ノイズ

コンデンサを使用したノイズ対策とは

2018.04.10

この記事のポイント

・ターゲットとするノイズの周波数のインピーダンスを下げることでノイズ振幅を低減する。

・ノイズ対策用コンデンサの選定は、容量ではなくインピーダンスの周波数特性で選定する。

前回は、コンデンサの周波数特性について説明しました。今回は、ここで話をするコンデンサによるノイズ対策の概要とイメージを示します。

コンデンサを使用したノイズ対策とは

ノイズには様々な種類があり性質も多様です。したがって、ノイズ対策、つまりノイズを減らす方法も多々あります。ここでは、基本的にスイッチング電源に関連するノイズについての話をしていますので、DC電圧に乗っている比較的電圧レベルが低く、周波数の高いノイズをイメージしてください。また、ノイズ対策部品もコンデンサ以外に、ツェナーダイオードやノイズ/サージ/ESDサプレッサなどがあります。ノイズの性質に合わせた様々なノイズ対策部品がありますのが、DC-DCコンバータを想定した場合、その回路や電圧レベルから、多くの場合LCRによる対策が取られます。

コンデンサを使用したノイズ対策のイメージ

以下は、DC-DCコンバータの出力電圧のノイズを、コンデンサの追加によって低減した例です。

図:DC-DCコンバータの出力コンデンサが22μFの場合のノイズ例図:DC-DCコンバータの出力コンデンサを22μF+2200pFにして、2MHzのノイズ(リンギング、反射)を低減した例

左の波形は、出力のLCフィルタのコンデンサが22μFの場合で、約200MHzの周波数で180mVp-pほどのノイズ(リンギング、反射)が存在します。このノイズを低減するために、2200pFのコンデンサを追加した結果が右の波形で。2200pFのコンデンサの追加により、ノイズは100mV程度に減衰しました。

ここで考えるべきことは、「なぜ、2200pFなのか」ということです。以下に示すのは、追加したコンデンサのインピーダンスの周波数特性です。

160MHz辺りが最もインピーダンスが低くなっており、このインピーダンス特性を利用して約2MHzのノイズの振幅を減衰させるというのが、この2200pFのコンデンサを選んだ理由です。

これは、コンデンサの追加によりターゲットとするノイズの周波数のインピーダンスを下げることで、ノイズ振幅を低減するというアプローチです。

このようにコンデンサを追加してノイズ低減を図る際には、ノイズ(リンギング、反射)の周波数を把握して、対応するインピーダンスの周波数特性をもったコンデンサを選択する必要があります。

図:2200pFのコンデンサのインピーダンス-周波数特性

今回は、コンデンサを使用したノイズ対策の概略的な話をしました。次回は、効果的なデカップリングコンデンサの使い方を説明する予定です。

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