデルには、熱に関するシミュレーションを行うためのサーマルモデル(Thermal Model)と呼ばれるモデルとサーマルダイナミックモデル(Thermal Dynamic Model)があります。まず、サーマルモデルについてです。ここでは、サーマルモデルの概略をイメージできればとよいかと思います。
サーマルモデル(Thermal Model)とは
サーマルモデルとは、熱回路の計算を電気回路上で行うための、過渡熱抵抗に相当する電気回路のモデルです。熱抵抗にR、熱容量にCを使って表しています。以下に熱回路と電気回路の置き換えを示します。
式から、消費電力Pdを電流Iとして、熱モデルRthに印加することで、ジャンクション温度Tjを電圧としてモニタすることができます。
面実装タイプとスルーホール実装タイプのサーマルモデルを参考までに示します。
面実装タイプはチップから基板までを模擬したRth(j-a)モデル、スルーホール実装タイプはチップからフレームまでを模擬したRth(j-c)モデルとなっています。
以下は、最初に示した、2SCR523UB(一般増幅用NPNトランジスタ)のサーマルモデルの特性(過渡熱抵抗)をシミュレーションによってグラフ化したものです。STEPで定電流1Aを印加し、Tj端子の電圧をモニタしています。
次は、このサーマルモデルの使用例です。この例では、トランジスタの電力Pdとジャンクション温度Tjをモニタしています。Taには該当するバイアス、この場合は25℃=25VDCを与えます。
上段のグラフが示すように、スイッチするトランジスタ2SCR523UBの温度がスイッチングに連動しながら上昇するのがわかります。このように過渡的なTjの変化をモニタすることが可能です。
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