DC-DCコンバータ|基礎編
リニアレギュレータの分類
2014.05.27
この記事のポイント
・正電圧用と負電圧用があり、各出力固定タイプと可変タイプがある。
・LDOは入出力間の損失電圧が低いタイプで、低電源電圧化に対応すべく生まれた。
・パッケージは、放熱のため放熱板を備えたスルーホール型がまだ多く使われる。
シリーズレギュレータ、三端子レギュレータ、ドロッパー、LDO。このような名称を聞いたことがあると思いますが、すべてリニアレギュレータのことです。こういった呼び名とは別に、機能や方式によっていくつかに分類することができます。
最初に、大きく分けると正電圧用と負電圧用に分けることができます。ちなみに、負電圧用はあまりバリエーションが多くないです。次の階層は、固定出力型と可変出力型に分かれます。固定型は標準型番の78xx(正)、79xx(負)タイプに代表されるように入力、出力、GNDの3端子です。設定用の抵抗がICに内蔵されているので帰還ピンが外に出ている必要がありません。可変型は、図1の例のようにGND基準タイプであれば、帰還ピンが表に出て4本になります。可変型にはGNDピンがないフローティング動作の317(正)、337(負)とタイプもあり、これらは3端子になります。
固定と可変の次の層は標準型とLDO型にわかれます。LDOはLow Dropoutの略で、標準型のドロップアウト電圧(安定化動作可能な最低入出力電圧差)が3V前後なのに対し1V以下に改良したもので、3.3V電源のICが出始めた頃に一般的になってきました。12Vから5Vに変換と言った仕様が多かった時代は、ドロップアウト電圧は標準型の3V程度でも何も問題はありませんでしたが、3.3V電源が必要になると5Vから3.3Vを作ることができなくなり、LDOが生まれて来ました。
上述のリニアレギュレータはすべて出力トランジスタ内蔵型ですが、大電流を扱うために出力トランジスタを外付けにした、リニアレギュレータコントローラと言うICもあります。
他には、製造プロセスの特徴による分類があります。一般にバイポーラプロセスのリニアレギュレータには、35Vや50Vと言った耐圧の高いものが多いのですが、消費電流は数mAと多めになっています。CMOSのものは、最近では20Vといった高耐圧品も出てますが、多くは5Vまでの入力電圧を想定したものです。ただし、消費電流は数十μAと非常に小さくなっています。
パッケージ関しては、リニアレギュレータは放熱が重要ですので、熱抵抗の低いパッケージが使われています。スルーホール型では放熱版が付いたTO-220系、表面装型では裏面に放熱パッドが露出しているタイプが使われます。
【資料ダウンロード】リニアレギュレータの基礎
リニアレギュレータの基礎として、動作原理、分類、回路構成による特徴、長所・短所を理解するためのハンドブックです。加えて、リニアレギュレータの代表的な仕様(規格値)と、効率と熱計算に関しても解説しています。