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SiCパワーデバイス

まとめ

まとめ

今回は、最終回として、SiCの物性、SiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)、SiC-MOSFET、フルSiCパワーモジュールのキーポイントをまとめました。

<はじめに>

はじめに

キーポイント

・SiCパワーデバイスは、損失低減や高温度環境下での動作特性に優れた次世代の低損失素子。

・新しい半導体だが、車載機器といった高品質高信頼性が要求される市場でも、すでに多くの実績をもつ。

<SiC(シリコンカーバイド)とは?>

シリコンカーバイドとは

キーポイント

・SiCの物性はパワーデバイスに適している。

・Si半導体に比べ、損失低減や高温度環境下での動作特性に優れる。

SiCパワーデバイスの開発背景とメリット

キーポイント

・SiCはエネルギー問題に対する一つのソリューションとして開発されてきた。

・SiCは損失削減だけではなく、小型化という大きなメリットがある。

<SiCショットキーバリアダイオードとは>

SiC-SBDとは-特徴とSiダイオードとの比較

キーポイント

・SiC-SBDの特徴は優れた高速性をもちながら高耐圧を実現していること。

・高耐圧Si-PNダイオードに比べ、逆回復時間などの高速性に優れるので損失低減と小型化が可能。

SiC-SBDとは-Si-PNDとの逆回復特性比較

キーポイント

・SiC-SBDはSi-PND(FRD)に比べて、trrが高速で逆回復電流も大幅に少ないことから損失が少ない。

・SiC-SBDの逆回復特性(trrと逆回復電流)には温度依存性がほとんどない。

SiC-SBDとは-Si-PNDとの順方向電圧比較

キーポイント

・SiC-SBDのVFは高温になると上昇するが、Si-PND(FRD)のVFは低下する。

・高温でのSiC-SBDのVF上昇はIFSMを低下させるが、VFが低下するSi-PND(FRD)のように熱暴走しない。

・第2世代SiC-SBDはVFを低減し、現状で最も損失低減に寄与するパワーダイオードと言える。

SiC-SBDの進化

キーポイント

・ロームSiC-SBDはすでに第3世代まで進化している。

・第3世代品は、サージ電流耐量とリーク電流を改善し、第2世代で成し得た低VFをさらに低減した。

SiC-SBDを使うメリット

キーポイント

・trrが高速なので、リカバリ損失を大幅に削減でき高効率。

・同様の理由で逆電流が小さいのでノイズが小さく、ノイズ/サージ対策部品を削減でき小型化が可能。

・高周波動作によりインダクタなど周辺部品の小型化が可能。

SiC-SBDとは-信頼性試験について

キーポイント

・ロームではSiC-SBDの信頼性について、標準的な半導体デバイス向け規格に準じて試験を行い評価している。

<SiC-MOSFETとは>

SiC-MOSFETとは-特徴

キーポイント

・SiC-MOSFETは、Si-MOSFETやIGBTに対してアプリケーションの損失削減や小型化により貢献できる。

SiC-MOSFETとは-パワートランジスタの構造と特徴の比較

キーポイント

・パワートランジスタの特徴は、材料や構造によって異なる。

・それぞれに特性面で得手不得手があるが、SiC-MOSFETは全体的に優れた特性をもっている。

SiC-MOSFETとは-Si-MOSFETとの違い

キーポイント

・SiC-MOSFETが低いオン抵抗を得るには、Vgsは18V前後とSi-MOSFETより高い必要がある。

・SiC-MOSFETの内部ゲート抵抗はSi-MOSFETより大きいので外付けRgは小さくするが、サージとの兼ね合いが必要である。

SiC-MOSFETとは-IGBTとの違い

キーポイント

・SiC-MOSFETはVd-Id特性においてオン抵抗特性の変化が直線的で、低電流域でIGBTよりメリットがある。

・SiC-MOSFETのスイッチング損失はIGBTに比べ大幅に低減できる。

SiC-MOSFETとは-ボディダイオード特性

キーポイント

・SiC-MOSFETボディダイオードの順方向特性のVfは、Si-MOSFETと比較すると大きい。

・SiC-MOSFETボディダイオードのtrrは高速でSi-MOSFETに対し大幅にリカバリ損失を低減できる。

SiC-MOSFETとは-トレンチ構造SiC-MOSFETと実際の製品

キーポイント

・ロームは独自のダブルトレンチ構造を採用したSiC-MOSFETの量産化を実現した。

・トレンチ構造SiC-MOSFETは、DMOS構造品に対し、オン抵抗を約50%、入力容量を約35%低減している。

SiC-MOSFETとは-SiC-MOSFETの活用事例

キーポイント

・SiC-MOSFETの活用事例をヒントに、SiC-MOSFETの有効性について考える。

SiC-MOSFETとは-SiC-MOSFETの信頼性

キーポイント

・ロームのSiC-MOSFETは既に流通しているSi-MOSFETと同等の信頼性を有している。

<フルSiCパワーモジュール>

フルSiCパワーモジュールとは

キーポイント

・フルSiCパワーモジュールは、ローム自社製のSiC-MOSFETとSiC-SBDにより構成されている。

・Si-IGBTパワーモジュールに対して、高速スイッチングと大幅な損失低減が可能。

・フルSiCパワーモジュールの進化は続いており、最新の第3世代SiC-MOSFETが搭載されている。

フルSiCパワーモジュールのスイッチング損失

キーポイント

・フルSiCパワーモジュールはIGBTモジュールに対して、大幅にスイッチング損失を低減できる。

・特にスイッチング周波数が高くなるとその差は大きくなる。

・SiCパワーモジュールは、損失を大幅に低減しつつ高速スイッチングが可能。

活用のポイント:ゲートドライブ その1

キーポイント

・フルSiCパワーモジュールのゲートドライブの検討事項として「ゲート誤オン」がある。

・ゲート誤オンはハイサイドのスイッチオン時のdV/dtが高速であることと、ローサイドの寄生ゲート容量とゲートインピーダンスに起因する。

活用のポイント:ゲートドライブ その2

キーポイント

・「ゲート誤オン」の抑制方法として、①オフ時のVgsを負電圧にする、②外付けCGSを追加、③ミラークランプMOSFETの追加がある。

・フルSiCパワーモジュールのゲートドライブを最適化することで、さらに低損失でクリーンな動作が可能になる。

活用のポイント:スナバコンデンサ

キーポイント

・高速スイッチング性能を生かすため、電気配線の寄生インダクタンスを極力抑える必要がある

・電力用端子の直近にコンデンサを接続し、配線インダクタンスを低減する。

活用のポイント: 専用ゲートドライバとスナバモジュールの効果

キーポイント

・専用ゲートドライバとスナバモジュールを利用すると、大幅にサージやリンギングを抑制することができる。

・損失に関しては、Eonは増加しEoffは減少する。損失全体(Eon+Eoff)で比較すると損失は減少する。

設計サポートツール:フルSiCモジュール損失シミュレータ

キーポイント

・フルSiCモジュール損失シミュレータをはじめにしたサポートツールが用意されている。

・サポートツールは、フルSiCモジュールの選択や初期的な検討に有用。


シリコンカーバイドパワーデバイスの理解と活用事例