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Siパワーデバイス

まとめ

まとめ

今回で、Siパワーデバイス基礎編は最後になります。Si系のパワー素子として、整流ダイオード、ショットキーバリアダイオード、ファストリカバリダイオード、MOSFET、スーパージャンクションMOSFET、Presto MOS、Hybrid MOSをピックアップして基本特性を説明しました。また、選定したトランジスタが実動作条件において適正であるかどうかを判断する方法と手順、そして各ダイオードとトランジスタの特徴を生かしたアプリケーション事例を紹介しました。ディスクリート部品の基礎的な内容ではありますが、それぞれの部品の特徴が理解できたかと思います。以下に、各記事とキーポイントをまとめました。

<はじめに>

はじめに

キーポイント

・最新のSiパワーデバイスの特性や特徴を理解して、Siパワーデバイスのカバレッジを再考、拡張していく。

・要求仕様によって、従来のSi半導体とSiCのような新材料によるパワーデバイスを使い分ける。

<Siダイオードとは>

ダイオードとは-分類と特性

キーポイント

・基礎の基礎としての確認事項。

・Siパワーデバイスとして取り上げるダイオードの種類・分類を示した。

ダイオードとは-整流ダイオードの特徴比較

キーポイント

・パワー系Siダイオードの大まかな特徴の比較を知っておく。

ダイオードとは-ショットキーバリアダイオードの特徴

キーポイント

・Si-SBDの特性はバリアメタルによって異なる。

・Si-SBDのIRは無視できないレベルであることを認識しておく。

・熱暴走を起こす可能性があるので十分な熱設計の検証を行う。

ダイオードとは-ファストリカバリダイオードの特徴

キーポイント

・Si-FRDの特性はシリコンに拡散される不純物によって異なる。

・Si-FRDのVFとtrrはトレードオフの関係にある。

・逆回復時のノイズはスイッチング電源アプリケーションで悪影響がでるので、改良型が開発されている。

<Siトランジスタとは>

トランジスタとは-分類と特徴

キーポイント

・この章では、パワートランジスタとしてバイポーラ、MOSFET、IGBTをピックアップした。

・バイポーラトランジスタ、MOSFET、IGBTの基礎的な特徴を確認する。

MOSFETとは-寄生容量とその温度特性

キーポイント

・MOSFETには寄生容量が存在し、寄生容量はスイッチング特性に影響を与える重要なパラメータ。

・寄生容量は温度に対してほとんど変化しないので、スイッチング特性は温度変化の影響をほとんど受けない。

MOSFETとは-スイッチング特性とその温度特性

キーポイント

・MOSFETのスイッチング特性として、一般にターンオン遅延時間、上昇時間、ターンオフ遅延時間、下降時間が提示されている。

・スイッチング特性は、測定条件と測定回路に大きく影響されるので、提示条件を確認する。

・スイッチング特性は温度変化の影響をほとんど受けない。

MOSFETとは-しきい値、ID-VGS特性と温度特性

キーポイント

・MOSFETをオンさせる電圧をゲートしきい値と呼ぶ。

・VGSが一定なら温度上昇によりIDが増加するので、条件によっては注意が必要。

・VGS(th)の変化から、おおよそのTjを推定することが可能。

MOSFETとは-スーパージャンクションMOSFET

キーポイント

・Si-MOSFETは、低~中電力で高速動作ができるポジション。

・スーパージャンクション構造は、耐圧を維持しながらオン抵抗RDS(ON)とゲート電荷量Qgの低減を実現する。

・スーパージャンクションMOSFETはプレーナーMOSFETよりtrrは高速でirrが大きい特性をもつ。

MOSFETとは-高耐圧スーパージャンクションMOSFETの種類と特徴

キーポイント

・SJ-MOSFETには特性による種類がある。

・SJ-MOSFETはプレーナーMOSFETに比べ基本的に低オン抵抗で高速であるが、低ノイズ化、さらなる低オン抵抗化と高速化が図られている。

MOSFETとは-高速trr SJ-MOSFET : PrestoMOS ™

キーポイント

・PrestoMOSはSJ-MOSFETの高耐圧、低オン抵抗、低ゲート総電荷量という特徴に加え、内部ダイオードの逆回復時間trrの高速化を実現したロームのSJ-MOSFET。

・内部ダイオードのtrrの高速化により、インバータやモータドライバ回路の高効率化と小型化を図ることが可能。

MOSFETとIGBT両方の利点を備えたHybrid MOS

キーポイント

・Hybrid MOSは、MOSFETとIGBT両方の利点を備えた新構造MOSFET。

・MOSFETの高速性、低電流領域での低損失、IGBTの大電流領域での低損失特性を併せ持つ。

・家電のAPFに対しては、大電力に対応しつつ、低電力領域の効率を高めることができるので有用。

<実動作におけるトランジスタの適性確認>

実動作における適性確認と準備

キーポイント

・基本的に試作において、選択したトランジスタが実動作において使用可能であるか否かの確認が必要。

・確認のために、トランジスタが扱う電圧と電流のデータを測定する。

絶対最大定格内であることの確認

キーポイント

・絶対最大定格の定義と意図を正しく理解して、使用可否の判断を行う。

SOA(安全動作領域)内であることの確認

キーポイント

・SOA(Safe Operating Area:安全動作領域)は、トランジスタが安全な条件下で動作しているかを確認するための情報。

・基本的に、IDとVDSSとの関係において、定格電圧および電流、許容電力(発熱)に対して安全な領域がグラフで示されている。

・SOAの条件をよく確認して、実際の使用条件との違いを考慮した上で利用する。

実使用温度でディレーティングしたSOA内であることの確認

キーポイント

・SOAグラフはTa=25℃のデータなので、実際にトランジスタを使用する温度に合わせてSOAをディレーティングする必要がある。

・ディレーティングのレートは、許容損失のディレーティングレートを利用する。

平均消費電力が定格電力内であることの確認

キーポイント

・連続パルス(スイッチング動作)の場合は、平均消費電力を求め、許容損失が定格内であること確認する。

・最終的にはTjが絶対最大定格を超えていないかどうかが判断の大元になる。

チップ温度の確認

キーポイント

・最終的にTjが絶対最大定格を超えてないか確認する。

・TaもしくはTcと発熱(熱抵抗×消費電力)の合算がTjになる。

<特徴を生かしたアプリケーション事例>

PFCとは

キーポイント

・PFC(力率改善)は、力率を改善して力率を1に近づけること。

・PFCにはシングルとインターリーブ方式があり、インターリーブ方式は損失を分散することができるので熱設計が容易。

・PFCには、臨界モード(BCM)と連続モード(CCM)があり、一般に大電力にはCCMが使われる。

臨界モードPFC:ダイオードによる効率向上の例

キーポイント

・臨界モードPFCではダイオードのVFが損失に大きな影響を与えtrrの影響は少ない。

・臨界モード制御のPFCではVFの小さいダイオードを選択することで回路効率を改善できる。

電流連続モードPFC:ダイオードによる効率向上の例

キーポイント

・電流連続モード(CCM)PFCではダイオードのtrrが損失に大きな影響を与えVFの影響は少ない。

・電流連続モード制御のPFCではtrrの小さいダイオードを選択することで回路効率を改善できる。

LED照明回路:MOSFETによる効率向上とノイズ低減の例

キーポイント

・PFC部およびDC/DCコンバータ部のスイッチであるMOSFETの特性の違いにより効率が変わるので、MOSFETの特性は十分に検討する。

エアコン用PFC回路:MOSFETとダイオードによる効率向上の例

キーポイント

・電流連続モードPFCでは、IGBT+FRDをHybrid MOSFET+SiC SBDに置き換えることで効率の改善を図ることが可能。

・この例では、SiC SBDの高速trr特性、Hybrid MOSFETの低オン抵抗+高速スイッチングが効率を向上させる。


シリコンパワーデバイスの特徴を活かしたアプリケーション事例