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スイッチングノイズ-EMC

インダクタを使用したノイズ対策

コモンモードフィルタを使ったノイズ対策

インダクタを使ったノイズ対策の1つとして、コモンモードフィルタを取り上げます。厳密にはインダクタではありませんが、磁気部品でありノイズ対策には重要な部品です。

コモンモードフィルタとは

コモンモードフィルタは、1つのコアに2つの巻線が施されており、等価的には2つのインダクタが合体したような構造になっています(図参照)。巻線に電流が流れるとコアに磁束が発生し、急激な電流変化に対しては電流を流れにくくする働き(チョーク)をします。これは、インダクタの自己誘導作用と同じです。

コモンモードフィルタの記号および構造イメージ

コモンモードフィルタは基本的に、コモンモード電流は通さないがデファレンシャルモード電流は通す、働きをします。これは、2本の導線が同じ向きに1つのコアに巻かれていることがポイントになります。

図が示すように、ディファレンシャルモード電流は2本の導線を往復するので、コアに発生する磁束は逆向きになり磁束が相殺されるため、電流を流れにくくするようには作用しないので、そのまま通過します。

これに対してコモンモード電流は同方向に流れるため、磁束を強め合うことになり電流は流れにくくなります。つまり、コモンモード電流=コモンモードノイズは通過しにくくなりフィルタされます。

コモンモードフィルタのコモンモードおよびディファレンシャルモード電流に対する作用

コモンモードフィルタを使ったノイズ対策

ここでは、スイッチング電源のノイズに言及して話をしているので、電源における入力フィルタとしての使用例を示します。

コモンモードフィルタを使った電源のノイズ対策

この図は、「スイッチング電源の入力フィルタ」で使ったもので、電源の入力ラインに対してこのようにコモンモードフィルタを挿入します。信号ライン用のコモンモードフィルタと比較して電源ラインに使用するコモンモードフィルタには、ディファレンシャルモードインピーダンスが大きくなる分割巻き構造のものを使用します。これらは一般的に電源ライン用のコモンモードフィルタとしてラインアップされており、ディファレンシャルモードノイズの減衰効果も期待できます。ただし、数百k~数MHz程度のディファレンシャルモードインピーダンスは非常に低いため、π型フィルタなどのディファレンシャルモードノイズ用のフィルタを併用することが一般的です。

Key Points:

・コモンモードノイズの除去にはコモンモードフィルタを使用する。

・コモンモードフィルタは、自己誘導作用を利用してコモンモード電流を通過させないフィルタ。


ノイズ対策の基礎