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SPICEサブサーキットモデル:MOSFETの例 その1

前回前々回とダイオードを例にSPICEのデバイスモデルを説明してきました。今回からは、2回に分けてMOSFETを例にSPICEサブサーキットモデルの説明をします。

SPICEのサブサーキットモデル(復習)

デバイスモデルとサブサーキットモデルの基本構成については、「SPICEモデルの種類」で説明しましたが、サブサーキットモデルは少し複雑になるのでおさらいをします。

サブサーキットモデルは回路としてのモデルで、モデルの中に回路接続情報や、デバイスモデルなどを含みます。

SPICEサブサーキットモデルの記述例。MOSFETとダイオードの組み合わせ回路。SPICEサブサーキットモデルの回路接続の記述とインスタンスの例。

上記の、Nch MOSFETとダイオードを組み合わせたサブサーキットモデルの例では、回路接続、MOSFETのデバイスモデル、ダイオードのデバイスモデルが記述されています。「モデル内部の回路接続」の記述においては、インスタンス名に続き、接続端子、そしてモデル名で構成されています。モデルの中にはMOSFETのM1とダイオードのD1の接続が記述されています。

実際のサブサーキットモデル例

前出の説明は理解のために簡易的なモデルを使いましたが、実際のサブサーキットモデルを使って説明します。以下は、ロームのNch MOSFETのサブサーキットモデルの回路と回路接続の記述です。先程の例では、M1というMOSFETのデバイスモデルが出てきました。デバイスモデルがあるのに、なぜ「MOSFETのサブサーキットモデル」というものが出てくるのかというと、デバイスモデルはほぼ理想的なモデルなので、現実的なMOSFETの特性は寄生成分や温度特性などをベースとなるMOSFETデバイスモデルに追加したサブサーキットモデルが使われることが多いからです。もちろん、電源ICに必要な部品を接続して電源として動作する回路などのサブサーキットモデルも多々ありますが、ここでの例としては複雑すぎるので、MOSFETのサブサーキットモデルを例にしました。

ロームのMOSFETサブサーキットモデルの例。

まず、M1からR2までの各接続の記述と回路図のノード番号を確認して下さい。記述の意味はすぐにわかると思います。

このサブサーキットモデルは、ベースとなるMOSFET M1に対して、帰還容量、ゲート抵抗、ボディダイオード、オン抵抗Ronの温度特性を与える抵抗を接続して、現実的なMOSFETに近い特性を示すSPICEモデルとしています。

そして、以下はこのサブサーキットモデルのすべての記述です。先程の接続情報に加えて、MOSFET、ダイオード、抵抗のデバイスモデルの記述が続き、サブサーキットモデルが構成されています。表は各デバイスモデルのパラメータです。

SPICEデバイスモデルMOSFETのパラメータ。SPICEデバイスモデルダイオードのパラメータ。SPICEデバイスモデル抵抗のパラメータ。

ちなみに、優れたSPICEモデル、つまり現実的な特性を示すSPICEモデルを作るには、如何にサブサーキットモデルにそれを作り込めるかというノウハウが必要です。これは、提供先によっても異なりますので、シミュレーション結果と実際の特性を比較するなどして、出来のレベルを確認することも必要かと思います。

その2に続く

Key Points:

・SPICEモデルの形式には、「デバイスモデル」と「サブサーキットモデル」の2種類がある。

・サブサーキットモデルは、接続情報やデバイスモデルからなる。

・サブサーキットモデルは、理想特性的なデバイスモデルに現実的な特性をもたせたり、特定機能の回路などを構成できる。


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