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2017.05.30 SiCパワーデバイス

SiC-MOSFETとは-ボディダイオード特性

SiC-MOSFETとは

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前回は、IGBTとの違いについて説明しました。今回は、SiC-MOSFETのボディダイオードの順方向特性と逆回復特性について説明します。

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SiC-MOSFETにかかわらずMOSFETには、図のようにドレイン-ソース間にボディダイオードが存在します。ボディダイオードは、MOSFETの構造上、ソース-ドレイン間のpn接合により形成されるもので、寄生ダイオードや内部ダイオードとも呼ばれています。ボディダイオードの性能は、MOSFETとして重要なパラメータの1つであり、その性能はアプリケーションで使用する場合に、重要なものとなります。

SiC-MOSFETのボディダイオード順方向特性

以下のグラフは、SiC-MOSFETのVds-Id特性を示しています。SiC-MOSFETには、ソースを基準にドレインに負の電圧が印加され、ボディダイオードは順バイアスの状態です。このグラフで、ボディダイオードのVf特性ほぼそのものを示しているのが、Vgs=0Vの緑のトレースです。Vgsが0V、つまり、MOSFETはオフ状態でチャネル電流は流れないので、この条件でのVd-Id特性はボディダイオードのVf-If特性と言えます。「シリコンカーバイドとは」で示したように、SiCはバンドギャップが広く、Si-MOSFETと比べてVfは非常に大きくなります。

これに対し、ゲート-ソース間に18Vを印加し、SiC-MOSFETがオンしている条件下では、ボディダイオード部分ではなく、より抵抗の小さいチャネル部分を流れる電流が支配的になります。それぞれの状態を、構造的観点からも理解できるように、MOSFETの断面図を示しました。

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SiC-MOSFETのボディダイオード逆回復特性

MOSFETのボディダイオードにおいて、もう一つの重要な特性が逆回復時間(trr)になります。trrがダイオードのスイッチング特性に関する重要なパラメータであることは、SiCショットキーバリアダイオードの項でも説明しました。当然のことながら、MOSFETのボディダイオードはpn接合をもったダイオードであることから逆回復現象があり、その特性は逆回復時間(trr)として現れます。以下は、1000V耐圧のSi-MOSFETと、SiC-MOSFET SCT2080KEのtrr特性の比較です。

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見ての通り、例示したSi-MOSFETのtrrは遅く、大きなIrrが流れます。それに比べ、SiC-MOSFET SCT2080KEのボディダイオードは非常に高速です。trr、Irrともにほとんど無視できるレベルで、リカバリ損失Errを大幅に低減しています。

キーポイント

・SiC-MOSFETボディダイオードの順方向特性のVfは、Si-MOSFETと比較すると大きい。

・SiC-MOSFETボディダイオードのtrrは高速でSi-MOSFETに対し大幅にリカバリ損失を低減できる。

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