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シミュレーション

電子回路シミュレーションの基礎

SPICEとは

近年、電子回路の設計や評価において、ソフトウェアによるシミュレーションが広く利用されるようになりました。これには様々な理由があると思います。例えば、動作や信号の高速化に加えて電子部品の小型化や面実装化などにより、従来のブレッドボードを使った評価が非現実的な場合が増えていることがあります。しかしながら、何よりも簡単かつ迅速に動作や特性を確認でき、ほぼ最適化できた条件で実際の評価に入ることができ、試作の回数など開発の工数と時間を削減できるのが大きなポイントになっていると思います。この様な状況とニーズに対応すべく、電子部品メーカーはシミュレーション用の部品データを提供しており、シミュレータと呼ばれるシミュレーションソフトウェアが多数存在します。

ここでは、比較的普及しており無償バージョンの提供もあるSPICEベースのシミュレーションを取り上げ、導入を含めた基礎的なことを説明していきます。

SPICEとは?

SPICEは電子電気回路のシミュレータの1つで、米国カリフォルニア大学バークレイ校(University of California, Berkeley)で1973年に開発されました。SPICE(スパイス)は、Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis(集積回路用シミュレーションプログラム)の頭文字を取った造語です。当時は、オペアンプなどのIC、トランジスタ、ダイオード、抵抗、コンデンサなどによるアナログ回路動作のシミュレーションを主な目的としていました。

SPICEはSPICE3(1985年)まで開発され、その後はSPICEをベースに改良や機能を追加したものが商用に展開されました。現在でもよく知られているPSPICEは、MicroSim社*が発売した最初の商用SPICEで、メインフレームコンピュータ上で動作するSPICEをパーソナルコンピュータで使えるようにしたものです。*MicroSim社はOrCAD社に統合され、後にOrCAD社はCadence社に買収された。PSPICEはCadence社の設計支援ツールOrCADの一部となっている。

主なシミュレーションソフトウェア

主な商用のシミュレーションソフトウェアには、以下の様なものがあります。基本的には回路動作シミュレーションを目的としているので似通っていますが、GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)が多少異なります。性能や仕様面では、収束アルゴリズムや使用可能モデル、使用素子数上限などに違いがあり、同じソフトウェアでも制限を設けた無償バージョンが提供されているものもあります。

SIM1-1_graf01

動作の仕組み

シミュレータの動作の仕組みを簡単に説明します。

一般には、最初にシミュレーションしたい回路図を入力します。トランジスタやIC、コンデンサ、ダイオード、抵抗、インダクタなどの部品(モデル)が提供されているので、部品を選び結線していきます。これは、普通に回路図を書くのと同じ感覚でできます。

回路が完成すれば、シミュレーション実行ボタンをクリックするだけで、設定したシミュレーションが行われます。図の例では、「Pch-MOSFETのゲートをGND接地してドレインに0~10Vの電圧を0.1Vステップで印加し、その際にMOSFETに流れる電流をモニタする」ための回路図を作成し、実行結果として電流値のグラフを得ています(左側、青矢印の流れ)。

電子回路シミュレーションの仕組み

見かけ上はこういった操作になりますが、実際には、作成した回路図はネットリストと呼ばれる部品と回路、シミュレーション条件などのすべての情報が記述されたソースに変換されます。そして、シミュレータはネットリストにより回路計算、つまりシミュレーションを行いデータを出力します。この場合は0.1Vごとの電流値が数値としてストアされます。このデータをもとにグラフ化機能を使ってグラフが出力されます(黄色矢印の流れ)。

以下は先の例とは別のシミュレータですが、同じ内容のシミュレーションのネットリスト例です。詳細については別途説明を予定していますので、ここではネットリストに書かれている内容のイメージができれば大丈夫です。

電子回路シミュレーションのネットリスト例

次回は、まずは動かしてみるために、シミュレーションソフトウェアのダウンロード方法を説明します。

Key Points:

・電子回路の設計や評価において、ソフトウェアによるシミュレーションが広く利用されている。

・ソフトウェアによるシミュレーションにより、簡単かつ迅速に評価が可能で開発の工数と時間を削減できる。

・Spiceベースにした様々なシミュレータが入手可能。


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