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2018.12.11 DC/DC

まとめ

損失の検討

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10回にわたったDC/DCコンバータ評価編「損失の検討」は、今回で最後になります。同期整流式降圧コンバータについて損失場所を切り分け、各損失を計算し、それらの合算から全損失を導き出す方法を示しました。また、パッケージ選択のための熱計算、そして、スイッチング周波数、入力電圧、出力電流を変化させた場合に注意すべき損失要因など、実践的な損失検討の方法も説明しました。電源には高効率、言いかえれば低損失は必須の要件ですので、設計にここの情報を利用してください。以下に、各記事のポイントをまとめました。

損失の検討

はじめに

Key Points:

・損失はそのまま発熱と化し、部品や機器の信頼性を低下させる

・機器の安全性と信頼性を高めるには熱設計は非常に重要。

・電源回路の損失部分、理由、対応を検討して行く。

定義と発熱

Key Points:

・損失は入力電力と出力電圧の差、もしくは効率の逆数。

・ジャンクション温度は、周囲温度+発熱、発熱は損失×熱抵抗(θj-a)。

・損失は、熱になることから重要な検討事項。

同期整流降圧コンバータの損失

Key Points:

・同期整流降圧コンバータの損失は、各部の損失の合計となる。

同期整流降圧コンバータの導通損失

Key Points:

・同期整流降圧コンバータのMOSFETの導通損失は、オン抵抗とオン時の電流およびオン期間から算出する。

同期整流降圧コンバータのスイッチング損失

Key Points:

・同期整流降圧コンバータのスイッチング損失は、スイッチングの遷移時間とその間の電力とスイッチング周波数から算出する。

同期整流降圧コンバータのデッドタイム損失

Key Points:

・デッドタイム損失とは、デッドタイム中にローサイドスイッチ(MOSFET)のボディーダイオードの順方向電圧と負荷電流で発生する損失。

・デッドタイムは、同期スイッチの貫通電流を防止するために意図的に設けられている。

同期整流降圧コンバータの制御IC消費電力損失

Key Points:

・制御ICの自己消費電力による損失は、軽負荷時の効率に大きく影響する。

・損失計算は、電源電流と電源電圧の積で非常にシンプル。

・測定条件はそのICのデータシートを参照する。

同期整流降圧コンバータのゲートチャージ損失

Key Points:

・ゲートチャージ損失は、MOSFETのQg(全ゲート電荷量)に起因する損失。

・MOSFETのQgが同じなら、損失は主にスイッチング周波数に依存する。

インダクタのDCRによる導通損失

Key Points:

・インダクタのDCR(直流抵抗)と出力電流による導通損失が発生する。

電源ICの電力損失計算例

Key Points:

・電源ICの電力損失は、個別箇所の損失の合算になる。

・計算に使う値については考え方が様々だが、確認として最悪条件での損失は計算すべき。

損失の簡易的計算方法

Key Points:

・電源ICのデータシートに効率曲線が提供されている場合、効率から簡易的に損失を計算できる。

パッケージ選定時の熱計算例 1

Key Points:

・損失を求めたのは熱設計を行うため。

・Tjが絶対最大定格を超えないように放熱対策をとる。

パッケージ選定時の熱計算例 2

Key Points:

・損失を求めたのは熱設計を行うため。

・Tjが絶対最大定格を超えないように放熱対策をとる。

損失要因

Key Points:

・動作条件によって全体的な損失を構成する特定の部位での損失が大きくなる。

・損失計算式からその要因を理解することで、仕様や条件変更の際の注意点がわかる。

スイッチング周波数を高めて小型化を検討するときの注意

Key Points:

・スイッチング周波数を高くすることで、電源およびアプリケーションの小型化が可能だが、損失が増加し効率が低下する。

・増加する損失の中で、スイッチング損失とデッドタイム損失が支配的。

・スイッチング周波数の高速化による小型化と損失増加(効率低下)はトレードオフの関係にある。

・多くの場合、サイズと効率においてバランスの取れた妥協案で対応する。

高入力電圧アプリケーションを検討するときの注意

Key Points:

・入力電圧を高くする場合、スイッチング損失の増加が支配的になる。

・スイッチング損失が増えるので、MOSFETの電圧定格、許容損失を見直す必要がある。

・さらに、trとtfがより速いもの、オン抵抗とQgの低いMOSFETを検討する。

・電源仕様においてスイッチング周波数を下げることができるなら下げる。fSWを半分にすると損失は半分に減る。

・スイッチングトランジスタ内蔵タイプのICの場合は、ICの自体を見直すことになる。

出力電流が大きいアプリケーションを検討するときの注意 その1

Key Points:

・出力電流を大きくする場合は、MOSFETのオン抵抗、スイッチング、デッドタイム、インダクタのDCRの損失が増加する。

・オン抵抗の低いMOSFETを選択しスイッチングを高速にして、DCRの小さいインダクタを使う。

・コントローラICのデッドタイムはほとんどが調整できない。

・MOSFETの選定には、オン抵抗の他に検討事項がある(その2にて)。

出力電流が大きいアプリケーションを検討するときの注意 その2

Key Points:

・出力電流を大きくする場合は、オン抵抗の低いMOSFETを選択し、スイッチングを高速にして、DCRの小さいインダクタを使う。

・高耐圧低オン抵抗のMOSFETはQgが大ききなる傾向にあるので、Qgの増加によるゲートチャージ損失の増加を回避するため、低オン抵抗でQgが小さいMOSFETを選択する。

・低QgのMOSFETはスイッチング速度が速い傾向にあるので、スイッチングノイズの増加に注意する。

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