伝達関数
昇圧コンバータの導出例
2017.05.30
この記事のポイント
・各コンバータにおいて導出するのは、Δvout/ΔD、ΔiL/ΔDである。
・伝達関数は、系の安定状態を考え、外乱に対する変化量を求める2つのステップで導出する。
・この項では、昇圧コンバータの伝達関数を導出したが、降圧コンバータとまったく同様にして導出した点に着目。
前回の降圧コンバータに続いて、今回は昇圧コンバータの導出例を示します。前章も参照しながら読み進んでいただければと思います。
昇圧コンバータの伝達関数導出例
今回は昇圧コンバータの伝達関数を導出しますが、降圧コンバータと同じく、あくまで導出する伝達関数は、 と です。降圧コンバータの伝達関数の導出においては、以下の2つのステップを踏みましたが、昇圧コンバータに関しても同じステップで伝達関数を導出していきます。
●ステップ1:系の安定状態を考える
手順としては昇圧コンバータと同様です。図6は、ダイオード整流型の昇圧コンバータの基本回路です。系の安定状態とは以下の2つの状態で、各々を式と図で示します。
① コイル電流は一周期で変化しない
② コンデンサの電荷量は一周期で変化しない
●ステップ2:外乱に対する変化量を求め、伝達関数を記述する
以下に、計算例を示します。
式5-7、5-8に対して、とおいて代入すると、以下のようになります。
そして、式5-11、5-12を連立して と を求めると、以下のようになります。
比較のために降圧の伝達関数を並べてみました。もちろん、導出結果は違うのですが、昇圧モードにおいても、降圧モードと同じアプローチにより と を導出していることに着目してください。
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