伝達関数
電流モードの伝達関数と各モードのまとめ
2016.02.17
この記事のポイント
・電圧モードと電流モードの、スロープ波形とデューティ制御の違いを理解する。
・伝達関数の導出においては、以前の「電圧モードの伝達関数」および「電流モードの考察」の項を十分に参照する。
スロープの伝達関数として、「電圧モードの伝達関数」を導出し、続いて「電流モードの考察」を行いました。今回は電圧モードとの対比を交えて電流モードの伝達関数を導出し、電圧モードと電流モードの伝達関数のまとめを行いたいと思います。
電圧モードと電流モードの比較
電流モードの伝達関数を導出する前に、考え方の整理も含めて電圧モードと電流モードの比較を示します。
上から、模式化した回路図、各モードのスロープ波形とデューティ制御の違い、そして図5と図6は表を基にした電圧モードと電流モードのブロック図です。
電流モードの伝達関数
ここから、電流モードの伝達関数を考えていきます。まず、上の図6、電流モードのブロック図において、デューティからインダクタ電流ILの伝達関数をGdiとし、式で表すと式3-5になります。
このGdiを用いて図6を変形すると、図7のように表すことができます。式3-5が示す通り、Gdiは?iLをΔDで除算したものと表すことができます。
また、図7を基に、VcからDへの式を立てると、以下の式3-6になります。
さらに、式3-6に摂動を代入し、式3-5を考慮して伝達関数を求めると、式3-7が導出されます。
式3-7の摂動が、スロープ波形に与える影響を図8に示しました。
ここで 、
となります。
また、電流モードでは以下の式3-8の条件を満たすように設計することが望ましいと言えます。
この条件を満たすことで、電流モードはコイルのインダクタンスLの影響を軽減でき、一次の系特性を示すようになります。
最後にまとめとして、電圧モードと電流モードの伝達関数とブロック図を並べてみます。
次回は、電流モードにおけるFmの伝達関数を導出します。